配管破損? 福島原発の真の事故原因は20年以上前に予告されていた!
講談社は2012年2月20日、『福島原発 現場監督の遺言』(著・恩田勝亘、価格1500円)を刊行し、原発事故の原因究明に新たな波紋を投げかけている。著者は、原発取材35年の元「週刊現代」記者、恩田勝亘氏。本書によれば、地震発生直後、まだ津波が来る前に1号機内の作業員が配管同士のぶつかり合う金属音とともに爆発音を耳にしたという。これらの情報を分析、著者は地震発生と同時に第一原発全体が破壊され、津波による電源喪失以前に早くも冷却水喪失が始まったと推測する。
つまり事故原因は「千年に一度の大津波」ではなく、配管の欠陥が主因ではないかと主張している。
著者が原発の配管を重視するのは、福島原発の元現場監督、故・平井憲夫氏の内部告発があったからだ。1988年、福島第一原発で従業員の大量被ばくがあったと著者に内部告発した平井氏によれば、日本の原発は配管設置や溶接技術が三流で化学プラントより10年遅れ、ずさん工事、インチキ検査がまかり通り、危険な仕事は下請け任せのため事故が絶えないという。
平井氏は「一番怖いのは配管が吹っ飛んだり、折れたりすることだが、常々不安なのが福島第一の1〜4号機」と警告していた。それらは今回の事故で次々に爆発、メルトダウンを起こし、すべて廃炉に追い込まれた。黒いキノコ雲で放射性物質をまき散らした福島第一原発3号機については、核爆発説を日米3人の研究者が提唱している。また、九電川内原発などの放射能汚染の実態も本書では詳しく追及されていて、注目される。