03-04シーズンのブレシアでのプレーを最後に、現役を引退したイタリアの至宝ロベルト・バッジョが“ガゼッタ・デッロ・スポルト”紙の独占インタビューに応じ、引退後の生活やカルチョ界への復帰の可能性について語った。バッジョと記者の一問一答は以下の通り。

――引退後はどのように過ごしているのですか?

「菜園にいることが多いよ。義理の両親が手助けしてくれているんだ。許す限り菜園に足を運んでいる。そして家族との時間を大切にしている。家を留守にする生活が長年続いたので、今は家族のための時間なんだ」

――頻繁に訪れるアルゼンチンでの過ごし方は?

「もちろん、狩猟だよ。しかし、シーズンによって過ごし方は異なるよ。車を借りて広大な台地をドライブしたり、走ったりすることもある。でも走る場合は直線のみなんだ。私の傷ついた膝では急な方向転換は難しいからね。時間が驚くほどゆっくりと流れて、そこにいるだけで自然と力がみなぎってくる」

――現在カルチョはポエムが減っていますか?

「すべてがよりスピーディーになっているね。90年代が80年代よりそうであったように。発展についていかなければならない。若い子がヒールキックをしたからといて、それを直そうとしてはいけない。南米にはよりスポーツの本質に近いスピリットがある」

――カルチョ界に復帰する可能性は?

「若者の育成に携わりたい。若い選手を指導するためには注意が必要だ。何気なく発した言葉で、才能を摘み取ってしまう危険性があるからね。人生の価値を模索し、実りあるものにしたい。お互いに信頼し合える人物と歩んでいくことができれば最高だ」

――モラッティ(インテル会長)は?

「私のプロジェクトに適した人物だ。彼が納得すれば、私は準備できている」

――リッピ、ウリビエリ、カペッロそしてサッキ。あなたと確執が生じた監督も多いようですが?

「幾度となくなぜ?と自問してみた。そして、私が多くのサポーターから愛されていたことが原因だということに気付いたんだ。彼らがチーム1のスターに育てようとしていた選手の座を私が奪ってしまった」

――しかし、あなた側に非があったこともあるのでは?

「もちろん、私も過ちを犯したことはある。信頼を置き、真剣に向き合うことも必要だった。相手を尊重しすぎるあまり、敬遠してしまった」

――現役選手で気に入っているのは?

「メッシはいいね。少し私に似ている気がする。彼がボールを持てば、何か劇的なことが起こる。ロナウジーニョ、カカ、クリスティアーノ・ロナウド、イブラ(ヒモビッチ)そしてトッティ。みんな素晴らしいが、彼らに順位を付ける気はない。そんなことをしたら彼らに失礼だからね」

――対戦した選手で最も印象的だったのは?

「マラドーナとファン・バステン」

――06年ドイツW杯を見ましたか?

「ええ。みんなと同じように応援したよ。私は大会が開催される前からイタリア代表の活躍を確信していたんだ。優勝候補にはブラジル代表の名前しか挙げられていなかったからね」

――現イタリア代表のドナドーニ監督についてどう思われますか?キーマンは?

「気に入っているよ。正しい道を進んでいると思う。キーマン?ピルロかな。イタリア代表の勝敗は彼に懸かっている。ウディネーゼで共にプレーするクアリアレッリとディ・ナターレを代表で一緒に起用するのも良い案だと思う」

――デル・ピエロとあなたの共通点は多いですよね。彼にジェラシーを感じるとこは?

「いいえ。アレ(デルピエロのあだ名)と私の関係は良好だ。彼は幸運にも若く、前途有望な時にユーベの一員となった。ピークを過ぎた私と入れ替わるように。そしてすぐにユーベ・サポーターの心を捉えた。代表でも私と彼は同時に起用されることは少なかったが、我々の間には確執はなかった」

――ユーベとフィオレンティーナが今季好調ですが?

「嬉しいことだよ。ラニエリ(ユーベ監督)は素晴らしい指揮を執っている。そしてプランデッリ監督も。プランデッリ監督とは面識はないが、夫人を亡くされた時はお悔やみの言葉をかけたかった」

――十字靭帯断裂という重傷から復帰したこともありましたが

「あのときの辛さは今でも鮮明に覚えている。1日10時間のリハビリ。耐え難い痛みが続いた」

――あなた以上に度重なる負傷に悩まされた選手はいないのでは?ロナウドの復帰を信じるものは少ないのですが、どう思いますか?

「幾度となく膝に負傷を負ったが、腱だけは負傷しなかった。だから、ロナウドの怪我について詳しく語ることはできないが、最終的には気持ちの問題だと思う」

――引退を決意した時の心境は?

「プレーを続けたい気持ちはあったが、体が悲鳴をあげていた。辛かったよ。練習を終え、ブレーシャから自宅に帰る時、1時間も運転していないにもかかわらず膝が90°で曲がったまま固まり、動かすことができなかったんだ。感動?些細な日常の中にもあるものだよ。3歳になる息子のレオナルドを笑わせようとくすぐって遊んでいる時にも喜びを感じる。子供の成長を見守ることは、何事にも変えがたい感動なんだ」

リオネル・メッシリオネル・メッシ(Lionel Messi)


生年月日:1987/06/24
所属   :バルセロナ
国籍   :アルゼンチン
ポジション:FW