子どもは基本的におしゃべりなので、知らない人が相手でも、割となんでも話してしまう。筆者も小さいころ、母親の体重や年齢などをバスで乗り合わせた人などにも話して回ったため、大目玉を喰らった経験がある。

体重くらいなら微笑ましいが、だが悪意を持つ大人が、それを利用したら？　埼玉県のEさん（40代女性・保育士）は子どものころ、そんな恐ろしい経験をした。

親切そうに見えたおばさんの思惑は？

実家での体験談です。

私が小学3年生のころ、私の家族は一戸建て住宅に引っ越してきました。兄は4年生、弟が1年生の5人家族です。

この家は、裏ではもう1つの一軒家と接していました。トラブルになったのは、この裏のご家庭とでした。

画像はイメージです（Brian Smithsonさん撮影、Flickrより）

裏のおばさんはそのころ40歳ほど、うちの母より結構年上でしたが、子どもは3歳と1歳とまだ小さかったことを覚えています。

引っ越し直後、このおばさんはとても親切で、「わからないことは何でも聞いてね」と言ってくれました。良いご近所さんに恵まれたと、私たち家族は安心していたのですが......。

お呼ばれしてあれこれ聞かれ...

引っ越しが落ち着いたころから、裏のおばさんは私に、「ちょっと遊びに来ない？」と家に呼ぶようになりました。

お菓子などをごちそうしながら、おばさんはあれこれウチのことを聞いてきます。子どもだった私は不用意にも、おばさんから聞かれることになんでも答えてしまいました。父と母の年齢に始まり、父の仕事、母の出身地、夕食のメニューや朝ごはんの中身まで。さすがに「少し話すぎたかな？」と思ったのですが、時すでに遅し、でした。

おばさんは私から聞いた情報を元に、我が家の悪口を近所中、地区中にしゃべって回るようになったのです。父がいい大学を出たことを鼻にかけて自慢しているだとか、収入は多めのくせに、安い味付き肉ばかり買っているケチだとか――ありもしない話がほとんどでしたが、私の話が元になっていますから、リアリティーもあり、信じてしまう人も多かったようです。

おばさんにはふさわしい末路が

噂に悩まされた母は、一時精神的に参ってしまいました。家に閉じこもりがちになり、お酒で現実逃避するようなこともありました。裏のおばさんはそうしたことまで探り出して、広めて回ったのです。

ですが、母はこのピンチを乗り越えました。地域に馴染むにつれ、裏のおばさん以外のご近所さんともお付き合いができるようになり、結果として噂が事実無根だと理解してもらえたのです。裏のおばさん自身、そんな話を言いふらすぐらいですから元々友達も少なく、立ち直った母とは完全に立場が逆転しました。

それから30年。最近聞いたところでは、ご主人も亡くなられ、同居している子どもも仕事などうまくいっていないようです。

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