弁護士ドットコムには専業主婦から、離婚にまつわる相談が多数、寄せられています。その多くは「親権をとれるのか?」というもの。

ある女性の場合、単身赴任中の夫から突然、離婚を申し出られたそうです。夫については「家庭を省みる事はなく、年に数回日帰りで帰ってくる程度でしたので、子どももなついていません」といいます。

しかし相談者に経済力がないことを理由に「子どもを引き取る」と言っているそうです。女性は「財力を理由に親権をとられたりませんか? 子どもの生活環境を変えたくありません」と話します。

親権をめぐる交渉で、経済力がないことを理由に専業主婦は不利になるのでしょうか。理崎智英弁護士に聞きました。

●親権「経済力」だけが決め手ではない

ーー親権はどのように決まるのでしょうか。

親権者は、夫婦のどちらが親権者になることが「子の利益ために」なるのかという観点から、判断されます。

具体的には、子の監護に対する意欲や能力、生活環境、子の年齢、性別、子の意思等から「子の利益」にとってどちらが親権者となるのが相応しいか判断されます。

ーー「子の利益」に、経済力は関係するのでしょうか。

子を監護するためにはある程度の資力が必要ですから、資力があることは「子の利益」の判断にとってはプラスに働きます。

ただ、現在は十分な資力がなくても、離婚後、仕事を始めて経済力をつけたり、別れた配偶者からの養育費、各種手当をもらったりすることによって子を監護していくことは可能になるはずです。

ーー今回、相談者が親権をもらえる可能性はあるのでしょうか。

「子の利益」のための判断は、資力以外にも様々な観点で検討されます。

相談者の場合、現在、専業主婦として財力はありませんが、これから働くことは可能です。また夫は、年に数回日帰りで帰ってくる状態で、子を日常的に監護していたのは女性でした。子の生活環境は出来るだけ変えないほうが良いこともあり、女性が子の親権者になる可能性は高いと考えます。

(弁護士ドットコムニュース)

【取材協力弁護士】
理崎 智英(りざき・ともひで)弁護士
一橋大学法学部卒。平成22年弁護士登録。東京弁護士会所属。弁護士登録時から離婚・男女問題の案件を数多く手掛ける。
事務所名:高島総合法律事務所
事務所URL:http://www.takashimalaw.com