ネットで見かける“大都会岡山”ってなに? 元ネタとなった2ちゃんねるのスレッドや、幻の「ハヤシバラシティ計画」までガチで解説!

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 今回紹介するのは、このさきれむさんがニコニコ動画に投稿した『「大都会岡山」の発祥を解説する!【ゆっくり解説】』という動画です。音声読み上げソフトを使用して、れむと、同人魔理沙が、ネットでよく目にするネタである「大都会岡山」について、発祥の元ネタとなった2ちゃんねる黎明期のスレッドの紹介や、なぜ岡山が大都会と呼ばれるようになったのかを解説します。

投稿者メッセージ(動画説明文より)

ゆっくり達が「地理」の面白い世界を紹介していきます!
※訂正:地理お国自慢板の設立は2001年2月25日だったかも(曖昧)

「大都会岡山」は2ちゃんねるが発祥

左から霧雨魔理沙此野咲れむ

れむ: 
 今回は岡山はなぜ大都会なのかという話題をしたいと思います。時は西暦2000年にさかのぼります。ネット黎明期の当時、匿名のネット掲示板「2ちゃんねる」は、現在の基準からすると比較にならないほど荒れていました。それは学問関係の板も同様であり、地理・人学類板もはげしい荒らしの犠牲、もといほぼマトモな議論が行われていない板でした。

 その内容は、主に国内の地域対立に根ざすもので、定番ネタとしては東京人と大阪人がお互いを罵倒しあうスレッドなどが多発していました。その他にも、広島と岡山、横浜と神戸などの対立が定番であり、特に同時代を代表する、とある固定ハンドルユーザーの荒らし活動が絶大でした。

 彼は理由は不明ながら、横浜市と神戸市にはげしい憎悪を抱いており、朝から晩に至るまで、同掲示板を埋め尽くすほどの荒らしが行われていました。 しかし、これにたまりかねたのが同掲示板の原住民です。「このアホどもを一刻も早く追い出してほしい」という騒動に発展します。

 そこで2000年2月25日、ついに隔離板である「地理お国自慢板」が誕生することになります。しかしそんな対応では問題は解決しませんでした。隔離先の地理お国自慢板では、地域対立ネタは更にタガが外れてはげしさを増していきます。その結果、現代の日本のネット界における様々な地域対立ネタの源流というべきものが次々と生まれていくことにもなりました。

魔理沙:
 まぁ日本のダークなネットスラングの元ネタは2ちゃんねる発祥というものが多いものな。

れむ: 
 さて、お国自慢板のほうでは、いくつかの都市が脚光を浴びはじめることになります。そのひとつが「札仙広福スレ」といえます。この四都市は、その規模と特性から、三大都市とその他の地方都市、両側から煽られやすい存在であり、お互いが対立しつつも、徐々に連携し、准同盟のような関係が形成されていきました。

魔理沙:
 地域を超えた都市同士の交流蚊。それはこれまでに比べるとすごくいい話に聞こえるな。

れむ: 
 しかしこうした関係性は、そこに入れなかった都市の怒りを買うことにもなります。その中の代表格が北九州と岡山です。岡山市は西日本の交通の十字路に存在しており、自分たちこそが中四国、あるいは西日本の中心市に相応しいという自負があったのです。にもかかわらず、札仙広福というわけのわからない括りが存在し、自分たちがその中に入らないのはおかしな話だという論調が強まっていきます。

魔理沙:
 まあ岡山は西日本で移動する時に何かと通る場所ではあるよな。

れむ: 
 もちろん広島側からの反論もありました。岡山は交通の便は確かに良いものの、所詮はただの乗換駅であり、東京でいえば北千住や赤羽のような場所であり、駅の外に一体何があるのかほとんどの人には得体のしれない場所であるというのです。

ハヤシバラシティ開発計画で本物の大都会に!?

れむ: 
 この広島側の反論は岡山に痛恨のダメージを与えたものの、2002年、風向きを一気に変える事件が発生するのです。それがハヤシバラシティ再開発でした。林原というのは、岡山に拠点を置く食品・医療関連の企業グループですが、このグループが所有する岡山駅南の広大な土地を再開発する案が浮上。

 「ザ・ハヤシバラシティ」と名付けられたこの計画は、1500億円をかけて数棟の超高層ビルや恐竜博物館、美術館、高級ホテル、2つのデパートなどを建設するもので、当時の地方都市としては、ほとんどありえない規模のものでした。

 また計画を主導したのが、林原という優良企業だったこともあり、実現は間違いなく、これができればいよいよ「札仙岡福」の時代が来る。というか、西日本の交通中心地であることから、そもそも大阪よりポテンシャルがあるんじゃね? といった感じで、岡山界隈は大変な盛り上がりとなり、お国自慢板もそうしたコピペであふれることになります。

 これからは岡山の時代だ、大都会岡山が実現されるのだ、そうした論調はエスカレートの一途をたどり、やがて岡山はニューヨークや東京も超え、惑星一の大都市になるという意見や、距離単位の1海里が「1ハヤシバラ」に改名されたり、日本が岡山国になり、地球が岡山星になるという話も登場します。

 こうした極端な主張をネタとして面白がる風潮、「大都会岡山ネタ」の誕生です。このネタは他の板から迷い込んできた2ちゃんねる住民にも広くインパクトを与えました。岡山は大都会とは聞いたことなかったけど、なんでか知らないが、お国自慢板周囲ではそういうことになっている。しかも関連するコラ画像も拡散されており、語呂の良さもあって広く受け入れられてきました。

 しかし、なぜ岡山が大都会なのかという話については興味ももたれず拡散もされなかったため、「大都会岡山」という文言とコピペだけが一人歩きをしていくことになります。

林原社の不正経理発覚で計画は頓挫

魔理沙:
 でもハヤシバラなんとかができれば、本当に大都会になるんじゃないか?

れむ: 
 しかし、そうはならなかったのです。後日、林原社は不正経理により、債務超過に陥っていたことが発覚することになります。計画が進まないうちの発覚となったため、プロジェクトも頓挫。ハヤシバラシティ計画は夢のうちに終わることとなります。  

 現在でも大都会岡山のネタや画像はほうぼうで目撃されますが、そこに書き込まれた「林原」の意味を詳しく理解している人は限られるでしょう。今日、ハヤシバラシティができるはずだった場所にはイオン岡山が立っており、多くの買い物客や家族連れを受け入れています。

魔理沙:
 イオンって郊外や地方都市にできるものだから、ある意味大都会にはならなかったということか。

れむ: 
 しかし岡山市は西日本の十字路として今日も多くの人が行き交っており、大都会ならずとも、その重要性が失われることはないでしょう。 

 一時は本当に実現しそうだった「大都会岡山」ですが、残念ながら幻の計画となってしまいましたが、コピペとしてこのまま語り継がれていくことでしょう。二人の解説をノーカットで楽しみたい方はぜひ動画をご視聴ください。

視聴者のコメント

なつかしいネタ
2chが楽しかった時代
実現してたら面白そうだったのに
四国民だけどイオン岡山行ったら規模違い過ぎて泣けた
高知出身としては割と岡山は都会です