「AKB48」の「悪魔の握手会」商法 「ファンに多大の負担」宣言
アイドルユニット「AKB48」が、握手会を告知した動画で、その商法について、「ファンの皆様に多大な負担を強いる」などと紹介していたことが分かった。シングルを買ったファンのみが、メンバーと握手できるのだが、題して「AKB悪魔の握手会」。握手会は「光速で流される」、つまりファンに立ち止まらせないもので、不謹慎な内容だとの批判が出ている。
メンバーは「もうやめて、ファンの皆さんに負担をかけないで」
AKB48(エーケービーフォーティエイト)を巡っては、シングルCDにランダムで付くソロポスターの景品をメンバー分44枚そろえればイベントに招待するという企画に批判が集中。発売元のデフスターレコーズが2008年2月28日、独禁法違反(不公正な取引)の疑いがあるとイベント中止を決めた。また、フォトアルバムに付く2015年の招待チケットが景品表示法違反(有利誤認)の疑いがあるのではないか、と専門家が指摘していた。
シングルは3種類あるとはいえ、44枚買えば、そのほとんどが同じものになる。そして、若い世代のファンが多いにもかかわらず、フォトアルバムと同様に、5万円以上の買い物になることにネット上で批判が高まっていた。ところが、そうした批判を意に介さないかのようなAKB48の公式動画が作られていたことが分かった。
この動画は、東京・品川区内で08年3月1、2日に行われたAKB48の握手会の告知用に作られたものだ。その場でシングルを買ったファンのみが、メンバーと握手できる。題して「AKB悪魔の握手会」。
その中で、シングルなどの商法を巡って、メンバーと受け答えのような部分があった。AKB48の篠田麻里子さんが動画に登場し、「CDって普通、1枚しか買わないじゃないですか。ファンの皆さんに無理させてるんじゃないかって心苦しいんです」と語った。さらに、メンバーの峯岸みなみさんは、動画の中で「もうやめて、ファンの皆さんに負担をかけないで」と舞台のようなところで絶叫している場面が映っている。
これに対し、ナレーションは、メンバーの声をあざ笑うかのように、「ファンの皆様に多大な負担を強いる禁断のイベント」と握手会を紹介していた。
握手会は「光速で流され」、ファンは立ち止まれない
さらに握手会そのものについても、その題名が示すように、ファンには立ち止まらせないとして、「あなたは光速で流される」「剥がす人、剥がされる人の地獄絵巻」などとナレーションを流していた。
AKB48は、従来のアイドルグループとは違って、テレビ、CMに依存しないのが特徴だ。東京・秋葉原にある「AKB48劇場」という拠点を作り、毎日のように行われるライブと劇場やネットでのグッズ売り上げを主な収入源にしている。AKB48のその斬新なアイドル売り込み戦略は、メディアからは「宝塚歌劇団」スタイルとも呼ばれている。
ところが、主な収入源が、若い世代のファン層になったことから、今回のようなトラブルが出てきたようだ。
高額な商品としては、劇場で販売されるガチャガチャにも批判が出ている。カプセルに当たる300円のボールには、ランダムで「アタリ」も入っている。が、500〜600個分ダンボール1箱の15〜18万円分相当も買えば、その中に必ず12〜16個「アタリ」が入っているというのだ。「アタリ」とは、ライブチケットやメンバーとの2ショット撮影などの景品だ。
村千鶴子東京経済大教授(消費者法)は、「違法性があるとは言えないかもしれませんが、非常識な売り方をすれば、世の中が受け入れないのではないでしょうか。販売現場で、心理操作による不合理な買い物があったとすれば、考えなければならない問題」と話す。これに対し、劇場の支配人は、J-CASTニュースの取材に対し、「あくどい商売をしていることはありません」と反論している。
J-CASTニュースでは3月3日、こうした一連の商法について、AKB48をプロデュースした作詞家の秋元康さんに取材を申し込んでいる。
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