フランス、アルザス地方の中心都市・ストラスブール。

アルザス地方を旅していると、この地方の素朴であたたかい文化に興味を惹かれるに違いありません。

そんなアルザスの伝統的な暮らしぶりを知り、この地方をもっと身近に感じられるおすすめのスポット、それが今回ご紹介する「アルザス博物館」です。

ロアン宮からほど近い、川沿いにあるアルザス風の古い木造家屋を利用したかわいらしい建物、それがアルザス博物館。

一番右のクリームイエローの建物が博物館の入口です。

看板もアルザスらしい鉄細工で気分が盛り上がります。

一見とても小さい博物館のように見えますが、実は3つの家を使用しており、中に入ってみると予想以上の規模に驚かされます。

この施設は1907年にオープンしたもので、博物館自体がすでに100年以上の歴史を誇ります。

展示されているのは18〜19世紀のアルザスで日常的に使われていた生活用品の数々。

キッチンや寝室の再現、家具、陶器、衣装、おもちゃなど、展示内容は多岐にわたります。

ストラスブールには数々の古い家屋がありますが、その内部を見る機会はなかなかありません。

このアルザス博物館は、建物そのものが一見の価値のある歴史的建造物です。

特に美しく興味深いのは中庭。

外から見るとこのような中庭があること自体わかりませんが、ゆったりとした吹き抜けの素敵な空間があります。

まるで昔のアルザスにタイムスリップしたかのようですね。

正面に2つの張り出し窓を備えたバルコニーは、この地方では「ドイツ風バルコニー」と呼ばれています。

屋根はアルザスの伝統的なスタイルである、傾斜の強い4段の屋根と屋根裏部屋で構成されています。

魚のうろこのように見える独特のデザインもこの地方の伝統的なスタイルで、アニメ映画に出てきそうな可愛らしさです。

ストラスブールにはこのような「コロンバージュ」と呼ばれる木組みの家々が数多く残っています。

こちらはミニチュアの模型ですが、木の骨組みを表面に露出させる建築の仕組みがよくわかって興味深いですね。

さまざまな色をベースに花や動物といった自然のモチーフを描いたぬくもりあふれる陶器の数々。

現在でも土産物店やレストランなどで見られるアルザスらしい品物です。

焼き菓子の本場、アルザスらしくクグロフをはじめとするお菓子の型も豊富にならんでいて、そのバリエーションには感心します。


こちらはキッチンの再現。昔の日本のかまどのようで、懐かしさを覚えますね。

寝室もやはり木のぬくもりにあふれています。

カーテンや寝具はもちろんチェック柄。

アルザスを旅すると、レストランや土産物店でよくこの「アルザスチェック」を目にします。

特に赤と白の組み合わせがポピュラーで、素朴な田舎っぽさが愛らしい、アルザスを代表するイメージの一つです。

美しく丁寧に仕上げられた木製の家具の数々は、アルザスの人々が住まいや家族とのだんらんを大切にしてきたことをうかがわせます。

フランスの他の地方では上質な家具にはおもにクルミの木や果樹木材が使われましたが、アルザスでは松やモミの木がよく用いられ、上質な木材に見せるために染色されました。

多彩な装飾が施された家具は所有者の財力を表しているのだとか。



こちらは子ども用のミニチュアサイズのおもちゃです。

クグロフの型や、木彫りのイスなど、こんなところにも地域色がにじみ出ていて面白いですね。

館内は興味深い展示品でいっぱいなので、ざっと見て回るだけでも少なくとも1時間は必要です。

この地方ならではの素朴な愛らしさと手仕事のあたたかみに溢れたアルザス博物館。

ゆっくりと時間をとって、アルザス文化の世界に浸ってみましょう。

アルザス博物館
10:00〜18:00(火曜休館 ※ほか年に数回臨時休館あり)
住所:23 Quai Saint-Nicolas, 67000 Strasbourg
http://www.musees.strasbourg.eu/index.php?page=musee-alsacien-jp

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