観客の差別発言が波紋 イチローは地元紙に “自分にもあった”と経験明かす

写真拡大

ジョーンズに対する差別発言でRソックスが謝罪、米国で大きな問題に発展

 オリオールズのアダム・ジョーンズ外野手が1日(日本時間2日)の敵地レッドソックス戦で人種差別発言を受けたことが、米国で大きな問題となっている。ESPNによると、一夜明けた2日(同3日)にはレッドソックスの球団幹部が本人に謝罪し、ケネディ球団社長は声明も発表。ジョーンズは翌日の試合で同じフェンウェイ・パークでスタンディング・オベーションを受けて打席に入った。

 ただ、今回の問題は波紋を広げており、地元紙「マイアミ・ヘラルド」はマーリンズの選手も同様の経験をしたことがあるとする記事を掲載。その中で、MLB史上初の日本人野手であるイチロー外野手も自身が受けた“仕打ち”を振り返っている。

「ボルチモア・オリオールズのアダム・ジョーンズ外野手がフェンウェイ・パークで差別的発言を受けたと述べた翌日、同様の経験があると何人かのマーリンズ選手が語っている。しかし、彼らはその件について、ただ沈黙していた」

 記事ではこのように指摘し、ディー・ゴードン内野手が「あなたが思っている以上に多いんだ。今回に限ったことではない」と話したことも紹介。さらに、レッドソックス側がジョーンズ本人とオリオールズに謝罪し、MLBコミッショナーのロブ・マンフレッドがファンの行いについて「全く受け入れがたい」と非難したことも伝えている。

イチローに対しても行われた差別行為、「アイスやコインを投げつけられた」

 そして、MLB史上初の日本人野手であるイチローも、取材に対して通訳を介して「よくあることです。でも、選手は何も言いません。もし、みんなが観客から何を言われたのかを口にすれば、大騒ぎになるでしょう」と明かしたという。

 記事では「ゴードンと他のマーリンズ選手は、稀なことではないと言う」とした上で「スズキは差別的発言を受けてきたと語る。しかし、その多くはメジャーリーグでのキャリア序盤のことだった」と言及。イチロー自身は「かつて僕にもありました。アイスやコインを投げつけられたんです。実際、何回かは僕の頭に当たったことがあります。彼らは耳をふさぎたくなるようなことを言うんです」 とも話している。

 この他にも、ゴードンに加えて、スタントンも差別的発言を受けたことがあると伝えており、現在は解説者の元メジャーリーガー、プレストン・ウィルソン氏については「10年間のキャリアにおいて頻繁に差別の対象となっていた」という。同紙は、ウィルソン氏への差別的発言はボストンが最悪だった、という事実も報じた。

 ウィルソン氏は「ラテン系選手に対しても起こる。黒人だけではない。無視するために最善を尽くしたよ」と話したという。今回、大きな問題に発展したメジャーファンによる差別的発言。その根は深いと言わざる得ない状況のようだ。