こんにちは。東京銭湯のミヤウチです。
突然ですが、みなさんは渋谷駅新南口から徒歩13分のところにある、『改良湯』さんをご存じでしょうか。
 

渋谷という地にありながら、地元の方を中心に賑わっている地域密着型の銭湯です。

私は仕事帰りに立ち寄り、お湯と水風呂を交互に入る「温冷浴」を行って、日々「整う」ために通っていました。
週3〜4は通っていたので、リニューアルの張り紙を見たときには「通えなくなるのは困るーー!」と、思わず焦りの声が出てしまいました(笑)。
一方で、愛すべき改良湯さんがどのような変貌を遂げるのか、たのしみなこともまた事実。

これをきっかけにどう新しい銭湯へと変わっていくのか、いったいどんなリニューアルになるのか、お聞きしました!

 

いつ行っても落ち着く、まったりとした時間が流れる場所

マンションタイプの改良湯さんは、玄関を入るとフロント、その奥にロビーがあります。
物が少なくスッキリとした印象で奥のロビーにはテレビがあり、お風呂上がりについ行ってしまうような落ち着く空間が広がっています。

脱衣所は天井が高く、レトロな雰囲気。お風呂はジェットマッサージのバイブラ、赤外線風呂、超音波座風呂、そしてサウナと水風呂があります。
ペンキ絵は富士山の絵ではなく、白樺の木々が大きく壁一面に描かれており、とてもリラックスした気持ちで浸かることができます。

 

改良湯が過ごしてきた一世紀という歴史


▲今回お話を聞いた改良湯の4代目ご主人、大和さん

改良湯は1916年の第一次世界大戦の真っ只中に建てられ、家族や親戚など一族で銭湯経営をされていたそうです。
そして2016年には創業100年目を迎えました。

関東大震災で被災した改良湯。その後も何度かの改装を経て、20年ほど前から現在の形に。

銭湯経営自体は、奥さまの曽祖父の代からはじめられて現在のご主人は4代目。
奥さまのご実家が改良湯を経営していたため、婿入りする形で跡を継ぎ、以来10年間、この改良湯を切り盛りされています。

『改良湯』という名前の由来について、「『常に良くしていこう。悪いものを直していこう』という、名前通りのポジティブな意味が込められている」と、大和さんが教えてくださいました。時代の変化に合わせてその都度アップデートをしていく改良湯は、平成の終わりとともに、また新たな装いにリニューアル予定です。

 

生まれてからずっと見てきた場所

ご実家が銭湯である奥さまにとって、銭湯がある風景は日常。小さい頃は休日になると浴室内で姉妹仲良く遊んだのが懐かしい、と振り返りながら教えてくれました。

そのなかでも好きな場所は、脱衣所と浴室を仕切る扉上部にある磨りガラス。手のこんだ繊細な磨りガラスには、女性と魚が描かれています。
東郷青児風のタッチで描かれた女性は、ゆるやかな線と佇まいが艶っぽく、とても芸術的でした。

筆者も、この磨りガラスをすこし遠くに眺めながら入浴するのがとても好きでした。

 

銭湯での出会い

ここですこし、筆者であるミヤウチの個人的なお話をさせてください。

職場の近くにあり、なおかつ家も近いということもあり、改良湯さんにはかなりのハイペースで通っていました。
私のお気に入りは赤外線風呂と水風呂の温冷浴。水風呂の温度がぬるすぎず・冷たすぎず、夏場だったらずーっと入っていられるほど私にはぴったりでした。
日々の疲れを癒し、体調を整えて「明日も頑張るぞ……!」のスイッチをオンにしてくれるのが、改良湯さんで過ごす時間。

銭湯で過ごす時間が増えてくると、だんだんお客さん同士が顔見知りになっていきます。そうすると、ますます通うのが楽しくなるのです。
住んでいる地区が近いお客さんだと、改良湯さんの定休日には近所の別の銭湯でお会いする、なんてこともしばしば。

顔見知りといえど、交わす言葉は「こんばんは」と「おやすみなさい」くらい。それでも私には、そのシンプルな関係がとても心地よく、顔なじみの方にお会いするだけで元気がもらえました。
フロントの方も距離感がちょうどよく、お客さんを含めてその場の空気全体に「ほどよい距離感」がある改良湯さんは、私にとってピッタリの銭湯でした。

 

なぜ今回リニューアルをすることになったのか

さて、改良湯さんのリニューアルの話に戻ります。
配管設備などの老朽化を理由に、リニューアル自体は2017年頃に決まっていたとのこと。
どこかが壊れるたびに改修するものの、修理した場所に新しいタイルが貼られていくと、どんどんつぎはぎばかりが増えていく……。だったらいっそのことフルリニューアルしたほうがいいのでは?ということで、今回の決断に至ったそうです。
 
銭湯のリニューアルには、多くの資金が必要になります。もちろんそう簡単に決断できるものではありませんし、すべての希望を叶えるのも難しい。
しかし、ご主人には「水質」を守りたいという、どうしても譲れない信念がありました。
「人それぞれ、どうしても銭湯の好みはある。けれど、『いいお湯』を提供することだけは妥協したくなかった」と、今回のリニューアルへのこだわりを話してくれました。
とくに今回は「炭酸泉」にこだわっているそうですよ!

 

どう変わっていく?改良湯


リニューアルのテーマは「渋谷クロッシング」。
新たにイベントなどが行えるスペースを設けるそうで、「渋谷にある銭湯」という立地を活かし、今後はイベントも開催していきたいとおっしゃっていました。

入浴客や常連客だけでなく、渋谷という土地を訪れるさまざまな人に開かれた銭湯になっていく様子が想像できますね。

また、現在コインランドリーになっている土地には、パーソナルスペースを確保できる個室のような空間を新設予定とのこと。リニューアル後がとっても楽しみです。

改良湯さんのリニューアルの様子は今後も継続して取材し、みなさんにお届けできればと思います!

※SNSで告知していた絵師募集は10/1で締め切らせていただきました。
たくさんのご応募ありがとうございました。

 

今後の予定

2018年9月8日〜12月中旬までリニューアル期間

最近、ツイッターとインスタグラムを始められたそうなので、こちらのアカウントから発信される最新情報をお見逃しなく!
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