(RIONGOMUSUME)りんご娘に所属する王林(おうりん)

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青森のご当地アイドル、(RIONGOMUSUME)りんご娘に所属する王林(おうりん)が話題になっている。昨年出演した「踊る!さんま御殿!!」(日本テレビ)で津軽弁と天然キャラに注目が集まると、「ヒルナンデス」「今夜くらべてみました」「ダウンタウンDX」などに出演、一気に全国区の知名度を獲得した。

テレビに出演し始めた当初、その名前からSNS上では「中国人?」などの書き込みもあったが、青森出身の日本人。王林という名前はりんごの品種からきている(所属するりんご娘が青森の魅力をPRすることを目的としているため他のメンバーも「とき」「ジョナゴールド」「彩香」と全員名前はりんごの品種)。

「ENTAME next」では彼女に直撃インタビューを敢行。アイドルになったきっかけから、普段のこと、将来の目標まで、“ド天然”のヴェールの下に隠されている、パーソナルに迫った。

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──最近になって頻繁にバラエティ番組でお見かけする王林さんですが、活動歴は意外に長いとか。どういうきっかけでアイドルになろうと思ったんですか?



王林 え〜と、そもそも私ってアイドルになりたいって考えたことは一度もないんですよ。アイドルじゃなくて、モデルがやりたかったんです。だけど、小さい頃ってモデルのなり方もわからないじゃないですか。それでとりあえず今の事務所のオーディションを受けたんですけど……気がついたら、こんなことになっていました(笑)。

──モデルになりたいというのは、どういう考えから?



王林 子供の頃から、おしゃれが好きだったんです。それで、あるときに青森のほうでファッションショーを見たんですよ。ファッションショーといっても、小さな規模のもので、ショッピングモールの中にランウェイを作ってやっていたんですけど。でも子供だった私には、おしゃれをしているお姉さんたちがすごくキラキラして見えたんです。「いいな。私もあんなふうになりたいな」って。モデルになりたいと思い始めたのが幼稚園。小学校に入るとその思いがますます強くなり、小3のときに今の事務所を受けたという流れです。

──りんご娘にはアルプスおとめという妹分ユニットがありますが、王林さんも最初はアルプスおとめのメンバーになった?



王林 そうですね。今はアルプスおとめのさらに下にリーフという練習生がいるんですけど、私のときはいきなりアルプスおとめに入る感じでした。

──となると、当時の王林さんはりんご娘本体への昇格を目標に頑張っていた?



王林 いや……失礼かもですが、りんご娘になりたいとはあまり思っていませんでした(苦笑)。別にアイドルになりたかったわけじゃないので、そのときも「モデルのお仕事が来たらいいな」とか考えていたんです。それと、せっかくアルプスおとめに入ったんだから、このグループを大きくしていきたいという気持ちもありました。

──どんな子供だったんでしょうか?



王林 お母さんによると、常に踊っていたらしいです。だから歌ったり踊ったりすることは好きだったと思うんです。特定の誰かに憧れるということはなかったですけど。

──なるほど。では小3からアイドルのレッスンが始まっても、すぐに対応できたんですか?



王林 でも「好き」というだけで、決して「上手い」わけではなかったですから。最初は苦労しました。私はまったくの未経験だったけど、入ってくる子の中にはすでに他のところでダンスを習っていたというパターンも多かったんですね。だから全然ついていけなくて、置いてけぼりを喰らったように感じることもありました。そのスクール自体、先生に教わるのではなく、先輩が後輩に教えるシステムが受け継がれていたんです。そういうこともあって、自分は薄っぺらい人間だなと落ち込みました。

──「スクール」という言葉が出ましたが、りんご娘の母体に弘前アクターズスクールプロジェクトというものがありますよね。これは沖縄や広島のアクターズスクールと同じ系列なんですか?



王林 全然そちらとは関係ないんですよ。社長が思いつきで名乗っただけなので。真似っこして勝手に名前をつけたんです(笑)。

──そんなことはないと思いますけどね(笑)。



王林 いや、本当なんですよ! りんご娘という名前も、社長がモーニング娘。を見て真似しただけなんですから。「モーニング娘。のような感じで、青森を元気づけるアイドルを作ろう」というのが最初の考えだったみたいで。

──たしかに最初は「りんご娘.」という表記でしたよね。ネーミングの部分に影響は感じられます(笑)。それと調べていて驚いたんですけど、りんご娘自体は2000年から活動しているそうで。アイドルグループとしてはすごくベテランじゃないですか。



王林 だから地元・青森では、わりとグループの名前は知られていると思います。一応、「認知度100%」って自分たちでは言わせてもらっていますし(笑)。街を歩いていても、「やっほー!」って感じで声をかけられることが多いです。おじいちゃん・おばあちゃんからは「親戚の子供を見るような感じだ」って言われますね。

──さて、王林さんがアルプスおとめからりんご娘に昇格したのは中3のときでした。



王林 当時、りんご娘のメンバーは4人だったんですよ。だけど、今も在籍しているメンバー・とき以外の3人が急に辞めちゃったんです。そのタイミングで私が入りました。ただ私としては「アルプスおとめで頑張りたい」という気持ちが強かったから、そのときは複雑でしたね。

──小3から21歳の現在まで活動しているというのは、やりがいを感じていたからだと想像できます。最大のモチベーションは、なんだったんでしょうか?



王林 一番最初は「いつかモデルになりたい」ということだけでした。だけどこのスクール自体が「青森の魅力を伝えていく」という考えがベースにあるので、私も青森のことやリンゴのことを勉強するようになったんですね。そうなると「私も青森県の力になれるようになりたい」と考え方が変わってきて、その「力になる」方法の一環として「アイドル活動」を捉えるようになったんです。

──いまや各局のバラエティ番組から引っ張りだこですけど、ご自身ではこの状態をどのように分析しているんですか?



王林 自分では特に面白いことを言っているつもりはないんですよ。だからテレビに出始めた最初の頃は悩みました。何を求められるのか全然わからなかったですし。たしかにオンエアされているのを観ると私の発言でウケているんですけど、私には笑われている理由が理解できないんです。スタジオで収録したときも「よし、今のコメントでウケたな」みたいな手応えは一切なかったです。私がテレビに出ることで「王林みたいな奴が青森にいっぱいいるのか」って思われたら、それはそれで青森に申し訳ないですし……。

──考えすぎですよ(笑)。



王林 笑われているのは、私の方言が珍しいということも大きいんでしょうけど。

──でも、りんご娘の他の3人も同じような津軽弁でしゃべっていますからね。



王林 そうなんですよ! 私のしゃべり方は青森だと普通だし、私より訛りが激しいメンバーだっていますから。バラエティで困るのは、努力の仕方がわからないことなんです。もともと私はお笑い志望とかではなかったし、自分が面白いとも思っていないから、頑張りようもなくて。テレビのスタッフさんに「私、どう振舞ったらいいんですかね?」って相談したこともあるんですけど、「いや、王林ちゃんはいつものままでいいよ」って言われたんです。「いつものまま」って言われても……。

──しょうがないですよ。完全なる天然タイプですから。



王林 でも最近改めて思うのは、やっぱり芸人さんってすごいですよね。前からリスペクトしていましたけど、ますます大変なお仕事だなって思うようになりました。どうしようもない私の話を、ちゃんと面白い話に仕上げてくれるわけですから。(明石家)さんまさんとかに対しては感謝の気持ちしかないです。

──テレビといえば、オーディション番組で王林さんが他のアイドルグループに加入したこともありましたよね。



王林 なぜオーディションを受けたかというと話は単純で、要するにりんご娘の知名度を上げたかったんです。だけど想像していた以上にそっちが忙しくなっちゃって、今度はりんご娘の活動に支障をきたすようになってきたんですね。それは自分としては違うなと思い、辞めさせていただきました。あくまでも私にとって一番大事なのは、りんご娘ですから。

──ところで、アイドル活動以外の王林さんってどんなことをして過ごしているんですか? 大学にも通われていますよね。



王林 そうなんですけど、私の生活ってほとんどがりんご娘ですよ。何か特別なことしていたっけな。……逆にどういうことが知りたいですか?

──たとえばオフの日は何をしているんですか?



王林 オフの日かぁ。オフなんて最近あったっけ……。

スタッフ 来年1月までスケジュールはみっちり詰まっていますね。

──そんなに忙しいんですか!



王林 ライブやイベントはもちろんですけど、地元の番組に出させてもらうこともありますし、ライブに向けた練習も入ってきますし。それとリンゴが採れる時期になると、全国でPR活動も行います。やることは結構いっぱいあるんですよね。

──王林さんが青森のアピールに全力を注いでいることは非常によくわかりました。では改めて伺いますが、ズバリ青森の魅力は?



王林 これはあくまでも私のイメージなんですけど、東京ってどんどん新しいものを作って、その代わりに昔からあるものをどんどん壊している気がするんですよ。「壊して&作って」の文化というか。だけど青森は昔からある素材が素晴らしいから、それを壊す必要がないんです。なにか東京をけなしているように聞こえたら、すいません……。

──そこは大丈夫です(笑)。青森の「昔からある素晴らしい素材」とは?



王林 青森には四季折々の魅力があるんです。春は桜が綺麗で、夏にはねぶた祭りやねぷた祭りがあり、秋にはすごく美味しいリンゴとかの味覚が味わえて、冬は見事な雪景色を見ることができる。1年の中で違う表情を見せてくれるんですよね。あとは、やっぱり食べ物の美味しさも大事かな。青天の霹靂というすごく美味しい特Aのお米もありますし。そういう面をもっとPRしていきたいです。

──そういえば王林さんが地元を紹介する番組で取り上げていた『スタミナ源たれ』という焼肉のたれ。あれ、すごく美味しいですね。大ファンになっちゃいました。



王林 うわっ、本当ですか!? それはうれしいなぁ。ありがとうございます(笑)。

──こちらこそ、ありがとうございます(笑)。過去に「東京が怖い」という発言もしていましたが、さすがに慣れました?



王林 いや〜、全然ダメですね。東京の何が怖いって、人が怖いんですよ。単純に東京にいる人の数が怖いし、孤立しているような感じがあるし……。

──孤立ですか?



王林 「誰とも絡みません」っていうオーラを出しているような気がするんです。私の思い込みかもしれないんですけど。人が多いにもかかわらず、それぞれが孤立している……パラレルワールドにいるような気分になります。だから番組の収録とかで東京に行くことがあっても、できるだけすぐ帰るようにしているんです。私にとって東京は、お仕事をするだけの場所。ちょっと空き時間ができても、遊びにいこうなんて思えないです。

──青森でも王林さんと同じ年くらいの女性は東京に対する憧れがあるのでは?



王林 もう少し若い子はそうかもですけどね。私くらいの年齢だと、「やっぱり青森がいいよね」って気づき始めていますよ。「東京は暮らす場所ではないよね」って。

──りんご娘のメンバーは王林さんを含めて4人ですが、テレビで観ていると非常に結束が固そうなイメージがあります。これは何か理由が?



王林 どうだろう? 私たちって結束が固いのかなぁ(笑)。でも東京のグループと違って、「自分が! 自分が!」という気持ちは少ないと思うんですよ。よくも悪くも競争心がないというか。周りにりんご娘の地位を脅かすようなライバルもいないし、のびのびやらせてもらっているのは事実でしょうね。

──アイドルグループの多くは「武道館のステージに立ちたい」「オリコンで1位を獲りたい」「TIFで脚光を浴びたい」といった目標を持っています。りんご娘の場合、そういった野望もあまりないんでしょうか?



王林 それがないんですよね。というのも、「そもそも何のために活動しているのか?」というところに話が戻るんですけど。私たちの場合、メンバー共通の目標として「青森のよさを知ってもらう」というのが一番に来るわけです。青森を知ってもらうために大きい会場でライブしたいということはあっても、それが目標になっちゃったら本末転倒じゃないですか。

──りんご娘の今後なんですけど、王林さんとしてはどうしていきたいですか?



王林 今までは「地元のために、地元で頑張る」というのが事務所の方針だったんです。だけど県外の人たちにも青森の魅力を知ってもらうとしたら、やっぱり私たちが出向いていかないとダメだなと考えるようになりました。おかげさまで私たちも最近は東京でライブ出演させていただく機会が増えたんです。今度の9月12日には渋谷WWWでワンマンライブもやらせていただくことになりましたし。

──おお、すごい! 「青森から全国へ」というわけですか。



王林 今はアイドルの数がたくさんあって、りんご娘もその中のひとつかもしれないですけど、私たちは「ご当地」という部分にすごくこだわりがあるんですね。だからアイドルさんがいっぱい出るような大きなフェスに参加できるようになっても、私たちは絶対に地元のことを忘れないでいたい。私はNegiccoさんを尊敬しているのも、新潟を大事に思う姿が素敵だと思うからなんです。

▽デビュー19周年を記念して東京、青森で2公演を開催!


RINGOMUSUME 19th Anniversary LIVE 〜20周年前年祭〜
東京公演:9月12日(木)渋谷WWW 18:30 OPEN/19:00 START
青森公演:9月22日(日)青森Quarter 18:00 OPEN/18:30 START
※青森公演はSOLD OUT