中規模都市を開催地に

★地方都市を活性化するために
 日本で女子ワールドカップを開催するときには、人口30万人くらいの町を会場都市にしたい。そのわけは、中規模の町にスポーツ文化をはぐくみ、地方都市を活性化するモデルにしたいからである。
 人口30万人くらいの規模であれば「同じ町で生活している」という意識を市民が持っているだろう。
 同じ生活圏の人たちが国際的な大会を支えることによって、市民としての意識を高め、大会後もスポーツだけでなく、いろいろな活動を活発に行うようになることを期待したい。ワールドカップで使う施設は、この程度の規模の町で有効に活用できるだろう。
 女子ワールドカップは、男子ワールドカップやオリンピックのように大掛かりではない。中都市で十分に支えられるはずであり、中都市開催のメリットは大きい。

★人口20万〜40万が適正規模
 人口20万人以上、40万人以下の都市は、日本に150近くある。20万は静岡県の沼津市、40万は神奈川県の藤沢市である。
 サッカーの伝統がある山梨県の韮崎市は32万、高校サッカーで知られる三重県の四日市市は31万である。
 なかには大規模な町村合併で人口が広域に散らばっているところもあるから、統計の数字だけでは様子はわからないかもしれないが、適正規模の都市は全国至るところにあるだろう。
 女子ワールドカップの決勝大会出場数は、2015年のカナダ大会から20チームになる。2023年には、もう少し増えるかもしれない。それでも必要な会場都市の数は8〜12くらいである。候補都市は全国に十分すぎるほどあると思う。

★地域の文化を育てよう
 2011年のドイツ女子ワールドカップでは、会場9都市のうち6都市が人口40万人以下だった。ベルリン(人口340万人)は首都として開幕1試合だけ、決勝戦などが行われたフランクフルト(66万人)は女子サッカーの盛んな都市、ドレスデン(50万人)は旧東ドイツからただ一つ選ばれた。大部分の試合は人口20万〜30万前後の中都市で行われた。
 「ドイツはもともと地方都市が独立して運営されてきたんだ。それに地域のスポーツ文化が成熟しているんだ。だから中小都市でもイベントを開催できるんだ」
 そういう意見がある。
 日本の地方都市に、それがないのであれば、女子ワールドカップを機会に、地方独自の能力を高め、スポーツ文化を育てようじゃないか。試合会場を引き受けることが、地方都市活性化につながる方法を考えようじゃないか。