「眠れる巨人」と呼ばれた超大質量ブラックホールの姿
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2/6地球から5000万光年ほど離れたところにある活動銀河、 NGC 1068。その活動性は、中心に存在する超大質量ブラックホールによるものと考えられている。青と緑の部分が表しているのは、X線データだ。画像では、銀河中心核から流れ出る高温のガスの風がX線放射としてうつっている。IMAGE:X-ray: P. Ogle (UCSB) et al.; Optical: A.Capetti (INAF) et al.; CXO, STScI, NASA
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3/6スピッツァー宇宙望遠鏡がとらえたNGC 1097。地球から約4500万光年離れた位置にある棒渦巻銀河である。超大質量ブラックホールがある中心の周りを、渦を巻くように囲んでいる4本の細い線は、核から放射されている宇宙ジェットだ。IMAGE:NASA/JPL-Caltech
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4/6ハッブル宇宙望遠鏡がとらえたこの美しい銀河は、わたしたちの住む銀河系から、およそ6,500万光年離れたところにある棒渦巻き銀河、NGC 613。中心には超大質量ブラックホールがあると考えられている。IMAGE:ESA/Hubble & NASA and S. Smartt (Queen's University Belfast)
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5/6チャンドラX線観測衛星からのX線データ(青)、シュピッツァー宇宙望遠鏡からの赤外線データ(ピンク)、紫外線観測衛星GALEXからの紫外線データ(紫)、そしてハッブル宇宙望遠鏡からの可視光イメージ(緑)を1枚の画像にしたM81星雲の合成写真。右下は、その中心にある超大質量ブラックホールから放出されたX線を可視化したものだ。IMAGE:X-ray: NASA/CXC/Wisconsin/D.Pooley & CfA/A.Zezas; Optical: NASA/ESA/CfA/A.Zezas; UV: NASA/JPL-Caltech/CfA/J.Huchra et al.; IR: NASA/JPL-Caltech/CfA
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6/6わたしたちが暮らす天の川銀河の中央にある、超大質量ブラックホールをとらえた合成写真。NASAの「チャンドラ」と「スウィフト」、そしてESAの「XMM ニュートン」、計3機のX線観測衛星によって撮影された画像を1枚に合成している。エネルギー量が大きいほど、色は青くなっていく。NASA’s Chandra X-ray Observatory and ESA’s XMM-Newton, with observations by the Swift satellite IMAGE:NASA/CXC/MPE/G. Ponti et al.
ESA(ヨーロッパ宇宙機関)は皮肉を込めてそれを「眠れる巨人」と呼んだ。本当の名はNGC 4889だ。地球から約3億光年離れたところにある楕円銀河である。見かけは非常に穏やかだが、暗い秘密を隠している。
最近それを明らかにしたのは、ハッブル宇宙望遠鏡だ。研究者たちは、この銀河のなかに太陽の210億倍の質量をもつ記録的な大きさのブラックホールを発見した。この重力お化けの事象の地平線[編註:ブラックホールの重力は非常に重いため、光であってもその引力に引き寄せられてしまう。事象の地平線は、その重力から光が脱出できる境界の位置]は、太陽の周りを回る海王星の軌道の15倍、約1,300億kmの直径をもつ。
宇宙望遠鏡の科学者たちによると、天の川銀河の中心にあり、太陽の約400万倍の質量をもつ超大質量ブラックホールの事象の地平線の直径は、水星の軌道の5分の1程度だ。
この眠れる巨人の内部で、正確には何が起きたのか? このブラックホールは、いわゆる「高温降着」の段階を終えている。この段階で、重力によってガスや、宇宙塵、銀河のデブリが引き寄せられ、降着円盤を形成した。
円盤は銀河の外部に向かってエネルギーのジェットを放出しながら、どんどん加速していった。続いて、ブラックホールは、静止期に入った。降着円盤の中に蓄積された物質が尽きたからである。
宇宙望遠鏡の専門家たちは語る。「降着円盤は、超大質量ブラックホールの食欲を、周囲の星間物質が尽きるまで支えました。いまは、次のおやつまで眠っています」
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