サラリーマンの生態をコント仕立てで面白おかしく活写するバラエティ「サラリーマンNEO」、大物アーティストの出演を次々と実現させた「SONGS」、爆笑問題のふたりが大学研究者とガチンコで対談する「爆笑問題のニッポンの教養」――気がつけば最近、NHKの番組が面白い。

 これらの番組には共通点がある。いずれも「番組たまご」というプロジェクトから生まれている点だ。NHKが同プロジェクトを立ち上げたのは2005年。当時、不祥事続きだったNHKが、これまでの枠組みや固定観念を取り払い、大胆、かつ柔軟な発想による番組作りを目指して立案されたものである。すでに60以上の番組が制作されているが、もちろん全てがレギュラー化されるわけではない。視聴者の反応やコストなどを精査した上でレギュラー化に至る仕組みだ。

 その性質上、実験的な試みが多いわけだが、とりわけ注目を集めた番組が昨年11月にBS2で放送された「ザ☆ネットスター」である。話題のネットコンテンツを紹介する企画であるが、アニメ化された出演者らが音声合成ソフト「初音ミク」の歌に合わせて登場するオープニングからして衝撃的であった。ネットではさっそく「これNHKなのか?」「どう見てもエロゲー」「濃すぎ……」などの反響が相次いだほどである。

 また、ニコニコ動画でブレイクしたコンテンツを積極的に取り上げた点も画期的であった。 番組では、ギター、キーボードなど複数の楽器をひとりで演奏する高校生の動画「ひとり情熱大陸」や、アニメの楽曲に合わせて絶妙なダンスを披露する「ゾンビーズ」などを紹介。動画投稿サイトとテレビ局といえば、いわば犬猿の仲。だが、同番組では著作権問題にも言及。民放ですら正面から取り上げない問題に、敢えて踏み込んだところにNHKのチャレンジ精神が窺える。

 その他、「ザ☆ネットスター」以外の番組もなかなかに興味深い。星新一の世界を映像化した「星新一ショートショート劇場」、全国の課長500人をインターネットで繋げて本音を語り合ってもらう「平成の課長さん」、裁判員制度を視野に入れた法廷シミュレーション「ザ・判決!」、“お城鑑賞”といったディープな趣味をとことん語り尽すトーク番組「BS熱中夜話」など、「NHK=堅苦しい」というイメージを逆手に取りつつ、遊び心に溢れたヒット作の“たまご”がひしめいている。

 いずれも受信料を払う価値はある……かもしれない。

(中島 駆)

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