新宿区じゃなくて牛込区...? 地図の変化で追う「東京23区」の歴史
23の特別区から構成される東京都区部。
戦前は、「35区」だったこと、読者の皆さんはご存じだったろうか。初めて聞いた筆者は、目が点に。
そんな「東京23区の変遷」を示した手描きの地図が、ツイッターで話題になっている。
1932年、東京市35区(画像は植田白水(@spring_asdurawa)さんから、以下同)
あれ、新宿区や千代田区、港区はどこに...。代わりに地図には、「牛込区」や「麹町区」、「深川区」といった、今は存在しない区の名前が書き込まれている。
この地図の右下には「1932年(昭7)周辺5郡編入 東京市35区発足」とある。描いたのは、ツイッターユーザーの植田白水(@spring_asdurawa)さん。2021年2月7日に、
「23区の変遷をまとめてみたかった」
とつぶやき、投稿した3枚の地図のうちの、1枚だ。
23区の変遷をまとめてみたかった pic.twitter.com/t7TBn1My1L
— 植田白水 (@spring_asdurawa) February 6, 2021
眺めているだけでも面白い地図である。東京都が、こんな変遷をたどってきたとは。
その歴史を、植田白水さんの手描きMAPとともに振りかえってみよう。
世田谷「村」に渋谷「村」...
1889年(明22) 町村制施行、東京市(15区)発足
こちらは、東京市に15区が発足した1889年当時の地図を描いたもの。
中央にある真っ白な部分に、麹町区、神田区、日本橋区、京橋区、芝区、麻布区、赤坂区、四谷区、牛込区、小石川区、本郷区、下谷区、浅草区、本所区、深川区と、「区」がなければ見覚えのある地名がたくさん並んでいる。
現在の23区で言うと、港区、千代田区、中央区、文京区、台東区の全域と、新宿区、墨田区、江東区の一部あたりだ。
その周辺を荏原(えばら)郡、南葛飾郡といった「郡」が囲っている。その中に世田谷「村」や目黒「村」を見ることができる。
その後、先に示したように1932年に周辺の郡が区に組み込まれ、35区が発足したというわけだ。
1932年(昭和)
そして戦後の1947年(昭和22)に、35区は再編されることになる。
1947年(練馬区と板橋区の境界に誤りがあったため、一部投稿者が修正したものを紹介)
ああ、筆者の住む葛飾区だ。編集部がある千代田区や、お隣の新宿区など、見慣れた名前がやっと登場する。
消えてしまった「区」も多いので、なんだか寂しさもあるが、やっぱりこれがいちばんしっくりくる。
これらの地図を作製したのは、神奈川県川崎市出身・在住の植田白水さん(10代男性・大学生)だ。
幼い頃から地図や地理、旅行に興味がある彼。大学では地理学を学んでいるという。
3枚の地図は、地図アプリ「スーパー地図」で閲覧可能の古地図や地理院地図、wikipediaを参照して作成。ペイントアプリを使って、iPadで描いたそうだ。
23区の変遷をまとめた、感想は...?
彼に聞いてみると、
「23区のこの狭い範囲にひしめき合っていた村々が互いにくっついて町となり区となっていく過程から、東京という街が成長していったさまをリアルに実感することができました。1889年の町村制施行以前のさらに小さな村についても調査してみたいと思います」
との答え。
地図の変化を見ていくことで、歴史を感じられる。地理って、楽しいな。