今週末26日に、シーズンの到来を告げるゼロックススーパーカップ(名古屋対鹿島 13:35KO)が開催される。その翌週にはいよいよリーグが開幕するね。

期待と不安、興奮が入り混じる、待ちに待った開幕。そうあってほしいのだけど、果たして世間的な盛り上がりはどうだろうか。あまりネガティブなことは言うべきではないとの意見もあるけれど、Jリーグ人気が突き抜けない現状、観客動員数が減少している事実を考えると、そんな呑気なことは言っていられないよ。この国のサッカー界には改善すべき部分がたくさんあるのだから。

年が明けてから春先までのスポーツニュースは、基本的に野球のキャンプ情報になる。今年のサッカーは代表と海外組の話題でなんとかそこに入り込んだ。しかしJリーグの話題は、マスを相手にしたメディアの中ではほぼゼロと言っていい。

すでにJリーグを好きになっている人たち、つまり“中の人たち”は、とても熱い。しかし中の人たちが盛り上がっているだけで、それが広く一般に波及していく感触はあまり得られない。残念だけど、Jリーグは知らぬ間に開幕していた、というのが世間の感覚なんじゃないかな。TV放映もスカパー!に頼りきりで、契約が終了したらいよいよ危険な状態になるね。

Jリーグのこうした状態は、バブル崩壊以後、ずっと続いている。これまでもこのコラムで何度も述べてきているけど、その根本の問題として、やはりJリーグ本部、そして各クラブにプロとしての姿勢が足りないことがあげられるよ。

多少の例外を除いて、Jリーグはいまだ企業スポーツであり、リーグの運営はアメリカ的な中央集権型を用いている。各クラブは親会社の予算の中で動き、リーグ本部は放映権料、肖像権料その他を各クラブに分配するというやり方だ。アメリカ型のやり方は、いわゆる4大スポーツでは大成功を収めている。しかしことサッカーに関してはうまくいっていないよね。

サッカーの先進国では、ビジネスまで仕切る協会などほとんど存在しない。マンチェスター・ユナイテッドの売り上げはマンチェスター・ユナイテッドのものだし、インテルの売り上げはインテルのものだ。マンUは自前のメディアを作って有料放送をしたりもしているね。

こうしたビジネス的な競争の中で、格差が生まれていく。格差はデメリットばかりではないよ。小さなクラブも工夫をこらして、ビジネスチャンスを模索していかなければならないから、そこにエネルギーが生まれる。これが、プロスポーツのあるべき姿のはずだよ。ピッチ上と同じく、営業的な争いも激しくあってしかるべきなんだ。広く世間に訴えかけるエネルギーは、いわずもがな、現状のJリーグの各クラブより強いよね。

また、サッカー界にはオーナー会議なるものが存在しない。野球は財界で大物のオーナーたちがよく登場している。NPBの存在感などほとんどない。これはどういうことか。つまりJリーグは立ち上げ時に、自分たちの脅威となるような立場の人間を中に入れなかったんだ。クラブの社長は、親会社からの出向で、リーグ本体、サッカー協会の言いなりに近い。

こうしたこともあって、サッカー界は己のテリトリーの中にすっぽりと収まってしまった、と考えられる。ここから脱皮するのは非常に難しいだろうね。なにしろ人事権もすべて自分たちにあるのだから。自浄するのは相当な覚悟とエネルギーが必要になるよ。メディアやファンの力で改革を起こすことができるだろうか。今はどちらのパワーも弱いと言わざるをえないね。

小泉元首相じゃないけれど、政府を小さくしてどんどん民営化すること。Jリーグがもっと世間に広まるためには、これが不可欠だと思うよ。(了)