台風・豪雨…大雨時のNG行為とプロがすすめる防災グッズ 気象防災アドバイザーに聞いた

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このところ、毎年のように豪雨災害が各地で起きている。今年も8月上旬に、東北地方や北陸地方で甚大な豪雨災害が起こり、山形県、新潟県、石川県、福井県、青森県の35市町村に災害救助法が適用された。死者1人、行方不明者2人、重傷2人の人的被害も報告されている。

これからの秋は台風のシーズンでもある。今後、豪雨災害が起こった時にどのような対応を取ればいいのか。気象防災アドバイザーとして新潟県三条市行政課に勤務する気象予報士の内藤雅孝さんに教えてもらった。(取材・文:箕輪健伸)

秋の豪雨には要警戒

内藤さんは、今秋の豪雨被害を警戒する。その理由は「ラニーニャ現象」が続いているからだ。

「ラニーニャ現象で、フィリピンよりも西側の海水温が平年に比べ非常に高くなっています。そうなると、その北側にある高気圧が勢力範囲を広げます。その結果、日本上空に活発化した高気圧が広範囲に居座った。これが7月上旬あたり猛暑の原因です。ちなみに今年はラニーニャ現象が冬まで続く見通しです」

「秋になり、高気圧が日本付近から離れると、水蒸気をたくさん含んだ空気、つまり台風の材料が窓を開放したかのように日本列島に入ってきます。それが今なのです。日本は今、どこで大雨が降ってもおかしくない状況が常時続いているという現状です」

ラニーニャ現象は、太平洋赤道域の日付変更線付近から南米沿岸にかけて海面水温が平年より高くなるといわれている。日本でラニーニャ現象が続くと、夏は猛暑日が多くなり、秋は台風、冬は降雪量が増える。冬は豪雪の心配もしなければならないわけだ。しかも、内藤さんによれば、これから秋に向けて、前線や台風による豪雨は日本全国どこで起きてもおかしくない。

大雨時のNG行為とは?

それでは実際に豪雨災害が起こりそうになった時、絶対に取ってはいけない行動とはどのようなものなのか。

「重要なのは、憶測や噂で動かないことです。何となく近くの川を見に行った、何となく大丈夫だと思ったから避難しなかったということは絶対に避けてください。必ず、テレビや自治体から発表される情報を確認して、自治体の指示に従ってほしい」

「また、30センチくらいの高さの長靴の中に水が入ってくるようなら外を歩いてはいけません。人が歩く時は、片足をあげて前に出すことを繰り返すわけで、流れている水の中で前に進もうとして片足を上げれば、足をとられて転倒する可能性が大きくなります。また、マンホールの蓋が出水で外れていることもあります」

30センチ以上の水深の場合、どのように避難すればいいのだろうか。内藤さんは、「30センチの水深でもすべての道路が歩けない、移動できないということではありません」と話す。

「道路というものは、起伏があるため、すべてが水浸しになってるわけではなく、どこかにまだ歩けるところもあるはずなんです。あるいは、こちらの道路はダメだけれど、こちらの道路なら通れるということもあります。迂回をしながら、何とか避難所にたどり着くということが重要です」

ただ、昨今の豪雨災害の場合「街全体が川の中」という光景が見られることも少なくない。その場合は、「垂直避難するしかありません」と内藤さんは話す。

「無茶をして避難所に向かうリスクより、より高いところに避難する垂直避難の方が、命の助かる可能性が高いです。最悪2階への避難、近くに3階建て4階建ての建物があれば、できるだけ高い建物に避難してほしい」

オススメの防災グッズは?

内藤さんは、「災害から命を守るためには、日ごろからの地域のコミュニケーションが重要です」と話す。

「町内会の集まりなどで、『ここの道路は水はけが悪いけれど、この道路は大雨の時でも通れる』など、防災情報を地域で共有することが重要です。情報の共有ができれば、これくらいの大雨の時はこっちからこう逃げようなど、手作りの避難マニュアルも作れます。また、日ごろから地域でのコミュニケーションがとれていれば、たとえば、『大雨の時はお宅のマンションの高層階に避難させてくれないか』とお願いしておくこともできます」

ちなみに、内藤さんにおすすめの防災グッズを聞いたところ、ビニール袋を挙げてくれた。ビニール袋は雨に強く、片掛けバックやリュックなどに、通帳や保険証、家の権利証、薬などの大事なものを入れて、ビニール袋(ゴミ袋や、大き目のスーパーのサミットバッグ)でしっかり包むと、安心して逃げられるからだそうだ。