福岡ソフトバンクホークスvs埼玉西武ライオンズ6回戦
18:00開始 福岡ヤフードーム(観衆:35,986人)
埼玉西武ライオンズ 2勝4敗0分

継投:小石博孝木村文紀武隈祥太星野智樹ゴンザレス〜○松永浩典
勝利投手:松永浩典 1勝 1.29

ホームラン:米野智人(1号満塁弾)


【ハイライト】



【米野選手満塁弾】




【米野選手ヒーローインタビュー】




【ゲームレビュー】
劇的だ。あまりにも劇的過ぎる。まさに渡辺久信監督の言葉通り、野球は何が起こるか分からない。9回表、3−1の劣勢。マウンド上にはホークスの守護神ファルケンボーグ投手。もはや今夜も万事休すか、と思われた。しかし二死一塁という状況から、今季ここまで防御率0.00だったファルケンボーグ投手を攻め、二死満塁というチャンスを作った。一打同点どころか、長打が出れば一気に逆転という場面。ここで打席に立ったのは米野智人選手だった。

初球は外角低めのストレート。米野選手はこれを見逃して1ボール。続く2球目は、1球目よりも甘く入った外角ストライクゾーンのストレート。米野選手はこのやや短く持ったバットでこの投球を捕えた。打球はグングン伸びる。ホークスびいきの実況アナウンサーも叫び声を上げる中、打球はそのままレフトスタンドに吸い込まれていった。よもやとも思われる米野選手の5年振りのホームランは、チームを勝利へと導く逆転のグランドスラムとなった。

今季、日刊埼玉西武ライオンズで幾度も名前を登場させてきたのが米野選手だった。凡打をしても全力疾走を怠らない姿勢、コンバートしたばかりでまだ慣れない外野で打球に飛びつく姿、何とか走者を進めようという強い意思が感じられるチームバッティング。米野選手は派手な仕事こそしてはいなかったが、しかしその1つ1つのプレーには、野球への情熱が強く感じられた。だからこそ日刊埼玉西武でも、米野選手の名前を幾度となく登場させてきたのだ。

チーム状況が最悪の中、悪い流れを断ち切れるのは米野選手であると筆者は書いてきた。もしかするとその通りになるかもしれない。米野選手の全力プレーが、ライオンズに息を吹き返させてくれるかもしれない。獅子の目の炎を灯してくれるかもしれない。それほど、今夜のグランドスラムはチームに、そしてファンに大きな勇気を与えてくれた。

野球の神様も、勝利の女神も間違いなくいる。筆者はそれを確信している。日々全力プレーを怠らない米野選手の姿を、神様も女神もずっと見守っていてくれたのだ。今夜のグランドスラムは、その米野選手の直向さが生んだホームランだと思う。そうでなければファルケンボーグ投手の球威と、長打の出にくい外角というコース、そしてヤフードームの広さを考えればそう簡単にホームランを打つことなどできはしない。

さて、米野選手だが現時点で特筆すべき数字がある。それは得点圏打率だ。今日満塁ホームランを打ったことで得点圏で3打数2安打となり、得点圏打率は.667(打率.291)となった。そして四死球が1つずつあるため、出塁率は.800となる。得点圏のチャンスで5回打席に立ち、2本のヒットを放ち、5打点を挙げている。アウトには一度しかなっていない。まだ打数は少ないとは言え、これは素晴しい数字だ。

ライオンズは今季嶋重宣選手ヘルマン選手を5番に起用しているが、2選手とも特筆すべき活躍はまだしていない。嶋選手は満塁ホームランこそ放っているが、あまりにも打率が低過ぎる。ここまで5番打者がまったく機能していないことを考えれば、ラッキーボーイ的存在ともなっている米野選手をしばらくの間5番として起用するのも1つの選択肢にはなると思う。

ライオンズは昨季に続き5番打者を固定できないでいる。そのために4番中村剛也選手が厳しく攻め続けられ、低打率にあえいでいる。2002年、伊原春樹監督が相性や調子を考え、日替わりで3番打者を選んでいたように、今は米野選手を含め、調子の良い打者に日替わりで5番を打たせることも必要なのではないだろうか。クリーンナップを日替わりにする作戦は決してベストではないが、しかし5番打者がまったく機能していない現状を思えば、仕方がない面もある。

米野選手の全力プレーは、例えアウトになっても何かを起こしてくれそうな期待感がある。そのような空気を持っている米野選手を、今はもっと積極的に起用していくべきだろう。選球眼も良いし、しっかり数字も残しているのだ。今の状態の米野選手を左投手にしか使わないという戦術は、あまりにももったいない気がしてならない。

土曜日からはいよいよエース抜きの9連戦が始まる。先発ローテーションの遣り繰りが大変になることは容易に予想できる。だからこそ調子の良い打者を積極的に起用し、少しでも得点能力を上げておかなければならない。得点能力が低いまま9連戦を進めてしまえば、投手陣は窮屈な状態で投げなければならず、ベストパフォーマンスを発揮することも難しくなってしまう。とにかく首脳陣には今、米野選手に活躍の場をもっと与えてもらいたいと筆者は思っている。完全にアウトのタイミングであっても全力疾走をする米野選手、あまりにも清々しいではないか。チームの流れを変えるためには、米野選手のような野球の神様や、勝利の女神が好みそうな選手を積極的に起用することが効果的であると筆者は考えている。そして今年のゴールデンウィークには、米野選手に主役となってもらいたいと強く願っている!






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