Androidの画面ロック自動解除機能「Smart Lock」の活用方法をお伝えします(筆者撮影)

iPhoneにマスク着用時のFace IDが導入されたことで話題になっているが、Androidには、以前から特定の条件下で画面ロックが自動で解除される機能が搭載されている。「Smart Lock」がそれだ。もともとAndroidのスマホには、顔認証に加えて指紋認証を搭載した端末が多く、マスク着用時とは言えあえてSmart Lockを活用する必要性は薄いが、この機能を使いこなすと面倒なロック解除を省略できて便利だ。


この連載の一覧はこちら

また、画面消灯からロックがかかるまでの時間を調整することで、ニュースなどの文章を読んでいる際に画面が消えてしまい、再びロックを外す手間を省ける。電源ボタンを押した際に即座にロックをかけることも可能なため、設定次第で利便性とセキュリティーを両立できる。画面消灯に関しては、ユーザーが画面を見ているかどうかをカメラで判断し、点灯時間を自動で延長する設定も用意されている。

こうした設定を上手に活用していけば、意図せずに画面ロックがかかってしまったり、解除の手間をかけたりすることなく端末を利用できる。指紋センサーを採用した機種は多いものの、価格の安いエントリーモデルの中には、顔認証のみの端末もある。そのような端末を利用している場合は、ここで紹介する技がさらに役立つはずだ。

安全な場所でロックをかけない「Smart Lock」

個人情報はもちろん、決済などのお金に直結した機能も搭載されているスマホは、画面ロックをかけるのが当たり前になっている。一方で、人に持ち去られたり、情報を盗み見されたりする心配のない場所では、画面ロックがスムーズな操作の妨げにしかならないのも事実だ。そのような場所で、限定的にロックを解除した状態のままにする機能が「Smart Lock」だ。

本稿ではPixel 5aを例にSmart Lockを紹介しているが、これはAndroid標準の機能。基本的には、どの端末でも利用できる。Smart Lockとは、特定の場所にいる時の位置情報や、ペアリングしているデバイスなどに基づき、自動で画面ロックをかけないようにするための機能。iPhoneにはApple Watchをペアリングしている際に画面ロックを解除する機能があるが、あれの拡張版と言えばわかりやすいかもしれない。


Smart Lockは利用者のいる場所や接続した周辺機器で、ロックを解除したままにできる機能。Android標準の機能だ(筆者撮影)

あらかじめ指定した場所にいるときや、特定のスマートウォッチやBluetoothイヤホンとペアリングしているときだけ、画面ロックをかけない設定にできる。範囲が広いため、設定を間違えるとセキュリティーが緩くなりすぎてしまうのが難点だが、適切に利用すれば便利な機能だ。例えば、イヤホンだとスマホ本体と一緒に盗まれてしまうリスクがあるため、設定するのはリスクが高いが、据え置き型のPCとペアリングしたときだけロックを解除したままにするというのはありだろう。

また、一人暮らしの人なら、自宅の位置情報を設定しておき、そこでだけロックをかけないよう設定することもできる。逆に会社など、不特定多数の人がいる場所は指定しないほうがいい。セキュリティーを考慮しながら、自分しかいないような場所にいるときや、自分しか持っていないものとペアリングしたようなときにSmart Lockを使うのが正解だ。

設定方法は次のとおり。「設定」アプリから「セキュリティ」を開き、「詳細設定」の中にある「Smart Lock」を開く。PINコードなどが求められるので、これを入力。場所を追加したいときは「信頼できる場所」、一緒に持ち運ぶスマートウォッチなどを追加したいときには「信頼できるデバイス」をタップする。ここでは、自分しか使わない自宅のデスクトップパソコンの周りにいるときにロックを解除することを想定して、「信頼できるデバイス」をタップした。

次の画面でも、「信頼できるデバイス」をタップする。すると、スマホとペアリングされているBluetoothデバイス一覧が表示されるため、Smart Lockを設定したいものを選択する。ここでは、デスクトップパソコンを選択した。これで、そのパソコンの周囲にいるときだけ、いったんロックを解除すると、解除されたままの状態になる。生活環境や一緒に使用している周辺機器の状況に合わせて、最適な設定を見つけてみよう。

画面消灯後にロックがかかるまでの時間を調整

ディスプレーが消灯するまでの時間が短いと、節電にはつながる一方で、ニュースサイトなどで長い文章を読んでいる最中に画面が消えてしまい、その都度ロックを外さなければならずに手間がかかる。先に紹介したSmart Lockを設定すれば、この問題は回避できるが、会社など、周囲に人がいるような場所ではセキュリティーが低下してしまうのが難点だ。

このようなときには、画面消灯後、すぐにロックがかからないように設定しておくといい。これなら、画面を再点灯させるだけで済み、PINコードを入力したり、指紋センサーに指を当てたりする必要がなくなる。画面をタップして点灯するように設定しておけば、すぐに続きを読むことができるというわけだ。

Pixel 5aの場合、設定は「設定」アプリの「セキュリティ」で行う。ここで、「画面ロック」の横にある歯車マークをタップし、次の画面で「画面消灯後からロックまでの時間」を選択する。ここが「直後」だと、一定時間経過後に画面が消えて、すぐにロックがかかってしまうため、時間を延ばしておくようにしたい。ここでは、「15秒」に設定した。


一定時間経過後に画面が消えたあと、自動的にロックがかかるまでの時間を変更できる(筆者撮影)

注意したいのは、あまりに長くしすぎると、セキュリティー的に問題があるということだ。ロックがかかったと思ってスマホを放置していたら、実際には画面が消えただけで、誰かにスマホの中を見られてしまうということが起こりかねない。設定では10分や30分といった長時間にすることもできるが、なるべく短めにしておいたほうがいいだろう。

また、この画面ロックの設定では、「電源ボタンですぐにロックする」というスイッチも用意されている。これをオンにすれば、一定時間経過後に画面が消えた場合と、自ら電源ボタンを押して画面を消した場合の挙動を変えることができる。ここをオンにしておけば、電源ボタンを押すだけで意図的にロックをかけられるようになる。上記のように、スマホを机の上に置いたまま席を外すようなケースでロックがかけやすくなるため、ぜひ設定しておきたい。

「目線」などを検知して画面を消灯しない

サイトを見ている最中に画面がロックされてしまう問題は、これ以外にも防ぐ方法がある。使用中に、画面が消灯しないようにするという設定がそれだ。端末によって実装方法は異なるが、手で持っているときの動きを検知したり、インカメラでユーザーの顔を認識することで、使用中の画面消灯を抑止する機能が搭載されているケースが多い。

実例で挙げているPixel 5aにも、ユーザーの目の動きを認識して、画面を点灯したままにする機能が搭載されている。これをオンにしておくと、ニュースサイトなどを読んでいる最中に画面が勝手に消えることがなくなり、便利だ。ただし、家族や同僚に呼びかけられて一瞬目を離してしまった場合などに画面が消えてしまうことはあるため、先に挙げた自動で画面ロックがかかる時間を変更する設定と併用するのがお勧めだ。

設定は、「設定」アプリの「ディスプレイ」にある「画面消灯」で行う。この中の「スクリーンアテンション」をオンにすると、設定が有効になる。ただし、撮影していない場合でも、自動的に前面のカメラがオンになるため、消費電力が増えてしまう点には注意が必要だ。処理は端末内で完結するため、顔写真が勝手に外部に送信されてしまう心配はない。


ユーザーが画面を見ている際に、画面が消えないようにする機能も用意されている。Pixelではスクリーンアテンションという名称(筆者撮影)

スクリーンアテンションというのは、Pixelに特有の名称で、ほかの端末では異なる機能名で呼ばれていることも多い。例えば、サムスン電子の「Galaxy Z Fold3 5G」では、「閲覧中は画面を常にON」という名称で、「設定」の「便利な機能」内にある「モーションとゼスチャー」で設定する。こちらも、同様に前面のカメラでユーザーが画面を見ているかどうかを認識し、画面を点灯したままにする機能だ。

Androidでは、画面ロックの解除を多彩な方法で解除したり、一定時間ロックをかけないよう設定できる。ただし、ここまで言及してきたように、あまり緩めてしまうとセキュリティーの穴が大きくなってしまうのも事実だ。利便性や自身の利用スタイルに鑑みながら、バランスの取れた設定をしたい。

(石野 純也 : ケータイジャーナリスト)