【ファンキー通信】正露丸はラッパのマークだけじゃない!?

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 ラッパのマークでお馴染みの「正露丸」。胃や腸の調子が悪い時に服用する、昔ながらのロングセラー薬品だ。自宅の救急箱に常備しているという方も多いのでは?

 でも、よ〜く確認してみてほしい。それ、ホントに正露丸ですか? ラッパであるはずのマークが違うものになったりしていませんか? ・・・実はこの正露丸、日本全国各地で“ラッパのマーク以外のもの”が売られていたりするのだ。いずれの正露丸も黄色い箱といい、パッケージのデザインといい、ラッパのマークの正露丸に酷似している。う〜ん、こんなに正々堂々とマネしちゃって怒られたりしないんだろうか・・・?

 しかしこれはかなり微妙な問題なのである。なぜなら、「正露丸」は固有名称ではなく、普通名称であるという判例があるのだ。「ラッパのマークの正露丸」の発売元である大幸薬品が商標登録を行っているものの、他社も「正露丸」という名を使って販売しているという、極めて珍しい医薬品となってしまった。一体なぜこんなことが起きてしまったのか。

 話は日露戦争の時代までさかのぼる。戦地で、日本兵が下痢止めとして使っていた正露丸(当時は「露西亜=ロシア」を征服するという意味で、「征露丸」と表記していた)を大幸薬品が昭和29年(1954年)に商標登録し、他社の名称利用をやめさせようとした。それまで正露丸を販売してきた他社はこれを不当なものとし、約20年にも渡る裁判の結果、「大幸薬品の商標登録当時(昭和29年)は普通名称であったと判断する」といった判決が下されたのである。

 ・・・ん? ちょっと待って。「正露丸」がラッパのマークだけじゃないってことはわかったけど、黄色い箱やデザインは大幸薬品のものじゃないの?

 「それについては現在、係争中です。パッケージの類似性をめぐって、ある企業を相手どり訴訟を起こしていたのですが、7月に地裁で棄却されてしまいました。弊社としては、すでに高裁に控訴しています。もし、こちらが勝訴した場合は何らかの法的規制がかかり、訴訟・警告対象となる企業がいくつか出てくるでしょう」(大幸薬品 広報担当)

 なるほど。「あのパッケージは大幸薬品のもの」と主張されているわけですね。

 「ですが、決して他社を排除する目的で係争しているのではありません。パッケージが類似しているものの中には、主成分の量が極端に少なかったり、弊社の『正露丸』には含まれていない成分(ロートエキス)が入っていたりするんです。その成分によって副作用が出る恐れもあり、注意を呼びかけているところです。『正露丸』と表示してあれば、高いか安いかで購入される方もいらっしゃいますから」(同)


 大幸薬品の正露丸が“ラッパのマークの”と強調されているのも、他社製品との区別を明確につけるためらしい。正露丸にもイロイロあるんですねぇ〜・・・。(安田明洋/verb

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