「偉い人」が座る「上座」はどの位置? 悩ましい「タクシーマナー」 重要なのは柔軟な思考?

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上座は運転席後ろ? ではその理由は?

 ゴールデンウィークが過ぎ、夏が近づいてくると、4月に入社した新社会人の人たちがじょじょに現場へと配属され、上司や先輩とともに行動するようになります。
 
 営業職など外出が多い職種の場合、ときにはタクシーに乗って移動することもあるかと思います。
 
 そんなときに気になるのがタクシーの乗車マナーです。どのように着座すれば良いのでしょうか。

タクシーでの上座問題」 どの位置が正解なのか?

 一般的には、もっとも目上の人が後席の運転席後ろに案内するのが正しいマナーとされています。

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 次が助手席後ろ、そしてもっとも序列が低い人が助手席に座るということがいわゆる「マナー本」などにおける「正解」とされていることが多いようです。

 つまり、部長・課長・自分(新社会人)の3名でタクシーに乗る場合、部長は運転席後ろ、課長は助手席後ろ、そして新社会人の自分が助手席に座ることになります。

 もちろん、こうした基本的なマナーを押さえておくことは悪いことではありません。ただ、実際にはマナーにしばられずに柔軟に行動することも重要です。

 例えば、タクシーを利用するシチュエーションとして多いのが「タクシーに乗らないと次の打ち合わせに間に合わない」といった場合です。

 このような場合では、「誰がどの席に座るか」よりも「早く乗る」ことのほうが重視されることがふつうです。

 また、上司のほうが先に下車する場合や丈の短いスカートを履いている女性の場合などは、助手席後ろに乗るほうが都合は良い場合もあります。

 そもそもマナーの本質とは、「相手を不快にさせないための心配り」です。

 紋切り型のマナーだけを「正解」とするのではなく、マナーを重んじるべきシチュエーションであるのか、あるいはマナーにとらわれずに行動することが求められているのかを判断できるようになることが重要です。

ビジネスにおいては、タクシーを使うほうがメリットある?

 ただ、新社会人がビジネスの場においてタクシーに乗る機会というのは、実際にはそれほど多くはないかもしれません。

 新社会人に限らず、一般社員が自由にタクシーを利用することを認めている企業は少数派です。

 いうまでもなく、多くの企業がタクシーでの移動を積極的に許可しない最大の理由は、コストにあります。

 例えば、渋谷駅から東京駅まで移動する場合、JRを利用すれば片道200円で済みますが、タクシーを利用すると2500円程度は見ておかなければなりません。

 複数人で乗ればその分一人あたりのコストは軽くなりますが、それでもコスト面を考えれば、鉄道などの公共交通機関を利用するのが合理的です。

ビジネスでは「タクシー」を使ったほうが良い場合もある?

 一方、場所によってはタクシーのほうが効率的という例は少なくありません。

 例えば、渋谷から六本木へと移動する場合、鉄道では恵比寿駅を経由して約20分の時間と310円の費用がかかります。

 もし、出発地と目的地が駅からそれぞれ10分程度の場所であった場合、ドア to ドアでは40分以上かかることになります。

 しかし、タクシーを利用すると道路状況にもよりますが所要時間は約10分、料金は約1000円程度です。

 さらには、出発地から目的地までほぼダイレクトに移動できるため、トータルの所要時間は15分程度です。

 正社員の場合、会社が従業員ひとりに掛かるコストを時給換算すると、どんなに低く見積もっても1時間あたり2000円程度になります。

 そのため、40分かけて移動すると、人件費は1334円、310円の交通費と合わせて1674円のコストとなります。

 一方、タクシーを利用すれば人件費は500円、1000円のタクシー代と合わせて1500円のコストで済みます。複数名で移動すればさらにタクシーのほうが低コストになります。

 会社の第一目標が利益追求であることを考えると、このようなケースではむしろタクシーを使ったほうが会社のためになるといえます。

 加えて、タクシーのなかでは電話をしたり、簡単な打ち合わせをしたりといったことも可能です。

 もちろん、都内の地理や交通事情を理解していないと、タクシーのほうがかえって時間がかかってしまいます。

 その点では、時間を計算しやすい鉄道が有利であり、タクシーはリスクがあることには注意が必要です。

 それでも、上手に利用すればタクシーはビジネスに大きな武器になります。

※ ※ ※

 プライベートでは、終電を逃した場合や遅刻しそうな場合など「やむを得ない時」に利用するイメージが強いタクシーですが、ビジネスにおいては「タイム・イズ・マネー」を体現する非常に重要な存在です。

 このように考えると、タクシーを上手に利用できるようになることは、優れたビジネスマンの必須スキルと言えるかもしれません。