宇宙ゴミの処理をエンターテインメントにするという構想もある。人工流れ星を作る宇宙ベンチャーのALE(エール、東京都港区)は20年春以降に地球周回軌道上にある超小型衛星から金属を含む粒を放出し、人工流れ星を創出する。金属粒を大気圏に突入させ燃やすことで人工流れ星を発生させる。岡島礼奈エール社長は「役目を終えた衛星を地球の大気圏に落とし流れ星にできれば、宇宙ゴミの対策にもつながるかもしれない」と強調する。

 日本発となる宇宙のビジネスが他の宇宙開発を進めるエンジンとなるかもしれない。

宇宙空間の物体、デブリが94%

 衛星やロケットの小型化・低価格化が進むことで打ち上げ機会が増えるとともに、衛星やロケットの残骸が宇宙ゴミとなって地球の周囲に増加し宇宙開発を妨げている。国際宇宙ステーション(ISS)付近にある宇宙ゴミは地球の周りを秒速7キロ―8キロメートルで回り、他の衛星にぶつかることで衛星の故障の原因となる可能性がある。

 地上から追跡できる宇宙ゴミは10センチメートル以上で2万個、1センチメートル以上で50万―70万個、1ミリメートル以上で1億個を超えるとされている。高度400キロメートルにあるISSを含む高度2000キロメートル以下の低軌道、通信衛星や気象衛星などが回る高度3万6000キロメートル、米国の全地球測位システム(GPS)衛星が使う高度2万キロメートルなどの軌道に多くの人工衛星があり、宇宙ゴミが散乱している。

 宇宙空間を飛ぶ物体では運用中の人工衛星6%を除く94%が宇宙ゴミとされている。内訳として最も多いのが、衛星やロケットの残骸同士がぶつかってできる破砕物で全体の6割弱。現状での宇宙ゴミ対策は、宇宙ゴミの予測進路に対し人工衛星やISSの軌道を変更し衝突を避けるか、1センチメートル以下の宇宙ゴミの衝突に耐えられるシールドを設置することで対応している。

マイクロプラスチックとは

海洋汚染の原因となる5ミリメートル以下の微小ゴミ。プラスチックの容器やレジ袋などが海に流れ、紫外線(UV)や熱による分解、摩耗などで生成する。またビーズ状の形態で作られ捨てられたものもある。有害物質を吸着することも指摘されており、汚染されたマイクロプラスチック(MP)は魚などの体内に蓄積されるため、生態系への悪影響が心配されている。小さいため回収はほぼ不可能。世界では5兆個以上のMPが世界の海を漂っているとされる。プラスチックの総排出量に比べ、海に漂っているMPは極端に少なく、「行方不明のプラスチック」と言われている。