梅雨うつにご用心…!料理家 齋藤菜々子さんに教わる「夏野菜のゆる薬膳レシピ」3選
梅雨うつにご用心!夏野菜のゆる薬膳レシピ
今年も梅雨の季節がやってきました。長引く雨で気分がのらない、なんとなくだるい……と、憂鬱な気分を感じている方が多いのではないでしょうか。筆者もそのうちのひとりです。
そんな梅雨の不調には、薬膳の知恵を活かして普段の食事からアプローチしてはいかがでしょう。本記事では、料理家・国際中医薬膳師の齋藤菜々子さんに、手軽にマネのできる「ゆる薬膳」レシピを教わりました。
「薬膳の考え方では、梅雨の不調の主な原因は湿気です。雨の影響で湿度が高い梅雨時期は、体が大気中の水分を吸収し、重さ、だるさを感じやすくなるんです。
さらに、湿気で気分が晴れず食欲も湧きにくいと気の巡りが悪くなり、うつ症状につながることも」と話す齋藤さん。
梅雨うつ対策として意識したいのは、体に水を溜めない食生活と、リラックスや食欲増進のために香りのよい食材を摂ることだといいます。
「私はこの時期、利尿作用のある夏野菜をたっぷりと食べるようにしています。特になすはいつも冷蔵庫にストック。胃の調子を整えたり、むくみを抑制してくれたりしますよ。
このように、実は薬膳って身近なもので実践できるんです。馴染みのない食材や変わった味付け、という印象をもたれている方が多いと思いますが、そんなことはありません。中国で2000年も受け継がれてきたワケは、手軽に長く続けやすい健康法だからです。
そこで今回は、今がおいしい夏野菜をたっぷり使う、お手軽薬膳レシピを3つご紹介します」
1. とうもろこしと生姜のごはん
材料
・米……2合
・とうもろこし……1本
・生姜……2片
・酒……大さじ1杯
・塩……小さじ1/2杯
作り方
1. 米は研いで30分~1時間浸水し、ザルにあげて水気をよく切る
2. とうもろこしは長さを半分にして実をそぎ落とす。生姜は千切りにする
3. 炊飯器に1と酒、塩、水340cc(分量外)を入れてさっと混ぜる。とうもろこしの芯をのせ、とうもろこしの実と生姜を散らして早炊きで炊く
※とうもろこしの髭もさっと洗って水気を切り、お茶パックに入れて一緒に炊飯すると、より水分代謝を促すことが期待できますよ
ポイント食材は「とうもろこし・生姜」
「とうもろこしは、胃の調子を整えるはたらきがあります。また、利尿作用があるのでむくみ対策に役立ちますよ。特に、とうもろこしのひげは、玉米髭(ぎょくべいしゅ)と言って、むくみを抑制する生薬としても使われるんです。同じく生姜にも、体の水はけを良くしたり、体を温めたりする作用がありますよ」
2. アスパラガスとみょうがのおひたし
材料
・アスパラガス……100g(4~5本)
・みょうが……3個
a. だし汁(一番出汁)……200cc
a. しょうゆ……小さじ1杯
a. 酢……小さじ1/2杯
a. 塩、砂糖……各小さじ1/4杯
・塩……適量
作り方
1. アスパラガスは根元3cm切り落とし、下1/3の皮をピーラーで剥く。はかまが気になる場合は除く。みょうがは縦4つ割りにする
2. (a)をよく混ぜ合わせ、だし汁が温かい場合は氷水に当てて冷やす
3. 鍋に湯を沸かし、塩を加える(水500ccに小さじ1/2杯程度)アスパラガスを加えて中火で2分ゆでる。さらにみょうがを加えて30秒ゆでたらザルにあげ、さっと水にさらしキッチンペーパーで水気をよく拭きとる
4. 3を2に漬けて、冷蔵庫で1時間置く
ポイント食材は「アスパラガス・みょうが」
「アスパラガスは、気をおぎない、疲労を回復させる作用があります。また、利尿作用があるのでむくみ対策にも有効です。みょうがの香りには、気を巡らせる、リフレッシュ、食欲の増進といったはたらきがあります。だしに酢を少し加えることで、梅雨でもさっぱりと食べられ、食材が色よく仕上がりますよ」
3. 牛肉となすの味噌炒め
材料
・牛肉(切り落とし)……150g
・なす……2本(160g)
・にんにくの芽……6本(50g)
a. 味噌……大さじ1杯
a. 酒……大さじ1/2杯
a. しょうゆ……大さじ1/2杯
a. 砂糖……大さじ1/2杯
・塩、こしょう……各適量
・ごま油……大さじ1杯と小さじ1/2杯
作り方
1. なすはヘタを落として半分に切り、縦6等分に切る。さらに斜め半分に切る。 にんにくの芽は長さ4cm程度に切る。牛肉は大きければ食べやすい大きさに切り、塩こしょうを振る(a)は合わせておく
2. フライパンにごま油を熱し、なすを断面から入れ、あまり触らずに強めの中火で焼き付ける。空いたところににんにくの芽も加える
3. 焼き色がついたら片側に寄せ、空いたところにごま油小さじ1/2杯を足し、牛肉を炒める。8割色が変わったら全体を炒め合わせる
4. 牛肉の色が変わったら火を止め、(a)を回し入れる。弱めの中火で照りがでてくるまで炒める
ポイント食材は「牛肉・なす・にんにくの芽」
「牛肉は言わずと知れたスタミナ食材。気を補い、疲労回復作用が期待できますよ。また、なすには胃の調子を整えるはたらきや、利尿作用があるので、むくみ対策にも有効です。にんにくの芽は、消化の力を強める、香りで気を巡らせる、体内の湿気を逃がすといった力があります。梅雨を乗りきるスタミナレシピです」
ゆる薬膳レシピでおいしく梅雨を乗り切ろう!
旬の味覚を味わう、ゆる薬膳レシピをご紹介しました。どれも馴染みのある味付けで、薬膳のイメージを覆す手軽なレシピばかり。食材の持つ効能を知ると、料理もより一層楽しくなりそうですね。
「薬膳はゆるくでも続けてこそ、良さが発揮される」と齋藤さんはいいます。すぐに結果が出るものではないので、長期的な視点で体質改善をねらって、無理のない範囲でゆる~く続けてみてくださいね。おいしく食べて、梅雨を乗り越えましょう!
取材・文/高崎瑞輝(macaroni 編集部)
撮影/あんりちこ(macaroni ライター)