浜松駅周辺は飲食店が多いのに……

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―[40代日雇い男「Uber Eats」自転車出稼ぎ旅【東京発沖縄行】]―

 僕は普段、日雇い派遣などの仕事で稼ぎつつ、時間を見つけてはタイなどの東南アジアを中心に旅してきた。この状況では海外旅行には行けそうにないが、日本国内ならば比較的自由に動けるようになってきている。旅がしたい。でも、社会の底辺で生きる僕にはお金がない。そこで「Uber Eats」の配達で稼ぎながら国内を自転車で旅するという方法をとることにしたのである。

◆お店の商品入れ忘れで再配達

 旅に出てから10日目、僕は静岡市にいた。この日はトラブルが続いた。

 その日も最初の配達リクエストはマクドナルドだった。店で商品を受け取り、それをお客さんに届けたところでUber Eatsのサポートから電話が来た。

「さっきの配達のことですが……」
「なにか問題ありました?」
「お店が袋に入れ忘れた商品があるそうなんです。なので、お店に商品を取りに戻ってもらえますか」
「さっき配達を終えたところですけど」
「もう一度お店に戻ってください」

「この場合、報酬はどうなるんですか?」
「通常の1回分の配達報酬です」
「つまり、お店側のミスで配達を2往復させられるにも関わらず、報酬は配達1回分しか払われないということですか?」
「はい、そうなりますね」

 ふざけるなよ……。

「あーはいはい、わかりました。取りに戻りまーす」

 僕は少しキレ気味にそう答えて電話を切った。そしてマクドナルドに戻ると、店員は入れ忘れの商品であるハッシュドポテトを渡してくる。僕にはお詫びとしてSサイズのコーラをくれた。再配達の報酬がこれか。チーズ月見バーガーセットだったならなにも文句はなかったのだが……。

◆突然のアカウント停止

 その日5件目の配達を終えたところでさらなるトラブルが発生した。突然、Uber Eatsの配達アプリのアカウントが停止されたのである。

 僕のアカウントに登録されている都市は東京のままになっていた。登録の都市以外でも配達することはできるのだが、その場合、プロモーションが付与されない。このプロモーションというのは通常報酬にプラスされるボーナスのようなものである。配達する都市に登録を変更すればプロモーションは付与されるが、それには登録を変更してから約2週間もかかるという。僕は2週間後には名古屋にいる予定だったので、その日の朝に登録の都市を東京から名古屋に変更する申請をしていた。

 Uber Eatsのサポートから届いたメッセージによると、この申請の審査のためにアカウントを停止しており、再有効になるまで約3日を要するという。
 
 約3日……。

 それは僕にとってはあまりに絶望的な日数だった。このとき、旅費はすでに残り5000円程度になっていた。そんなにアカウントを停止されてもつわけがない。もうダメだ。終わった……。

 うなだれてゲストハウスに帰り、ドミトリーのベッドにふて寝した。そして数時間後に目を覚まし、何気なくUber Eatsの配達アプリを起動させた。すると、すでにアカウントは有効になっていた。審査には約3日を要すると言いながらほんの数時間で完了したようなのである。

 とにかくよかった! 僕は再びウーバーのバッグを背負って自転車で街中に飛び出した。が、そのときすでに夕方に近く、そこからはもうたいして稼ぐことはできなかった。

◆少しでも早く名古屋に行きたかった

 11日目、ゲストハウスをチェックアウトすると、浜松に向けて出発した。旅費はもう残りわずかなのだからこの静岡市でもう少し稼いでからにしたほうがいいのだろうが、少しでも早く名古屋に近づいておきたかったのである。

 理由は2つあった。ひとつは名古屋のような大都市ならば間違いなく稼げるということ。そしてもうひとつは名古屋での宿泊費が驚くほど安いということである。ホテル予約サイトで名古屋の宿泊施設を検索すると、いちばん安いので1泊たったの1000円程度のゲストハウスがあった。