■ チャリティー・マッチ

4月2日に松山市のニンジニア・スタジアムで行われた愛媛FCとファジアーノ岡山のチャリティーマッチ。この日は、同じ中国・四国地方をホームタウンとする徳島ヴォルティス、ガイナーレ鳥取もニンジニアスタジアムに集まって、ダブルヘッダーという形で2試合が行われた。その第1試合である。

ホームの愛媛FCは開幕戦はコンサドーレ札幌に2対0で快勝し、幸先のいいスタートを切った。システムは<4-2-2-2>。GK川北。DF関根、池田、高杉、三上。MF渡邊、越智、石井、杉浦。FW福田、ジョジマール。開幕戦で活躍したFW齋藤学、MF赤井は欠場。

対するアウェーの岡山は<3-2-4-1>。GK真子。DF後藤、竹田、近藤。MF仙石、千明、澤口、岸田、白谷、小林優。FW中野。DFストヤノフ、MF田所、FWチアゴは怪我のため欠場。3バックの中央にはDF竹田が入る。柏レイソルからレンタル移籍中のMF仙石がボランチでスタメン。MF千明とコンビを組む。

■ スコアレスドロー

試合の序盤はホームの愛媛ペースで進む。前半にFWジョジマールが2度のビッグチャンスをつかむが、シュートの精度を欠いて先制ゴールはならず。対する岡山は、センターフォワードのFW中野のところでボールが収まらずに、なかなかいい形を作れない。前半は0対0で終了する。

後半開始から愛媛は宮城県出身のMF東を投入。MF東のドリブルから何度かチャンスを作るが、チーム全体で見ると、前半ほどいい形を作れなくなる。対する岡山は、後半の半ばを過ぎると、ようやくMF千明にボールが集まるようになって、ボールが回り始める。岡山はMF岸田が奮闘して何度もチャンスに絡み、終盤は双方がセットプレーを中心にゴールに迫っていくが、シュートが枠に行かず。結局、試合はスコアレスドローに終わった。

■ 再開まで3週間

Jリーグの再開まであと3週間となって、そろそろ、各チームの仕上がりが気になる時期に入ってきている。一度、シーズンに突入して、それから、1か月半の間、リーグ戦が中断することになったので、各チームはコンディション作りに苦労していると思われるが、合間に行われているチャリティーマッチは、どのチームも普段のリード戦と同じようなテンションで試合に臨んでおり、この点は好感が持てる。

日本代表のザッケローニ監督はチャリティーマッチで<3-4-3>という新しいシステムを試したが、日本代表以外にも新たなチャレンジを行っているチームもあり、チャリティーマッチが被災者へ支援するだけでなく、チームの強化という点でみても、有効に働いているようである。

■ FW齋藤学は不在

愛媛FCは、FW齋藤学が不在。開幕戦は、彼がバイタルエリアでいい状態でボールを持つケースが多く、そこからキレのあるドリブル突破を見せてチャンスを作ったが、この日はベテランのFW福田とFWジョジマールの2トップ。ただ、なかなかFW福田にいいボールを供給できずに、開幕戦ほど鋭い攻撃は見せられなかった。

その中で、良かった選手を挙げると、右サイドバックのDF関根とMF内田。DF関根は豊富な運動量でサイドを駆け上がってチャンスに絡み、MF内田は得意のダイナマイト級のフリーキックとロングスローで短い時間ながらも見せ場を作った。

■ 軸はFWジョジマールか?

愛媛FCは、今シーズン、FWジョジマール、FW齋藤学、FW福田、FW石井、FW大木とタイプの異なるフォワードを揃えており、誰と誰を組み合わせのかが悩みどころであるが、軸はFWジョジマールとなりそうな感じである。

ヴァンフォーレ甲府時代から、破壊的な左足を持っていて「ゴール」の期待も高い選手だったが、「それ以外の部分」での貢献がやや低く「常時スタメン」という立場にはなれなかったが、昨シーズンの途中から「ポストプレー」が上達し、「守備」でも頑張れるようになってきている。潜在脳能力を考えると、彼がフォワードの軸におさまって二桁ゴールを記録するようだとチームの上位進出も見えてくる。

■ 若手の台頭

このチームは、MF高萩、DF森脇、MF横谷、DF近藤といったレンタル選手がチームの軸になって強化を進めてきたが、「レンタル組は、試合に出場して活躍すると元のチームに戻ってしまう。」というジレンマを抱えており、スムーズな強化ができずにいたが、ようやく、MF越智、MF東、MF小笠原、DF前野と「力」のありそうな選手も出てきた。

特に、この試合でも途中出場したMF小笠原とDF前野は大卒ルーキーであるが、いずれも愛媛FCの下部組織出身の選手であり、JY、ユースと愛媛FCで育ってきた期待の選手である。

愛媛FCのようにJFLを経てJ2に昇格してきたクラブは、下部組織が充実していないクラブがほとんどで、その点でハンディを背負っていたが、ある程度の時間が経過し、ようやく、育成してきた成果が現れる時期になってきている。下部組織で育った選手は、チームへの忠誠心も高く、サポーターも「感情移入しやすい」という利点がある。チームは次のステップに入ってきたといえる。

■ 3バックは安定

一方の岡山は、オフにDFストヤノフが加入したこともあって、4バックから3バックに変更。新しいシステムでシーズンに挑んでいるが、プレシーズンから思うような結果が出ずに苦しんでおり、J2の開幕戦となった湘南ベルマーレ戦も0対5の大敗。しかも、その試合でDFストヤノフが怪我をして前半のみで交代するなど、踏んだり蹴ったりの試合となったが、3バックを諦めることなく、継続して3バックを用いている。

この判断が正しいのか、正しくないのかという点については、今後の試合を見て結論を出すしかないが、この試合では、DFストヤノフの代わりに入ったDF竹田が安定した守備を見せており、守備に関していうと、開幕戦と比べてはるかに良くなっている。DFストヤノフの攻撃センスは魅力であるが、高齢ということもあって、スピードに欠ける部分があって、湘南との試合ではDFストヤノフが相手のスピードに対応できないシーンが多く見られたが、DF竹田が入ると安定はするだろう。

■ 攻撃はもう一つ

一方、攻撃は今一つで、愛媛と比べると、攻撃に手数がかかる場面が多く、スムーズさはなかった。岡山は中盤にMF千明、MF仙石とパスの得意な選手を起用しており、もう少し、いいパスが前線に供給されてもいいように思うが、あまりうまくいっていない。

今シーズンは<3-6-1>あるいは<3-4-3>というシステムに挑戦しており、サイドに人を置いて、サイドで数的優位を作って崩すシーンを作りたいが、MF岸田、MF白谷といったところはサイドが専門ではなくて、いまのところはサイド攻撃も不発である。

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