マツダのアイデンティティ「Zoom-Zoom」に基づくクルマづくりを説明するマツダの井巻久一社長=19日、千葉市の幕張メッセで(撮影:吉川忠行)

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19日、千葉市の幕張メッセで行われた「第39回東京モーターショー」の報道関係者向け発表会は、マツダのプレゼンテーションから始まった。マツダの井巻久一社長は「いまマツダにとって最も重要な課題のひとつは環境。積極的に実践することが、自動車メーカーとしての社会的な責任」と強調して、今回の共通テーマが環境技術であることを報道陣に印象づけた。

 マツダは、ミニバン「プレマシー」に、水素ロータリーエンジンとモーターを組み合わせたコンセプトカー「プレマシーハイドロジェンREハイブリッド」(全長4.505メートル、全幅1.745メートル、全高1.615メートル、定員5人)を出品。井巻社長は、同車を「今後3年をめどに実用化を目指す」と表明した。

 同社の固有技術であるロータリーエンジンの燃焼特性を生かして開発された水素エンジンを車両前部に搭載し、ガソリンの場合と同様の走りと信頼性を確保したという。現在の技術では、航続距離は約200キロメートルだが、水素が切れた場合でもガソリンで走る。その上、発進時と加速時はモーターが駆動。水素、ガソリン、モーターと“3拍子”そろった、環境対応に取り組む姿勢を形にした車だ。

 井巻社長は、発表会の “大トリ”として、コンセプトカー「先駆」(全長4.65メートル、全幅1.85メートル、全高1.4メートル、定員4人)を世界で初めて公開した。常に躍動感を重んじる同社のアイデンティティ「Zoom-Zoom」をそのまま形にしたような4シータースポーツカー。ステージ上でベールが脱がされ、鋭利さとしなやかさという対極的な要素を融合させた外観が明かされると、集まった報道陣から喝采(かっさい)が起こった。

 「先駆」は、大人の感性に訴えかけるコンセプトを掲げた車。室内は、漆黒(しっこく)と紅(くれない)を基調とする日本的なデザインで、本革の座席はカップルでの乗車を想定した2人乗りの配列に標準設定。パネルのアレンジ次第で4人乗りにもなる。ドアには、「フライング・ウイング」と名前通りの“翼”が開くような大型の電動両側スライドドアを採用している。

 パワートレインには、燃焼の最適化を実現した、次世代の直噴ロータリーエンジン「13B-DI」を搭載、「環境対応と『Zoom-Zoom』の走りを両立するため、マツダにとってのベストな選択は直噴」(井巻社長)とする同社の次世代ビジョンを反映させた。屋根と後部に付いたソーラーパネルによる太陽電池と、電動モーターと組み合わせることで、高出力と低燃費を両立させるマツダ独自の「もうひとつのハイブリッド」を提案した。

 今回のテーマは、「Driving Tomorrow」。コンセプトカー6車種と市販乗用車12台を出展した。井巻社長は「これからも市場ごとのユニークなニーズに焦点をあてた商品展開で、さらに強く『Zoom-Zoom』を発信していきたい。環境、安全に対する積極的な取り組みとともに、まずはこれからもみなさまに走る喜びを提供し続ける」と宣言した。

次回(最終回)は富士重工業(スバル)を予定。【了】

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