エアバスの大型輸送機ベルーガXLの初号機がロールアウト
2018年1月4日(現地時間)、エアバスの新しい大型輸送機「ベルーガXL」の初号機がフランス、トゥールーズの最終組立工場でロールアウトしました。現在ヨーロッパ各地の工場で製造されたエアバス製旅客機胴体セクションや翼をフランス、ドイツ、スペインにある最終組立工場へと空輸している、大型輸送機「ベルーガST」の後継機となります。
ベルーガXLは、A330の貨物機仕様を元に改造された、大型貨物を空輸するための輸送機。貨物室の全長は45m、内径8m。最大50トンの貨物を積載できます。これは現在同じ用途に用いられているA300-600Rを元にしたベルーガST(A300-600ST)に比べ、30%大きな搭載容量。ベルーガSTでは左右どちらか一方しか搭載できなかったA350XWBの左右主翼を、ベルーガXLでは一度に運ぶことがきます。
エアバスは2016年12月8日(現地時間)からフランス、トゥールーズで最終組立工程を開始し、慎重に組立を続けてきました。ロールアウトしたのは機体のみで、まだ2基のロールスロイス・トレント700エンジンは装着されていません。この機体は試験用のスペースに移動し、2018年半ばを予定している初飛行に向けて、およそ1000時間に及ぶ地上試験に供される予定です。
初号機がロールアウトしたことで、最終組立工場では2号機の組み立てが本格的に始まります。初号機の組立で得られた知見や試験の結果によって、2号機以降の組立は2か月ほど期間を短縮できると見込んでいるとか。
ロールアウトした初号機はまだ塗装もされていませんが、これから2017年にエアバス社内で6種類の候補から公募で選ばれた「微笑むベルーガ(シロイルカ)」のデザインで塗装され、初飛行に臨む予定です。ベルーガXLは全部で5機の製造(改造)が予定されています。
画像:Airbus
(咲村珠樹)