※この記事は2013年07月19日にBLOGOSで公開されたものです

7月21日の投開票に向け、参議院選挙も大詰めを迎えつつある。自民・公明の与党が参院でも過半数を獲得し、衆参の「ねじれ」を解消するかどうかがポイントだが、有権者からみると、多数の政党が乱立して、どの党がどんな公約をかかげているのか分かりにくいのが現実だ。そこで、各政党の公約を一挙に紹介するので、それぞれの主張を把握する一助としてもらいたい。

ここで紹介するのは、公示直前の7月2日に、インターネット事業7社の共同企画として放送されたネット番組『参議院選挙 政党別公約・マニフェスト発表特番』のダイジェストだ。公明、民主、共産、みどり、みんな、維新、社民、生活、自民（出演順）という9政党の議員が出演し、各20分の持ち時間で公約のポイントを説明した。それぞれの発言を出演順に簡潔にまとめたので、投票の参考資料としてご覧いただきたい。【取材・構成：渡邉一樹、画像：niconico】

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▼出演：00:00:00 　公明党／石井啓一 政調会長
　　　　00:20:08　民主党／桜井充 党政策調査会長
　　　　00:41:05　共産党／小池晃 副委員長
　　　　01:01:52　みどりの風／谷岡郁子 代表
　　　　01:17:43　みんなの党／浅尾慶一郎 政調会長、柿沢未途 政調会長代理、山田太郎 参議院議員
　　　　01:40:40　日本維新の会／中田宏 政調会長代理
　　　　02:01:30　社民党／福島みずほ 党首
　　　　02:22:15　生活の党／畑浩治 政策担当幹事・総合政策会議副議長
　　　　02:43:30　自民党／木原誠二 日本経済再生本部金融資本市場・企業統治改革グループ主査

公明党・石井啓一政調会長「経済成長の果実を生活者にもたらす」

スローガンは「安定は、希望です」。一番やりたいのは、実感できる経済回復の実現だ。経済成長の果実を地域、中小企業、生活者にもたらす。デフレ下の10年間で減少した約10％の平均給与を取り戻す。経済成長の主役は、女性、若者、中小企業だ。女性が活躍するためには仕事と子育ての両立が必要だ。政府が5年でやると言っている待機児童解消を前倒しでやる。また、若者の正規雇用を増やし処遇改善する企業を、政府が応援する。

消費税については低所得者の負担を軽減するために、8％引き上げ時に簡素な給付措置、10％引き上げ時には軽減税率の導入を目指す。原発は段階的にゼロをめざす。新規着工は認めず、40年の運転制限を厳格に適用する。再稼働は厳しい基準を満たすことを前提に、国民や住民の理解を得て判断する。憲法については時代に合わせた「加憲」で臨む。自衛隊は明記するが、9条1項、2項は堅持する。また、硬性憲法の性格は維持する。
・Manifesto2013 | 参院選重点政策　公明党

民主党・桜井充政調会長「競争社会ではなく、共生社会を実現する」

「暮らしを守る力になる」がスローガンだ。今回は、実現可能で現実的な政策を選び、ゼロベースで見直した。競争社会ではなく、共生社会を実現する。多様な価値観を持った人たちが、支え合って生きる社会をつくる。

安倍政権との対立軸は「くらし・いのち・みらい」の3点だ。

「くらし」は、グリーン、ライフ、農林水産業や中小企業に政策資源を集中し、産業を育成する。所得を増やして、中間層を厚く、豊かにすることが真の復活になる。「いのち」について、民主党が取り組んできた改革は道半ばだ。安倍政権では社会保障が後退するのではないかと心配されている。医療の国民皆保険の堅持や、年金改革、適切な生活保護認定、自殺対策などを進める。「みらい」とは、人への投資だ。民主党は「チルドレンファースト（子ども第一）」で、高校無償化や少人数学級などを実現した。子育て・教育を応援し、女性が自分らしく生きられるよう後押しする。
・「暮らしを守る力になる。」民主党の重点政策（PDF完全版）

共産党・小池晃副委員長「賃上げ・消費税増税中止・富裕層の負担増で、景気を回復する」

自民党政治と正面から対決する。アベノミクス、消費税増税、原発再稼働、TPP参加、憲法改正、国防軍創設など、安倍政権への不安感は強い。

賃上げと安定雇用が、景気回復につながる。260兆円に及ぶ大企業の内部留保を、従業員への給与や下請けへの支払い、納税、投資などに使わせる。消費税増税は中止し、社会保障、医療・年金・介護の充実は、富裕層への増税でまかなう。TPPには参加しない。アメリカの食い物になるだけだ。

原発の再稼働は認めない。原発輸出なんてとんでもない。電力は間に合うし、コスト削減は電力会社の努力が足りない。世界で一番高い天然ガスを平気で買って、国民に転嫁している。また、自民党の憲法改正案には反対だ。9条を取り払えば、アメリカと並んで武力行使をすることになる。基本的人権を「公益、公の秩序に反しないものしか認めない」のでは、戦前の暗黒社会に逆戻りする。憲法改正要件引き下げにも反対だ。
・2013年参院選挙政策

みどりの風・谷岡郁子代表「とめる、やめる、かたづけるの3ステップで脱原発を実現」

脱原発を、止める（再稼働なし）、やめる（2023年までの廃炉）、かたづける（核のゴミ処理を確立）の3ステップで実現する。自然・再生可能エネルギーへの道を進み、効率が良くなった火力発電などを最大限使ったり、国民の創意工夫の節約、省エネでそれまでを乗り切る。去年も一昨年も電力は足りた。今年も必ず足りると信じている。また、被災者の事は被災者自身が決められるようにする。

若者・女性の応援団としてあらゆる政策を実行する。初任給アップなどで5年後に若者の年収60万円アップを実現する。雇用を守り、サービス残業には罰則をつくる。学生ローンは無利子にする。女性がはじめた政党として、女性問題にも取り組む。アベノミクスで儲かるのは大資本と大企業だけ。当選者が決まっている宝くじと同じだ。適切な所得再配分で、中小企業や自営業を支援し、内需拡大による景気回復をめざす。消費税増税は凍結し、TPPは阻止する。
・「ふかせよう　みどりの風の約束」（デジタルブック）

みんなの党・浅尾慶一郎政調会長「民間主導で4％の経済成長を実現し、消費税増税はしない」

発送電分離で、電力の供給増と値下げをする。農協を再編して「強い農業」を作る。混合診療を認め、最先端の医療を受けやすくする。みんなの党は既得権益と結びついていないから、ぶれずに規制改革ができる。電事連、農協、医師会などの支援を受けている自民党にはこういった改革はできない。いま成果を上げている「大胆な金融緩和」も、みんなの党の結党以来の政策だった。投資減税、自由償却税制なども、私たちの考え方を自民党が後追いしている。今後も安倍政権に対して必要な改革を迫っていく。

国が特定の産業を支援・育成しようとしても成果は出ない。必要なのは徹底的な規制改革と減税による、民間主導の経済だ。名目成長率を4％にすれば、消費税増税をしなくともプライマリーバランスは保てる。正規・非正規雇用の身分差を生んでいる解雇要件も見直し、金銭解雇を認める。現制度で守られるのは大企業の従業員だけなので、国全体ではプラスになる。
・《アジェンダ2013》みんなの政策　完全版(PDF)

日本維新の会・中田宏政調会長代理「タブーに切り込み、統治機構改革をする」

橋下徹、石原慎太郎両代表はこれまで自治体のトップとして、抵抗されても改革を実行してきた。各種団体から支援を得て「聞きっぱなし」の自民党や、「言いっぱなし」に終わった民主党と違う。日本維新の会はタブーにも切り込み、耳障りな議論もする。選挙になったとたん憲法96条の改正を引っ込めたり、消費税について口ごもったりしない。

政策の中心は、何より統治機構改革だ。道州制を導入することで地方の自立を促し、税収が非効率なハコモノに消えていく状態をなくす。首相公選制で、国民から直接信託を受けた首相が国政を担う。衆議院と参議院を合併する「一院制」で、ねじれをなくし、迅速な意思決定を可能にする。そのためには憲法改正が必要だ。

アベノミクスの成長戦略は失敗している。我々は農協や医療法人に特権を認めず、競争原理を導入する。減反政策をやめて農業を成長産業に育て、混合診療を解禁し、発送電を分離する。
・「維新の挑戦。」（PDF）

社民党・福島瑞穂党首「日本国憲法を持ち続けられるのかが問われている」

「強い国よりやさしい社会」がスローガンだ。軍事・原発大国、1％の大企業富裕層のために99％の人を切り捨てる強い国ではなく、安心して平和に暮らせる社会を実現したい。

平均給与は下がり生活は苦しい。20代若者の死因は、事故死・病死よりもダントツに自殺が多い。暮らしと雇用の立て直しが必要だ。賃上げで最低賃金を1000円以上にする。長時間労働を規制し、過労死防止法をつくる。若者を使い捨てるブラック企業を根絶するため、実態調査と企業名の公表をする。雇用の規制緩和には反対だ。

この参院選では、日本国憲法を持ち続けられるのかが問われている。生存権や表現の自由、幸福追求権などの人権が光り輝き、活かされる社会であるべきだ。漠然とした「公益」や「公の秩序」という概念で、こうした人権を制限する自民党改憲案には反対する。9条を改正すれば自衛隊の性格は180度変わり、アメリカの世界戦略に参加することになる。
・2013年参院選 選挙公約 | 総合版

生活の党・畑浩治政策担当幹事「景気回復のためには、家計収入の増大こそが最優先課題だ」

政治は生活を守るためにある。本格的な景気回復のためには、GDPの6割を占める個人消費を喚起する必要がある。つまり、家計収入の増大こそが最優先課題だ。まず、消費税増税は凍結する。そして地域経済を活性化し、10年間で可処分所得を1.5倍にする。エネルギー、医療、福祉、農林水産業など、将来成長が見込める分野に積極投資して、雇用をつくる。

また、地域の多様なニーズを汲み上げるため、中央集権から地方分権の国家へ大転換をする。中央省庁の役割を限定し、地方自治体へ移管する。各省設置法は廃止し、閣議決定で中央省庁の組織改編ができる、包括的な行政組織法を制定する。また、自然エネルギーやメタンハイドレードなどの開発や、廃炉・核廃棄物処理技術なども含めて、脱原発を「成長戦略」としてとらえ、国の責任で進めるため脱原発3法をつくる。また、自由貿易協定は進めるが、TPPのような異質で閉鎖的な協定には断固反対する。
・生活の党「参院選公約　2013」（PDF）

自民党・木原誠二日本経済再生本部主査「震災復興と経済成長、改憲で日本を取り戻す」

自民党は「日本を、取り戻す」。まずは震災復興で東北の美しさ、生活の活力を取り戻す。土地区画整理や高台移転を前に進め、住まいの周りに医療や介護、職場、商店街を取り戻す。復興庁の現場職員を15％増やし、福島に復興再生本部をつくった。民主党時代19兆円だった予算を25兆円まで増額し、無駄遣いもチェックしている。廃炉、除染は国が前面に出て取り組む。

アベノミクスで名目GDP成長率3％を目指す。成長戦略では人を増やし、投入資本を増やし、生産性を上げる。女性が働きやすくするため、ワークライフバランスを見直し、待機児童対策を進める。2020年までにあらゆる分野で、指導的立場の女性を30％に増やす。若者の就業率も上げる。設備投資減税などで企業の内部留保を投資に回し、規制緩和やIT活用で生産性を上げる。

また、憲法改正では、新しい人権や自衛隊の存在を書き込み、96条の憲法改正要件は引き下げる。
・自民党政策サイト

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