日本に盗られた!

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韓国のお酒「マッコリ」をご存知だろうか?甘みと酸味が合わさった独特な風味を持つ大衆向け醸造酒で、韓国では古くから飲まれてきた韓国代表の伝統酒である。ソウルの街には伝統居酒屋という所があちこちにあるのだが、そこで注文すると大きな器になみなみとマッコリが注がれ、それを柄杓ですくって各自の器に分けて飲む。焼酎に比べてアルコール度数は5〜6%と低く、また甘い風味が女性からも人気を得ており、気が付くとついつい飲み過ぎてしまうお酒である。

そんな韓国を代表するお酒の商標登録が、すでに日本の企業に取得されていたことが判明し、韓国では大騒ぎとなっている。今回問題となっているのは、マッコリの中でも「抱川(ポチョン)マッコリ」というもの。マッコリには、生産された地名を前に付けて「○○マッコリ」と呼ぶのだが、「抱川マッコリ」はマッコリブランドの中でも代表格である。2007年の南北首脳会談の際、金正日総書記が「抱川マッコリが最高」と述べたというエピソードもある。

韓国のニュースサイト「毎日経済」が伝えた内容によると、韓国のマッコリ関連企業は「日本の企業が『抱川マッコリ』という商標を出願し、登録していた事実を最近になり確認した」と述べたという。韓国を代表するお酒としてマッコリなど伝統酒の世界化を標榜してきた韓国にとって、非常にショッキングなニュース。

韓国ネチズンたちも、「商標に対して非常に認識不足」「とんでもないこと」「日本の緻密に計算され利益を得る姿には驚かされる」「抱川マッコリを何と言う名で輸出するの?」「キムチも独島も盗って行く」「気分が悪い」と、マッコリを盗られた!という感じのコメントが多く見られる。

では、なぜこのような基本的な問題が生じてしまったのだろうか。答えは、『地理的表示制(GI)』に対する韓国政府と企業の認識不足のせい。韓国の現行法上では、特定の地名は商標に認定されない。そのため、抱川マッコリには「抱川」という地名が入っているため、「抱川マッコリ」として商標を登録することができないのである。

この問題を補うために『地理的表示制』が10年前に導入され、ここに登録すれば商標権と同等の保護を受けられるようになった。しかし、現実には多くの業者が認識不足により登録をしていない状況で、今回の抱川マッコリもやはり登録をしていなかったのである。

マッコリ業界の関係者は、「マッコリの95%は特定の地名を付けて生産している」とし、「代表ブランドである抱川マッコリを、最大の輸出国である日本で使えなくなったということは、深刻な問題である」と述べた。このような事態が再び起きないために、今後は韓国の商標権獲得に向けての動きが、一段と活発化していきそうである。

参照:毎日経済−「抱川マッコリ」商標日本で使えず

(文:林 由美)

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