中国戦。試合後、ピッチ脇でテレビ局のインタビューに、岡崎はこう答えていた。

「いまから気持ちを切り替えて、次の試合に向けて頑張っていきたい」

とてつもなく軽い言葉に聞こえた。ホームでベネズエラ戦に続く2試合連続の引き分け。「味スタ」のスタジアムはガラガラ。しかしながら、そこにはブーイングが沸き起こっていた。

「切り替える必要はない! その前にしっかり反省してください!」

場内に流れる彼の声に向かって、僕は思わず突っ込みを入れていた。

もっとも、怒りの矛先は、彼に向けるべきではない。試合後の記者会見でいつも通り、血の通わぬ官僚風の答弁に終始した岡田サンだ。

この閉塞感を打破するためには、お辞めいただくしか方法はない。僕はかねがねそう思っているのだが、周囲の記者の間でも、ようやくそれがスタンダードになっている。

後任の心配なんてすることはない。辞めることに意義がある。岡田ジャパンはそこまで酷い状況に追い込まれている。

「前の試合より良くなっている」と岡田サンは言った。僕もそれは認める。ベネズエラ戦が10段階で3.5なら、中国戦は4.5。そういう意味では良くなっているが、それで胸を張られてもハイそうですかと納得するわけにはいかない。

岡田サンはPKを止めた楢崎に、特別褒賞金をたんまり出すべきだろう。もしあれが決まっていたら、いまごろ、解任騒動に発展していたに違いない。堤防は、ぎりぎりのところで決壊せずにすんだ。

それにしてもPKを外した中国の15番には恐れ入る。助走を始めた瞬間から、キックのコースは見えていた。「オレでも止められるよ」。高校時代にGKをしていた某記者は、試合後そう吐き捨てた。中国代表の監督サンの話によれば、チームの中で、PKの調子が最も良かった選手らしいが。

一方、犬飼会長は試合後、ファンに対して、更なるブーイングを求めたのだという。

しかし、ブーイングの矛先は、誰に向けるべきなのか。繰り返すが、選手ではない。彼らは協会からもらっているお金以上に頑張っている。

岡田サンであるべきなのだが、岡田サンを雇っているのは協会で、犬飼会長はその責任者だ。岡田サンを監督にしたのは前会長の川淵サン。任命責任はないものの、現在の雇い主としての責任はある。岡田サンをここまで引っ張ってきてしまった責任は大きい。ブーイングの矛先は、つまり犬飼会長に向いていると考えるのが自然だ。ブーイングを促すことは、自らのクビを絞めることと同じこと。それを浴びる前に、岡田サンを更迭し、より良い監督を引っ張ってくることが、課せられた使命にほかならない。

お願いですから、早くして!

僕は声を大にそう言いたい。


中国戦の採点は以下の通り。

※先発
GK楢崎6.5 PKを止める大活躍。岡田サンを見事に救った。
DF長友5.5 走り回っているわりに、効果的なプレイが少ない。
DF中澤5.5 自分のプレイで精一杯。中心選手としての風格なし。一人の選手にしか見えない。
DF闘莉王6 2戦続けて大人しくプレイした。
DF内田5 活躍はポストを叩いたシュートのみ。
MF遠藤6 変に走り回る選手が多い中、彼だけはじっくり派。この試合ではそれがよく見えた。
MF稲本5 ベテランの味がない。ゲームをコントロールする能力が欲しい。
MF中村憲4.5 2試合続けて良く見えない。トップ下のポジションも、彼にはマッチしていない。
MF大久保5 サイドに張っていたけれど、プレイにサイド攻撃のスタイルがない。
MF玉田4 せっかくサイドに開いていても、ドリブルの方向は中ばかり。攻撃はその瞬間どうにもならなくなる。
FW岡崎4.5 1対1の勝負が挑めないのは致命的。壁に当たっている感じ。

※交代出場
FW平山5 高さだけのFW、ヘディング要員は、いまの時代、不必要。それに1人割くのはもったいない。
FW佐藤寿5 起用法に戦術的な理屈が通っていない。その嗅覚のみに頼るのは非効率。
MF金崎5 ただ感覚的にプレイしているだけ。ポジションワークに難あり。

岡田監督4.5 ベネズエラ戦よりは良かった。

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