全国有数のレコードチェーン店「新星堂」。かつてその本社は東京・荻窪にあった。駅から数分歩いたところにある本社兼店舗に加え、駅ビルにも書店やレコード店が入居。荻窪はちょっとした「新星堂タウン」だった。


しかし、茨城の同業他社「ワンダーコーポレーション」傘下に入った2012年前後から、風向きが変わる。本社はつくば市へ移転し、各店舗も続々閉店。ついに荻窪駅周辺には1店舗もなくなった。

そんな新星堂がまもなく、親会社に吸収合併され、法人格を失うという。荻窪に生まれ育ったJタウンネット記者は、いてもたってもいられなくなり、聖地巡礼ならぬ「星地巡礼」の旅に出た。

本社跡地はマンション建設中

まずは本社だ。青梅街道に面してそびえたつビルは、ガラス張りの壁面だった。最上部にはロゴマークのネオンが光る、荻窪の象徴ともいえる建物。10数年前までは店舗も兼ねていて、小学生のころに鍵盤ハーモニカのホースを買った記憶もある。


かつての本社ビル(Oggiさん撮影、Wikimedia Commonsより)

本社跡地は更地となり、現在は賃貸マンションを建設中。見たところ、すでに建設は佳境に入っている。完成は来月(2016年1月)と書かれていた。


同じく青梅街道沿いにあった「荻窪天沼店」。2010年には携帯電話を併売する「SHINSEIDO mobile+荻窪店」にリニューアルしたが、すでにこちらも閉店。いまは「フレッシュネスバーガー」になっていた。


駅に戻って、駅ビル「荻窪ルミネ」にある店舗へ。こちらは2012年に閉店し、いまはメガネ店「Zoff(ゾフ)」が入居している。「知り合いがここでバイトしてたっけ。だから恥ずかしくて、敬遠していたなあ」などと思い出しながら、次なる跡地へと向かった。


「書店」と「スポーツ」は...

もうひとつの駅ビル「タウンセブン」には、スポーツ用品の「新星堂スポーツ」と、書籍の「新星堂書店」が入居していた。スポーツ店はファッションブランド「ORIHICA(オリヒカ)」に、書店はほぼ居ぬきで「啓文堂書店」が入っている。



荻窪で本を買うとなると、この新星堂書店か、新星堂ルミネ店跡地の横にある「八重洲ブックセンター」、そしてロータリー北側の「ブックセンター荻窪」が定番だった。しかし新星堂が消え、今年に入り「ブックセンター」も閉店した。子供のころから通い慣れた店がなくなるのは、やはりつらいものだ。


荻窪から姿を消した新星堂だが、隣駅の阿佐ヶ谷にはまだ残っている。高架下に広がる「ダイヤ街」へ向かうと、クリスマス風に彩られた店舗が目に入った。輪っかを4つ繋げたようなロゴマークを見て、「やっぱ、これだよなあ」と、妙な安心感を覚える。


なお16年2月の合併後も、継続して「新星堂」の屋号は使われる方針。既存店舗も合併をきっかけとする閉鎖予定はないという。