2021年のお正月は、帰省も自粛、初詣も自粛とあって、ちっともお正月らしくなかった...という人も多いだろう。

Jタウンネット記者もその内の1人だが、気分だけでもお正月気分を楽しみたい...とツイッターを眺めていたら、なんとも興味深い初詣のワンシーンを見つけた。

お面を売る露店が「原点回帰」したらしいのだ。

話題になっている写真が、こちらだ。


画像は、ばぐまん(@bugman360)さんのツイートから

ツイッターユーザーのばぐまん(@bugman360)さんが撮影した、初詣でお面を売っている露店である。1月3日、埼玉県の久伊豆神社に出ていた店だ。

ドラえもんやアンパンマンなどの人気キャラクターと共に、たくさんの「狐面」が並んでいる。写真で確認できるだけでも、15個以上。

記者がかつて見かけたお面屋さんには、日曜の朝にテレビで放送されているアニメや特撮のお面がズラリと並んでいたはず。

伏見稲荷でもなければ、こんなにたくさんの狐面は売っていなかった。お店の半分近くを狐が埋めている光景は、なかなか珍しいが...みなさんは、なぜこんなことになっているかお分かりだろうか。

そっくりすぎでは...?

ところで、この狐のお面。ただのキツネではない。

よくよく見てみると、太陽のようなマークがついているもの、頬に傷があるもの、星印が描かれているものなど、豊富なラインアップだ。

この品揃えに、ピンときた人も多いかもしれない。

そう、お面の露店が狐面だらけになったのは、人気作品「鬼滅の刃」の影響なのだ。

鬼滅の刃」の主人公・竈門炭治郎。そして彼を鍛えあげた「育手(そだて)」である鱗滝左近次(うろこだきさこんじ)の弟子、錆兎(さびと)と真菰(まこも)。彼らが身に着けている印象的なアイテムが、まさに狐のお面なのだ。

作中で「厄除の面」と言われるそれは、鱗滝が手作りし、弟子を思って贈る貴重なもの。物語上でも重要な役割を果たす。

炭治郎が贈られたのは、狐の左耳の下に赤い太陽のようなマークが描かれたもの。そう、久伊豆神社の出店のそして左上に4つ並ぶ、赤い目を見開いたお面は、それと瓜二つである。

その右隣にある黒い目に、頬の赤い傷跡......錆兎の狐面とそっくりだし、その横の水色の星がデザインされたものもは、星と花柄という違いこそあれ、真菰の狐面によく似ている。

Jタウンネット編集部で調べてみたところ、これらの狐面はネットショップで、『鬼滅の刃』風のなりきりグッズとして販売されていた。

この光景を「原点回帰」と表現した投稿者のばぐまんさんは昨年、「鬼滅の刃」のアニメを全話視聴したという。

この露店を見たときの感想を聞くと、

「お面屋さんが扱うお面は定番と流行りのキャラクターもの中心でしたが、鬼滅の刃ブームで炭次郎や禰豆子ではなく厄除の面をモチーフに持ってきたのはセンスがいいなあと思いました」

とばぐまんさん。

この光景が多くの人の関心を集めた理由については、狐面がかつて、豊穣祈願の舞を踊る際に着けられていたことにも触れつつ、

「(狐面が)一周回って初詣のお面屋さんで扱われていること、コロナで軒並みお祭りが中止になり見かけなかった露天が再び出店されるようになった事、これらが日本文化を根底に宿す多くの人に響いているのかもしれません」

とした。

ちなみに、投稿のリプライ欄には、

「天狗の面は無いんかなぁ...」
「天狗の面も共に並べてほしいですね」
「鱗滝さん本人のは...」

など、鱗滝が身に着けている天狗のお面を望む声も多かった。

もし狐面といっしょに天狗も売られていたら、いっそう、昔ながらの露店といった雰囲気になるかもしれない......。