1日、朝鮮少年団第9回大会の参加者らと記念写真を撮った金正恩氏(2023年1月2日付朝鮮中央通信)

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韓国統計庁は22日、女性1人が生涯に産む子どもの推定人数である「合計特殊出生率」が2022年に0・78となり、統計を開始した1970年以降で最も低かったと発表した。

経済協力開発機構(OECD)加盟国の2020年時点の平均(1・59)の半分にも満たず、韓国だけが5年連続で1に満たなかった。日本の1・30(21年)も大きく下回り、止まらぬ少子化に社会の危機感が増している。

韓国の人口減少を巡っては、米電気自動車(EV)大手テスラ最高経営責任者(CEO)のイーロン・マスク氏が昨年5月、ツイッターへの投稿で、「韓国と香港は、世界で最も速い人口崩壊に直面している」と指摘し話題になったことがある。

実は、人口減少に直面しているのは隣の北朝鮮も同様だ。

世界保健機関(WHO)の資料によると、北朝鮮の人口は2021年7月の時点で2566万人。

しかし、実際には大幅に水増しされていると疑われている。脱北者で韓国紙・東亜日報の記者であるチュ・ソンハ氏は、独自に入手した北朝鮮の中央統計局の内部資料に基づき、2005年の2100万人を頂点に人口が減少し始め、2015年には2060万人に過ぎないと報じている。

北朝鮮の人口減少のペースが具体的にどれくらいかは不明だ。同国政府は人口減少が国外に知れ渡ると、国力が衰退しつつあることがバレてしまうと懸念し、人口統計を極秘事項としているからだ。人口情報を目にした官僚が、その内容を妻に話したことが発覚し、一家もろとも消されてしまうという出来事もあった。

(参考記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面

韓国では少子化の原因について、仕事と育児を両立しにくい環境(特に女性の負担過多)、教育費の増大、不動産価格の高騰といった問題が指摘されている。韓国政府はこれらを改善しようと、2006年から21年までに約280兆ウォン(約29兆6千億円)の予算を投じたが、いまだ結果を出せていない。

一方の北朝鮮でも、少子化の原因は「生きにくさ」にある。飢餓の恐怖と制裁下の経済難の中で子育てをする苦労は想像を絶する。

また北朝鮮では、男性は職場に出勤することが法的に義務付けられている一方、女性はそうした縛りが少ない。そのため、雀の涙ほどの給料しかもらえない夫に期待せず、妻が市場で商売をして生計を支えるのが一般的だ。そんな状況下、女性の間で「商売をしながら子育てなんかできない」「いっそ結婚しない方がいい」との意識が強まっているとも言われる。

これに対し、金正恩政権は「避妊の禁止」「中絶禁止」などの政策を打ち出しているが、効果が出ているようには見えない。

北朝鮮当局は今、若者を集団で農村や炭鉱に送り込む事業や、兵士を早期除隊させて労働現場に集団配置する政策を進めているが、これは労働力不足が深刻化していることの証左と言えるだろう。