自然が生んだ巨大な石灰の城、トルコの絶景世界遺産パムッカレ
バラエティ豊かな自然をもつトルコは絶景の宝庫。
今回は自然が生み出した驚異の造形で世界遺産にも登録されているパムッカレをご紹介しましょう。
「パムッカレ」は「綿の城」の意味で、パムッカレ村に入ると巨大な白い物体がドーンと目に飛び込んできます。
その規模の大きさにびっくり!まるで巨大な城塞のようで「城」と形容されるのも納得できます。
この白い物体は人工的につくられたものではなく、自然が造りあげた石灰棚です。
パムッカレ周辺は石灰層が強く、炭酸カルシウムを多く含んだ温泉が湧き出ています。
石などが温泉水をせき止めるとその場所に炭酸カルシウムが沈殿し、長い年月をかけて壁となり、棚に成長します。
パムッカレの石灰棚の数は100を超え、現在も増えつつあるといいます。
まさに自然の神秘。これほどユニークな温泉が他にあるでしょうか。
石灰棚保護のため立ち入り禁止の区域もありますが、靴を脱いで石灰棚の上を歩いたり、足湯に浸かったりして楽しむことができます。
石灰棚から眼下に望む風景も美しく、なんとも開放的な気分になります。
真っ白な石灰棚とそこに溜まった水が生み出すのは淡いブルーの輝き。
石灰棚が描く曲線もまた美しく、自然が生んだ芸術です。
特に美しい風景が見られるのは観光客が行き交うポイントを抜けた後、坂をのぼりながら入口と同じ方向に進んだ場所です。
ここはだんだん畑のように何層にも折り重なった石灰棚が見られるスポットで、ここまで来る観光客は少ないためにゆっくりと景色を堪能できます。
カップルの結婚写真の人気撮影スポットにもなっているようで、幸せそうな新郎新婦の姿が見られるかもしれません。
そんな美しいパムッカレの見どころは石灰棚だけではありません。
公園内にはローマ遺跡のヒエラポリスもあり、石灰棚とともに複合遺産として世界遺産に登録されているのです。
保存状態の良好な円形劇場をはじめ、ローマ時代の浴場や神殿跡などが残されています。
紀元前2世紀ごろにヘレニズム文化の中心地として栄えたペルガモン王国は、パムッカレに要塞を築き軍事拠点としました。
その拠点がヒエラポリスです。
その後ペルガモンがローマに征服されると、この地を愛したローマの歴代皇帝が浴場を作って治療所としたほか、神殿や劇場を建設して温泉都市をつくりました。
今となっては都市としての面影はあまり残っていませんが、荒廃した遺跡が周囲の景観と調和し、不思議な美しさを醸し出しています。
かつてはローマ皇帝も浸かったというパムッカレの温泉。
温泉都市に暮らした人々はさぞ満ち足りた生活を送っていたのはないでしょうか。
自然が生み出した驚くべき造形と人類が残した遺産、その両方が楽しめる世界でも稀な場所、それがパムッカレなのです。
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