昨日発表されたNPBのMVP。セリーグは中日・浅尾拓也。中継ぎ投手の受賞は異例ではあったが、それなりの納得性があった。衰えが見えつつある岩瀬仁紀を補いつつ、シーズンを通して無類の強さを見せたセットアッパー。両リーグ通じて最低のチーム打率を考えれば、今季の中日は浅尾で持っていたと言えなくもない。

しかしながら、パリーグのソフトバンク・内川聖一には違和感がある。
先日紹介したように、内川は異能の打者であり、両リーグでの首位打者は称賛に値するが、6月20日から7月26日まで1か月以上も試合に出ていない期間があった。

今季のパリーグ打者をRC順に並べてみる。RCは、安打、本塁打、四球、犠打、犠飛などすべての攻撃的な要素を加味した総合的な数値。そして積み上げ型(出場試合が多いほど数字が伸びる)の数値である。

PARC-20111202

RCは100を超えれば強打者だといわれる。今年は統一球の影響もあり、100超えは中村剛也ひとりだが、90以上は4人、80以上は2人いる。内川は77.6の8位だ。しかも同じソフトバンクで松田宣浩、本多雄一と内川より上の選手が二人もいる。確かに内川は首位打者のタイトルを取ったが、本多も盗塁王を取っている。また松田はリーグ2位の本塁打、4位の打点を挙げている。


今季のソフトバンクは12球団一の強力打線だったが、核となる強打者がいたわけではなく、全試合出場した3人(松田、本多、川崎)を中心にメンバーが固定し、どこからでも出塁し、得点できる生産性の高さが特長だった。控えに松中、カブレラという強打者がいたのも大きかった。内川の加入も大きな要素だったが、あくまでパーツの一つという印象が強い。

昨年のMVPもソフトバンクの和田毅だったが、彼も投球回が169.1回に過ぎず、最多勝こそとったものの、とても傑出した成績とは言えなかった。

PAIN-20111202


MVPはどうしても優勝したチームから選出しなければならないのか。去年も今年も、優勝チームで「強いて挙げれば、和田、内川」という選考だったように思う。

特に今期は、西武の中村剛也が、他の選手とは異次元と言ってもよい傑出した成績を上げている。リーグを盛り上げた最高殊勲選手は、中村しかいないように思う。釈然としない。