CBS MarketWatchによると、10日の米株式市場は、米労働省が朝方発表した2月の雇用統計で、非農業部門就業者数（軍人を除く、季節調整済み）が、市場予想を上回る前月比24万3000人の大幅増加となったことから、当面、景気拡大が続くとの見方が広がって買われ、ダウ平均株価指数は、前日比104.06ドル（0.9％）高の1万1076.34ドルと急反発した。3ケタの大幅上昇は約3週間ぶり。ここ1週間では0.5％の上昇となった。

　　また、ハイテク株のウェートが高いナスダック総合株価指数は12.32ポイント（0.5％）高の2262.04、S&P500株価指数も9.35ポイント（0.7％）高の1281.58とそれぞれ反発して引けた。週間では、ナスダック1.8％安、S&Pは0.4％安だった。

　　2月の雇用統計では、米FRB（連邦準備制度理事会）がインフレ指標として重視する2月の平均時給賃金が、市場予想とほぼ同水準の、前月比5セント(0.3％)増の16.47ドルに留まったものの、1年前との比較では3.5％も上昇したため、市場ではFRBはこれを懸念材料として捉え、現行の利上げキャンペーンがより長期化させる可能性があるとの見方が一部に出てきた。しかし、この日の市場は、全体的に、利上げによる将来の景気への悪影響を懸念するよりも、強い雇用拡大の傾向をひとまず歓迎し、当面はいまの景気の強さと企業業績の好調が持続するという見方に焦点をあてたため、株価を押し上げる結果となった。

　　個別銘柄の動きでは、カナダ通信機器大手ノーテルは、2005年第4四半期（10−12月期）決算で赤字に転落、また、会計に誤りがあったとして2005年通期決算の発表を延期すると発表したことから、前日比2.3％安の3.02ドルで引けた。また、米格安航空大手のジェットブルー航空は、プルデンシャル・エクイティ・グループが同社の投資判断を「ニュートラル」から「アンダーウェイト」に引き下げたことを受け、同7.6％安の10.27ドルで引けた。

　　一方、米金融大手シティグループは、仏銀行大手ソシエテ・ジェネラルの買収を視野に、当局と接触を図っていると報じられたことから、同1.1％高の46.99ドルで引けている。【了】