19日、千葉市の幕張メッセで開かれた「第39回東京モーターショー」のプレスデーで、ランサー・エボリューションの次世代モデル「Consept-X(エックス)」を発表する三菱自動車の益子修社長。(撮影:吉川忠行)

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「私どもの事業計画は順調に推移していますが、まさにこれからが正念場」─。独ダイムラークライスラーの支援打ち切りやリコール(無料の回収・修理)隠しの問題などで、厳しい経営環境を強いられる中、復活戦略を掲げて今年1月に就任した益子修社長は19日、幕張メッセの東京モーターショー会場での記者発表で、出展車両の紹介に先立って、同社の経営状況を説明した。05年度上半期(4─9月)の販売台数が対前年同期比を上回ったことなどを挙げて、立ち直りの兆しをアピールした。

 その後、出展ライナップの説明は、実力派の開発者として実績があり、商品開発を統括する相川哲郎常務にバトンタッチ。三菱重工の「中興の祖」、相川賢太郎元会長の息子でもある同氏が、今回の同社のパンフレットで案内役として登場しており、「三菱のDNA」を形にする開発力への期待を伺わせた。

 相川常務は、肝いりのコンセプトカーとして、同社の主力車両ランサー・エボリューションの次世代モデル「Consept-X(エックス)」(全長4.53メートル、全幅1.83メー トル、全高1.47メートル、定員4人)を紹介。軽量・小型になった新開発の2リットル4気筒DOHC MVTECインタークーラーターボエンジンを搭載し、走行性などの運動性能と、低燃費と低排ガスという環境性能を高い次元で両立させたという。組み合わせるトランスミッションは、クラッチ操作が不要な6速“自動マニュアル”。ハンドル部に付いたパドルでシフト操作ができるので、ハンドルから手放さずに走りを楽しめる。4輪が個別にコントロールされるので、雪道などの悪路でも思い通りに安定走行できる車両運動統合制御技術「S-AWC」も搭載し、「極限まで運動性能を高めた三菱の技術の集大成」(相川常務)。すべてのタイヤに、ドライバーの意志が伝わる1台だ。

 見るからに頑丈そうなデザインのSUV(スポーツ多目的車)「Consept-D5」(全長 4.735メートル、全幅1.815メートル、全高 1.875メートル、定員6人)は、82年に登場した日本初の1ボックス4WD車「デリカ」の未来を形にしたコンセプトカー。2.4リット ルMVTECエンジンにスポーツモード6速CVTを組み合わせたパワートレインや、電子制御4WDシステムは、17日に発売したばかりの “再生の起爆剤”、SUV「アウトランダー」に詰め込まれた三菱の最先端技術を応用したもの。箱のような室内は、視覚的にも堅牢(けんろう)さが際立つ “骨組み”で構成される「リブボーン・フレーム」に、温かい日差しをもたらすような全面ガラス張りの「ワイドクリスタルライトルーフ」を採用。強さと柔らかさを両立させて、快適な空間を演出したという。

 三菱自動車の今回のテーマは、9月28日発表の社内公募で決めた新しい企業スローガン「クルマづくりの原点へ」。実用化に極めて近い近未来形を表現したコンセプトカー2車種と、市販乗用車14台を出展、06年1月に発売予定の軽自動車「i(アイ)」 も披露され、同社で初めて後席の床下にエンジンを装着した「リア・ミッドシップ・ レイアウト」が報道陣の目を引いた。

 益子社長は、夏に北米で新型オープンカー「エクリプス」、タイでスポーツトラック「トライトン」を投入、10月に北米でスポーツトラック「レイダー」、豪州で上級スポーツセダン「380(スリーエイティー)」、来春に欧州で主力小型車「コルト」のオープンモデル「カブリオレ」の販売開始などを列挙し、グローバルでの積極的な新車展開を強調。本格的な新型車の発売がなく、厳しい戦いを強いられていた国内の系列販売店にとっても、約2年半ぶりの新型車「アウトランダー」に次ぐ、明るい材料を提供 した。同社広報は、記者に対し「一時のような暗いムードは解消されてきた」と再生への手応(てごた)えを語ってくれた。

次回はマツダの予定。【了】

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