鬼滅の刃も野放し!? 違法漫画サイトの現状を調べてみた

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2020年は「鬼滅の刃」の大ヒットなど、あらためて漫画のパワーを見せつけられた1年となった。
鬼滅の刃のコミックスは、書店でも軒並み品切れ。その反動なのか、ネット上の違法漫画サイトを探す人は後をたたない。

悪名高き「漫画村」は消滅したものの、違法漫画サイトは今も野放しになっているのが実情だ。

今回は違法漫画サイトの現状を調査してみた。


■「鬼滅の刃」「キングダム」などを堂々とアップ
今回はいくつかの違法サイトを調査したが、「A」というサイトを例にその実情を紹介しよう。

一般的な違法漫画サイトでは、アップしている漫画をキーワード検索できるようになっている。
試しに「鬼滅の刃」と検索してみると、下の画像のようにアップ情報があっけなく表示された。
あまりに堂々としているので、拍子抜けしてしまった。


違法漫画サイト「A」のトップ画面。最新のアップ情報がブログ形式で掲載されている。



サイトの右上にある検索ボックスからキーワード検索が可能。試しに「鬼滅の刃」と検索してみると…。



コミックの画像とともにアップ情報が表示された。まるで漫画家や出版社をあざ笑うような大胆さだ。



■ファイルにたどり着く過程も巧妙化
違法ファイルにアクセスする過程も巧妙化している。
この「A」というサイトの場合、
・掲載されているリンクをクリックすると、まずまったく関係無さそうなサイトに飛ばれる
・ここで番号などを入力する
・ようやくアップ先のリンクが表示される
こうしたしくみだ。

また、この種のサイトにありがちだが、広告サイトに頻繁に飛ばされるなど、ユーザビリティはきわめて悪い。


このサイトの場合、一見すると無関係なページへ誘導され、番号や文字列を入力するようになっていた。



番号や文字列を入力すると、アップロード先のリンクが表示された。



■2021年1月1日からは漫画のダウンロードも罰則対象に
2020年は著作権法が改正され、従来の動画や音楽に加え、漫画を違法ダウンロードした場合も刑事罰の対象になった。

違法コンテンツと知りつつ、継続的にダウンロードした場合、
有罪なら2年以下の懲役か200万円以下の罰金が科される。
なお、起訴には著作権者の告訴が必要となる。

改正著作権法の概要については、文化庁の公式サイトでも公開しているので、興味のある方はチェックしてみよう。


「著作権法及びプログラムの著作物に係る登録の特例に関する法律の一部を改正する法律の概要」(文化庁公式サイト)。



今回あらためて調べてみると、違法漫画サイトは、いまだ健在であることがわかった。

多くのアクセスを獲得するために人気作品がいち早くアップされる傾向にあり、違法サイト間の競争も激しい。

しかし、これらは著作権法に違反し、漫画家や出版社が本来得るべき利益をかすめ取る行為に他ならない。
このまま放置すれば、業界全体の衰退に繋がるのは自明の理だ。


違法サイトを撲滅するには、出版業界だけの対応では限界がある。
ネットユーザーの一人ひとりが、「違法サイトは絶対に利用しない」という意識を持つことが、とても重要といえるだろう。


執筆:しぶちん(ITライター)