斎藤佑樹の化けの皮がはがれた|2011NPB展望
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3月6日の巨人戦に比べて明らかに斎藤は調子が悪そうだった。速球がなかなか140 km/hに届かない。右腰でつくる溜めの時間が明らかに短い。投げ急いでいたのかもしれないが、球が動いていない感じだった。そして3月6日と違っていたのは、阪神の主力選手が実戦モードに仕上がっていたこと。平野、ブラゼル、鳥谷、金本は打席の構えがゆったりと大きくなって、十分に温まっている感じだった。
打線が2順目に入ると、無残なことに打者は初球からフルスイングし始めた。斎藤はさらに動揺し、ボールが高めに浮く。捕手の大野は変化球でかわそうとするが、これが曲がらない、落ちない。3月6日の試合で3回先頭の高橋由伸に投げたスライダーは目を見張るような変化をしていたが、この日は切れもなく、これも打ち頃となってしまった。金本、林、マートンが打った二塁打はいずれも変化球だった。
投げる球がなくなって、この日、唯一タイミングが合っていなかった新井貴が2個目の三振をしてくれて3回が終わった。
打たれた13安打の内、平野の2本の内野安打と鳥谷の三塁打を除く10本が真芯でミートされていた。救いはここまで崩れても四球を1つしか出さなかったことか。
この衝撃の結果をどう考えればいいのか。GAORA解説の岩本勉は傾聴に値することはほとんど言わなかったが、唯一「これで各球団は、斎藤は怖くないということを知ってしまいましたね」と怖いことを言った。
秘密のベールがこんな形で無残にはぎとられてしまい、ただの軟投派投手であることが知れ渡ったことで、斎藤佑樹をめぐる物語は第2幕に入った。相手チーム阪神の久保康友の、同じような球速ながら日ハム打線にタイミングを合わさせなかった投球が、参考になるのだろう。
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