3Dプリンタで出力したタンパク質分子模型キット「SilMol-mini」
教育・研究の分野で直感的な理解を深めるツールとして、タンパク質の複雑な構造を3Dプリンタで出力したシリコン製の立体モデルが製作されています。今回、3Dプリンタでフルカラーで出力した400万倍スケールのタンパク質分子ミニチュアモデルセットである「SilMol-mini」の販売が始まっていたので、実物はどんなものなのか、借りてじっくりと見てみました。
SilMol-mini 6アイテムセット TypeA | StudioMIDAS.Store
http://www.studio-midas.net/#!/items/51b89090a95dcbdf7200016a
http://www.studio-midas.net/#!/items/51b892aaa95dcbe8c400022f
というわけで分子模型セットが届きました。
中から透明のアクリル張りで閉めたまま中身が見えるようになっている木箱2組が登場。
開封してみます。木箱の中には緩衝材が詰められており、フタは磁石でとめられるようになっています。
SilMol-miniは石膏素材でできているため、衝撃・水気は厳禁。また直射日光に長時間当てると変色の恐れがあるとのこと。
2つとも開けてみました。昆虫模型のように釘でディスプレイ可能な区切りがあり、1箱につき6つのタンパク質分子模型が入っています。
大きいものと小さいものを手に取ってみるとこんな感じ。石膏製なので取り扱いに注意しなければ折れてしまいそう。
「1u19」を取り出してみると、小さなサイズながら、カラーがついて中に空洞があるなど精密に作られていることがわかります。
近づいて見てみるとざらざらしたような質感。なお、この模型セットはタンパク質分子モデルの考案者である北陸先端科学技術大学院大学・川上勝准教授と共同開発しているとのこと。
SilMol-mini 6アイテムセット TypeAには以下の6つが含まれています。
TypeBには別の分子模型が6タイプ。
それぞれの枠内には模型上部にとPDBナンバーと下部に詳細が記されたシールが貼付けられています。
◆Type A 6種フォトレビュー
「1u19」……光受容タンパク質(GPCR)の1つであるロドプシンの基底状態:ウシ
「1ais」……DNAとTATAボックス結合、タンパク質と転写開始因子タンパク質の複合体:超好熱古細菌
「3pqr」……ロドプシンの光を吸収しGタンパク質と結合できる形状に変化した状態(活性化状態):ウシ
「1hew」……リゾチーム:ニワトリ卵白
「1mbn」……ミオグロビン:マッコウクジラ
「3vg9」……A2aアデノシン受容体タンパク質(ヒト)とハツカネズミ抗体(Fabドメインの一部)
◆Type B 6種フォトレビュー
「2cgu」……セリン/スレオニン/チェックポイント1キナーゼ:ヒト
「2hhb」……ヘモグロビン(デオキシ型):ヒト
「1dfj」……RNA切断酵素リボヌクレアーゼAとその阻害タンパク質:ウシ
「2rh1」……アドレナリン受容体タンパク質(GPCR)の不活性化状態:ウシ
「1bl8」……閉じた状態のカリウムイオンチャンネル:放熱菌
「2ga4」……ベロ毒素(志賀毒素)複合体:大腸菌O157
木箱のサイズは170×130×50mmとなっており、重量もとても軽いため衝撃さえ与えなければ持ち運びもできそうです。また、このSilMol-miniは、科学未来館で開催されるサイエンスアゴラ2013にて展示予定とのこと。
SilMol-mini 6アイテムセット TypeA・TypeBは、教育用途を想定して作られていますが、製作したSTUDIO MEDIASのウェブサイトから誰でも購入が可能。価格は各税込8400円、別途送料が750円必要です。
SilMol-mini 6アイテムセット TypeA | StudioMIDAS.Store
http://www.studio-midas.net/#!/items/51b89090a95dcbdf7200016a
SilMol-mini 6アイテムセット TypeB | StudioMIDAS.Store
http://www.studio-midas.net/#!/items/51b892aaa95dcbe8c400022f
ちなみに、創薬現場の女性研究員からは「ストラップや根付として使いたい」という声も上がっているとのこと。PDBナンバーを使って簡単にモデルデータが作成できるとのことなので、自分の好きな分子の形をストラップにしてもらうようなサービスがあれば面白いかもしれません。