24日夕、都内の本社で記者会見する北越製紙の三輪正明社長。(撮影:常井健一)

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国内製紙5位の北越製紙<3865>の三輪正明社長は24日夕、東京都中央区の同本社事務所で記者会見し、業界首位の王子製紙<3861>が23日夜に発表した株式公開買い付け(TOB)による統合提案について「一刻も早く提案を撤回してもらいたい」と述べた。

 また、王子側が、すでに合意している三菱商事<8058>との資本・業務提携の撤回を求めていることに対しては、「撤回する考えはない」と強くこれを拒んだ。北越製紙労働組合からも昨晩、王子の提案を拒否する経営側の方針に同意する意向を口頭で受けたことを明かした。

 会見で北越は、今月3日に受けた王子側の統合案に対し「打診であり、正式な提案とはとらえていない」(鈴木正晃常務)との独自の認識を繰り返し主張。王子への対応について、三輪社長は「(王子が)TOBをやるという前提で動いているわけではない」と述べ、19日に導入した買収防衛策や21日に発表した三菱商事との提携合意と、王子側の提案との関連性を否定した。

 三輪社長は「(同社の拠点地域で1964年に起きた)新潟地震を経験してから臥薪嘗胆(がしんしょうたん)の思いで42年間頑張った自負がある。企業文化として『自主独立』の精神が脈々と受け継がれている」と強調し、王子との統合については「一気にモチベーションが下がる」と消極的な姿勢を示した。その一方で、三菱商事が大株主である業界4位の三菱製紙<3864>との提携の可能性については「将来的な戦略については分からないが、あらゆる選択肢としてはそういうこともありうる」と含みを持たせた。

 王子の鈴木正一郎会長と篠田和久社長は同日午後、三菱商事の本社(東京都千代田区)を訪問し、小島順彦社長らとトップ会談を行った。王子側が北越製紙との提携解消を持ち掛けたが、三菱側は拒否した。【了】

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