福井県おおい町内の若狭湾でアマダイ釣りをしていたところ、奇妙な「生物」がかかったとツイッターで写真が投稿され、一体何なのかと関心を集めている。

赤茶色の細長い体の先に、大きな口のようなものがある。口の中には、鋭い歯が見え、その上下に付いているのが、大きな角だ。

萩博物館フェイスブック投稿の「生物」と見た目が一致

写真は、海洋生物を学んでいるという男子学生が2017年12月16日にツイッター上にアップした。それでも分からないとは、よほど珍しいものらしい。

この投稿は、3万件ほどもリツイートされており、あまりにグロテスクな姿に驚く声が上がっている。

「こわ!なんじゃこれw」「エイリアンかな?」「すごい深海魚感!」......

「生物」の同定を目指して、様々な推測も書き込まれている。

そんな中で、山口県萩市の萩博物館のフェイスブックに上がった11月8日の投稿が注目された。そこで、「なぞのせいぶつ」としてアップされた写真が、若狭湾で見つかった投稿写真の「生物」とほぼ一致したからだ。


以下、萩博物館提供



萩博物館によると、持ち込まれたこの「生物」は、大きさが十数センチあった。「目が無く口だけあるように見えます。その外の器官も良く分かりません」として、博物館では分からずに各研究機関に問い合わせ中だとした。持ち込み主は、「萩の沖で何匹も獲れる」と言っていたという。

ゴカイの仲間の口の前に突き出ている部位らしい

一体、この「生物」は何なのか。12月16日になって、ゴカイなどを研究している専門家が、萩博物館のフェイスブックに「生物」の正体について書き込んだ。

それによると、ボウセキウロコムシ科に属する肉食性のゴカイの仲間の体の一部だとみられる。ゴカイは、細長い体に毛がたくさん生えており、体の一部とは、口の前に突き出ている部位の「吻(ふん)」だという。

博物館もこの日、「当館学芸員からの話によりますと情報収集の結果、さる筋からとある多毛類ウロコムシ科の咽頭?(→吻)か、という情報を頂いていた」とし、専門家からの詳しい情報提供に謝意を示した。

この専門家は、ツイッター上で、若狭湾で見つかった投稿写真の「生物」についても同様の見方を示した。

ゴカイは、海底に生息しており、専門家によると、釣りエサを食べて引っ張り上げられ、巣の中で抵抗して、口から消化管の部分がすっぽり抜けたのではないか、というのだ。吻だけがエサ釣りでよくかかるという。