速報版・大学3年生が選んだ就職人気ランキング。1位は伊藤忠商事で、総合商社に人気が集まる。

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ニューノーマルな就職活動が求められる中、学生たちの注目を集める企業はどこか (写真:jessie/PIXTA)

コロナ禍の影響は、企業の採用活動にもじわりと影響を与えている。厚生労働省が発表した、2020年9月の有効求人倍率は1.03倍と、1倍を割り込む水準に近づいている。正社員(新規学卒者を除く)に限ると0.78倍で、もはや求職者側に有利な「売り手市場」とはいえない状況になっている。

学生に有利な「売り手市場」は終焉へ

雇用の状況は足元の景気に対して遅れて動く傾向がある。企業業績の悪化が伝えられる中、新卒採用も今後、採用数を絞るといった見直しの動きが出てくると思われる。


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そうした中、これから就職活動を進めていく大学3年生(大学院1年生)はどういった企業に注目しているのか? そこで作成したのが、9月末時点で集計した「速報版・就職人気ランキング」だ。

データは文化放送キャリアパートナーズ就職情報研究所の調査を基にしており、同社の就職サイト「ブンナビ!」に登録する、2022年春卒業予定の大学生や大学院生が調査対象者で、今回は登録会員のうち、9022人から回答を得ている。

ここでは、2019年(2021年卒)からの順位の変化を中心に結果を見ていこう。

1位は伊藤忠商事。2019年の同時期の調査では6位だったがトップにまで躍り出た。2位は三菱商事で、こちらも前年の11位からジャンプアップしている。ここに来て総合商社の人気がさらに高まっている。コロナの影響を受けているとはいえ、運輸や飲食といった「コロナ直撃業種」に比べれば傷は浅い。

伊藤忠商事については、働き方改革を積極的に進めていることも評価されていると思われ、属性別ランキングで男子、女子、文系で1位になるなど幅広い層から支持を得ている。

3位日本生命保険、4位大和証券グループ、6位損害保険ジャパンなど金融業も根強い人気を維持している。メガバンクはマイナス金利下で業績が伸び悩み、事務職の削減などを進めているため敬遠されているが、証券や生損保についてはまだまだ成長余地があると考える就活生が多いようだ。

コロナ影響少ない企業に人気集まる

5位には大手広告代理店の博報堂/博報堂DYメディアパートナーズがランクインした。7位には味の素、8位には明治グループ(明治・Meiji Seika ファルマ)と、食品メーカー2社がトップ10にランクインしている。とくに理系学生の支持が高く、明治グループは理系1位、味の素は理系では3位だった。以下、9位集英社、10位バンダイと続く。

一方、昨年まで人気を集めていた、エアラインや旅行業などは採用中止などの影響を受け、学生が「対象企業から外す」動きになっている。実際、2021年卒の速報版ランキングで1位だった全日本空輸(ANA)は58位、同じく3位だった日本航空(JAL)は67位までランクを下げている。旅行業の大手もJTBグループ42位、エイチ・アイ・エス(HIS)78位という結果になっている。

トップ100の企業を見渡すと、金融やマスコミ、食品メーカーなどに人気が集まっている。コロナ禍の中でも業績を確保していたり、影響が少ない企業を就活生が志望先として選ぶ傾向が強まっていると思われる。



■調査について
調査主体:文化放送キャリアパートナーズ 就職情報研究所
調査対象:2022年春入社希望の「ブンナビ!」会員(現大学3年生、現大学院1年生)
調査方法:文化放送キャリアパートナーズ運営の就職サイト「ブンナビ!」上でのWebアンケート、文化放送キャリアパートナーズ主催の就職イベント会場での紙・アプリアンケート
*投票者1名が最大5票を有し、志望企業を1位から5位まで選択する形式。順位ごとに5点から1点を配点し、その合計で順位を算出
調査期間:2020年4月1日〜9月30日
回答数:9022(うち男子3824・女子5198/文系7478・理系1544)
総得票数:28792票
男女比を1:1にするため、男子得票数に1.359309623を掛けたポイント制。社名はアンケート上の名称で、1採用窓口=1社名を基準にしている。グループで採用が一本化されている場合は「○○グループ」等で表記。2021年卒の速報版の調査期間は2019年6月1日〜9月16日