太宰府まほろば衆 朧瓦 楽曲名:防人ノ詩(画像提供:太宰府まほろば衆)

「YOSAKOI」というと、若々しくはつらつとしたリズミカルなダンス、かけ声や手拍子が入って、観客も一緒に盛り上がる、そんな元気の良いパフォーマンスをイメージするのではないだろうか。

しかし、そんな先入観を見事に裏切ってくれる、独特の世界観を持つ「よさこい」チームが、注目を集めている。ダークで耽美な雰囲気を漂わせる衣装を身にまとい、顔を覆い、リズミカルというより、優雅にドラマチックに舞う。

2015年12月4日、次のような写真付きのツイートが投稿され、注目を集めた。

彼らの名は「太宰府まほろば衆」。写真は、独特な衣装を身にまとって踊る、彼らの演技。「神の世界に迷い込んだようだ...」というコメントが添えられている。

太宰府の歴史・文化を伝えることがコンセプト


太宰府まほろば衆 式鬼 楽曲名:五行(画像提供:太宰府まほろば衆)

「太宰府まほろば衆」は、2002年、太宰府市商工会を主体に結成された。

太宰府は、古代、「遠(とお)の朝廷(みかど)」と呼ばれた「大宰府政庁」が置かれていたところ。ここには政庁の建物が立ち並び、九州の政治経済・軍事・外交を司る役所として、1000人を超える官人が働いていたと伝えられている。

901年、菅原道真が身に覚えのない罪によって左遷され、赴任したのも、まさにここだ。2年後、道真は失意のうちに没している。

この太宰府の歴史・文化を伝えることを基本コンセプトに生まれたのが、「太宰府まほろば衆」というわけだ。

「太宰府まほろば衆」に電話で話を聞いてみた


太宰府まほろば衆 臥牛 楽曲名:雷天(画像提供:太宰府まほろば衆)

Jタウンネット編集部は、「太宰府まほろば衆」に電話で話を聞いてみることにした。電話に出てくれたのは、事務局のゆうこさん。代表の奥様である。

「代表は非常にシャイなので、お話はご勘弁ください」と、代表夫人。演舞の際は、声明のような口上を朗々と謳い上げる代表だが、インタビューは苦手だという。代理として、夫人に話してもらった。

代表の職業はグラフィックデザイナー。このチームの演目の構想、構成、音楽、振付、衣装デザインはすべて、代表自らが決めたとのこと。目を奪うような美しい舞台は、デザイナーならではの感覚が発揮されているのだろう。

現在のメンバーは、大人が約20人。週に1〜2回、商工会協力の施設で、稽古をしている。昨年、キッズチーム「こうめ」も誕生した。昨年は約20回、各地で開催されたよさこい祭りやイベントで上演した。九州の中がほとんどだが、東京でも演舞を行ったという。

2013年には、「大江戸ソーラン U-20」で金賞を受賞、「わっしょいYOSAKOI北九州2013 YOSAKOI-11」では優勝するなど、受賞歴も豊富で、実力派として知られている。

昨年は、韓国扶余郡で開催された百済文化祭にも出演した。ここで、百済文化祭で上演した楽曲「八相八陣」の動画をご覧いただこう。YouTubeからも閲覧できる。

太宰府まほろば衆 帥「八相八陣」[百済文化祭]

近ごろ、「JR九州櫻燕隊」というチームが注目されている。九州新幹線開業をきっかけに結成され、硬派で男っぽくて、いかにも九州男児らしいと評判だ。彼らの作品の振付と衣装デザインを担当しているのも、実は太宰府まほろば衆である。

2016年4月17日、「第12回太宰府門前真舞祭」が開催される。九州・山口の強豪チームが集まる予定。まほろば衆の演舞は、ホストチームのため1回のみということだ。それ以外の活動は未定。まほろば衆のホームページやフェイスブックで確認を。


太宰府まほろば衆 封梅 楽曲名:縛牢の飛梅(画像提供:太宰府まほろば衆)

太宰府まほろば衆 封梅「縛牢の飛梅」[ふくこいアジア祭り2015_JR博多駅前会場]