「中西経団連」始動、デジタル省は実現するか
サイバーセキュリティーを含め、国際ルールの議論を主導できなければ市場から弾き出されかねない。
デジタル政策に対する政府のスピード感に半ば疑問を呈した形のデジタル省の提案は、「まずは省庁間の連携を強めることに全力を注ぐ」(世耕弘成経済産業相)と一石を投じた。
一方で、日本の企業風土の変化も実感している。例えばコーポレートガバナンス(企業統治)のあり方。4年前の経団連には副会長企業ですら社外取締役を増やすことに否定的な見方があったが、「今ではそういう発言の人はいない」。
経団連は6月1日、「ソーシャル・コミュニケーション本部」を発足。海外機関投資家との意見交換や情報発信を進め、国連の持続可能な開発目標(SDGs)と連動する形で企業がESG(環境・社会・企業統治)投資を呼び込んでいく動きを後押しする。
中西氏は安倍首相と親しい経済人とともに会食を重ねる仲だ。原発などエネルギー政策や社会保障政策、財政再建などの課題に是々非々で臨めるのかを問う声があるのも事実。ただ、グローバル経済の不確実性が増す中、経団連のプレゼンスをとやかく言う暇はない。中西経団連には実行あるのみだ。
インタビュー「デジタルが最も大事な横断的施策だ」
―就任の抱負は。
「中西色を大きく打ち出す考えはない。榊原経団連の副会長として経済成長、構造改革、経済外交を進めてきた。結果を具体的な形にしたい。デジタル技術を活用した自動化では日本は最先端。日本が遅れているという前提に立つ必要ない」
―デフレ脱却に必要なことは。
「力強い経済成長さえあれば物価水準は安定的な上昇気流に乗る。経済成長にはソサエティー5・0を軸とした、ITが社会のあらゆる分野に入る『デジタルトランスフォーメーション』が必要。デジタル技術を社会基盤として活用できれば、日本には成長機会がたくさんある。政府も全面賛成しているが、言葉ほど進んでいない。いかにブレークスルーさせるかが大きな宿題だ」
―任期中にどこまで進められますか。
「技術革新の問題ではない。いかに人が幸せを感じられるか、人間味の勝負だ。社会課題と結びつけ、人間本位の社会がどのように出来上がるのか、ゴールを共有しながら解答を創造しなければならない。最もやりたいことはゴールの共有だ」
