炊飯器で手軽に!お店レベルの「カオマンガイ」【調理家電でラク家事ごはん #1】

炊飯器フル活用でお店レベルのエスニック料理を食卓に

外出しづらい状況が続く梅雨。レストランで食べるようなごちそうを自宅で、しかも楽に作れたら、気分も明るくなりますね!そこで本企画では、どこのおうちにもある調理家電を使ってお手軽に作れる、しかもとびきりおいしい料理のレシピを、月替わりでテーマを変えながらご紹介します。

今月(2021年6月)お送りする第一弾のテーマは、炊飯器をフル活用したエスニック料理。タイ料理研究家の鈴木佳代子先生が、炊飯器の機能を生かして簡単に本場の味を再現できるよう考えたレシピを教えてくれました。初回はタイのチキンライス「カオマンガイ」です。

炊飯器で手軽に!タイのチキンライス「カオマンガイ」

「タイには便利な屋台文化があり、おいしい食事を安価で食べることができるので、自炊はせず、外食やおかずを買って帰って食べるのが日常。カオマンガイはポピュラーな料理ですが、家では作らず、専門店へ食べに行くのです」

タイでは「専門店の味」とのことでしたが、炊飯器の機能を生かせば、作り方はとっても簡単。本来は鶏肉のゆで汁でご飯を炊きますが、今回のレシピでは、その辺りの作業をまとめて済ませることができると鈴木さん。

「おいしく仕上げるコツは、鶏の香りと旨味が詰まったツヤツヤなごはんに仕上げること!」

材料(2人分)

・鶏もも肉……1枚
・にんにく(軽くつぶす)……1片
・しょうが(皮をむいて薄切り)……3枚
・米(ジャスミンライス、なければ日本米でも)……1カップ
・水……1カップ
・塩、砂糖……各小さじ1杯

A にんにく(みじん切り)……1片
A しょうが(皮をむいてみじんぎり)……10g
A 唐辛子(小口切り・できれば生を、ない場合は鷹の爪を水で戻してやわらかくして、種は除く)……1~2本
A タオチオ(または味噌)……大さじ1と1/2杯
A シーユーカオ(しょうゆ)……大さじ1杯
A 酢……大さじ1杯
A 砂糖……大さじ1と1/2杯

・きゅうり、パクチー……適量

作り方

1. 鶏肉を切り分ける

鶏肉の余分な皮と脂を取り分け、鶏肉を半分に切ります。

鶏肉に軽く塩(分量外)をふります。

「タイでは、よく運動をさせた鶏の肉を煮込み料理に使います。それは、そういう鶏肉のほうが弾力があり、煮込みに向いているから。料理に合わせてお肉を細かく使い分けるのが一般的なのです。今回は徳島県産「阿波尾鶏」の熟成肉を使ってみたのですが、ジューシーでやわらかい肉質でありながらほどよい弾力があって、カオマンガイにぴったりでした」

2. 米を洗ってザルにあげる

ボウルに米を入れて水を注ぎ、軽く混ぜたらすぐに水を捨てます。これを3回繰り返し、素早くザルにあげます。長粒のジャスミンライスはお米をゴシゴシ研ぐと折れてしまうので、汚れを落とす程度にやさしくさっと洗いましょう。

「お米は日本のものでもかまいませんが、やはりジャスミンライスが最適。特有の香りが鶏肉の味を引き立てます。またパラっとした食感がタレともベストマッチ。ぜひ使ってみてください」

3. 皮と脂を炒め、油を取る

1 で取り分けた皮と脂を炒め、油が出てきたら皮を取り出します。大さじ3杯程度の脂が出るまでじっくりと炒めてください。

「出てきた油は、捨てずに全部使ってください。この油がカオマンガイのおいしさのヒケツです。油をとってカリカリになった鶏皮は、塩を振るとおいしい鶏皮チップスになりますよ」

4. 鶏の油でにんにく、しょうが、米を炒める

3 へにんにくとしょうがを入れ炒め、香りが出てきたら米を加えて中火で2~3分炒めます。

「お米に透明感が出てぼそぼそとしてきたら火を止めます。炒めすぎて焦がさないよう注意してください」

5. 炊飯器の内釜に材料を入れて「炊飯」する

炊飯器の内釜に、炒めた米、水、塩、砂糖を入れ、鶏肉をのせて「炊飯」します。

お米は油で炒めることでコーティングされているので、日本米でもジャスミンライスでも、米1カップにつき水1カップは必ず入れましょう。

「塩と砂糖を加え、ひと混ぜすると味や火の入りが均一になり、ごはんが炊けます」

6. タレの材料を合わせる

器に A を入れ、よく混ぜ合わせてタレを作っておきます。

7. 皿に盛り付け、タレを添える

お皿に炊きあがったご飯と1cm幅に切った鶏肉をのせ、薄切りにしたきゅうりとパクチー、6 のタレを添えたら完成。

「最後に仕上げのポイントをふたつ。鶏肉はそぎ切りではなく繊維に直角に、やや厚めに感じる幅に切り分けてください。カオマンガイらしいモチっとした弾力を味わえます。

もうひとつは、きゅうりやパクチーなどの野菜を添えること。タイではお肉だけ、魚だけでは食べず、野菜を一緒にとります。カオマンガイは鶏の脂がかなり効いていますので、箸休めとなるきゅうりやパクチーがあるだけで、よりさっぱりと、おいしくいただけますよ」

手間なし炊飯器調理で奥深いタイ料理の世界へ

彩りと食感を大事にするタイ料理は、地方によっても料理法がまったく異なります。ただ辛いだけではない奥深い味わいを、私たちにとって親しみ深い炊飯器で手軽に再現できるだなんて、うれしいですね。

鶏肉の旨味がご飯にギュッとしみ込んだ、シンプルながらごちそう感もあるカオマンガイ。いくつかのポイントを押さえて調理するだけで、まさにお店レベルのひと品となります。昼食や夕ご飯の食卓に登場させたなら、家族みんなが驚き、喜んでくれるはず。さあ、おうちエスニックレストラン開店といきましょう!

次回は季節感たっぷり!炊飯器で作れる「もち米とマンゴーのデザート」です。お楽しみに!

文・取材/神山牧恵