もちもちのワンタンが6個も! 白河ラーメンの名店を再現したカップ麺は完全に「ご馳走」だった
マニアと味わう「ご当地カップ麺」の世界第四十七回 ファミマ限定「とら食堂 ワンタン麺」 文・写真:オサーン
カップ麺ブロガーのオサーンです。「ご当地カップ麺」をレビューする連載の第四十七回目となる今回は、ファミリーマート限定商品の、「とら食堂 ワンタン麺」をご紹介します。福島県のご当地ラーメンのひとつである「白河ラーメン」の名店として知られる、「とら食堂」の味を再現しています。
「とら食堂」は白河ラーメンの名店
「白河ラーメン」は、福島県白河市を中心に広まるご当地ラーメンのひとつです。鶏ガラや豚骨をベースとした澄んだ醤油味のスープに、平打ちで縮れのついた多加水麺を合わせているのが特徴。同じ福島県の「喜多方ラーメン」と似ている部分が多いですが、喜多方に比べると麺が細く、スープの味が濃いめという違いがあります。
その白河ラーメンの中で最もよく知られているのが、今回紹介するカップ麺が再現している「とら食堂」のものです。先代店主が屋台で修行した技術を後進に伝え、独立してお店を開くことで、白河ラーメンの発展につながってきました。とら食堂は白河ラーメンの礎と言っても過言ではありません。
とら食堂の味は以前からカップ麺にもなっていて、かつてはサンヨー食品から、2018年以降は明星食品からファミマ限定で毎年発売されています。今回の商品もファミマ限定発売で、お店の人気メニューのひとつである「ワンタン麺」を再現。ワンタンが例年の1.5倍に増量されているそうです。
内容物を確認
別添袋は「液体スープ」、「粉末スープ」、「かやく」の3袋で、かやく袋にはチャーシューやメンマが入っています。
また、カップには麺とともに予めワンタンが入っています。例年は4個なのですが、今回は6個入っているので、確かに1.5倍です。大きなチャーシューとワンタン6個とはかなりリッチですね。
あっさりながら旨みが骨太の醤油味スープ
白河ラーメンやとら食堂の特徴踏まえた鶏ガラと豚骨がベースのハイブリッドなスープで、特に鶏ガラが強く感じられます。基本的にはあっさり味のスープで塩辛さは皆無です。ですが、醤油の香りや鶏ガラの旨みが濃いため、あっさりではあっても薄味ではなく骨太です。
スープ表面には豚脂や鶏油などの油脂が浮いており、あっさりながらスープに多少のこってり感を持たせています。がっしりした豚脂の風味と、甘い香りを伴った鶏油が、スープに奥行きを加えており、高価格カップ麺らしく繊細で複雑な味わいが感じられました。
手打ち麺を再現したノンフライ麺
繊細なスープに合わせられているのは、中太で縮れのついたノンフライ麺です。表面のつるみと強い弾力が特徴の多加水麺食感で、やや幅広の形状となっています。結構弾力があって主張が強いのですが、スープもあっさりながら旨みが太いため、麺とスープのバランスがしっかり取れていました。
とら食堂を始めとする白河ラーメンは、伝統的に木の棒で麺を打つ手打ち麺が特徴で、縮れの強い平打ちの多加水麺はその独特な食感から「ピロピロ麺」と呼ばれています。今回の麺は厚みがあってピロピロはしていませんが、縮れがしっかりついて手打ち感がありました。
ノンフライのワンタンが6個も入っている!
ワンタンが6個入っています。麺が普通に入っている上に、ワンタンが6個も入っていると、これはもう大盛かそれ以上の食べ応えになります。ノンフライのワンタンで皮がもちもちしており、中の餡は多めで、生姜が香っていました。
実際のお店で供されるワンタンで、ここまでもちもちしているものはあまりお目にかかったことはなく、餡も多いので、お店以上に本格的と言えるかもしれません。
トッピングには、ワンタン6個だけでもすごいですが、小さめではあるものの脂身がついて肉感の強いチャーシュー、そして細かなメンマがたくさん入っていました。カップ麺でここまでの具だくさんなのは、なかなか見ないレベルです。
価格以上のご馳走カップ麺
白河ラーメンの名店「とら食堂」の味を再現したカップ麺でしたが、あっさりだけど旨みの太いスープに弾力のある本格食感の多加水麺を合わせ、さらにノンフライワンタンが6個も入っている、3拍子揃った素晴らしい商品でした。
定価税込289円でカップ麺としてはなかなか手に取りにくい高額商品なのが難点ですが、価格以上に価値のある「ご馳走」なのは間違いありません。巣ごもりの生活の中でのちょっとした贅沢として強くおすすめしたい一杯です。