中国の苦悩・・・「ごみ」の分別、しない・できない・させられない＝中国メディア
広東省深セン市では、ごみの発生量が年間約８％の割合で増えており、２０１５年には１日上がり１万７８００トンに達するとみられている。ごみの「無害化処理」は１００％に達しておらず、埋め立て場には「想定以上」のごみが運ばれてい来る。
ただし、学校に求められていた「ごみの減量・分別を授業に組み込む」ことが実施されていなかったり、職場などで宣伝や指導が徹底されていないなどの問題もあった。
「ごみについての意識と行動の改革」でより大きな問題が出ているのが、マンションだ。当局は市内のマンション群「天景花園」では、「敷地内に設置するごみ回収場所は４カ所のみ」、「利用時間は午前７時から８時まで」との規則を徹底することで、はっきりとした成果を上げているが、「天景モデル」のようにはいかないケースが多いという。
ごみの分別が根付かない原因のひとつが、各階ごとにごみ回収容器を置く習慣があったことだ。ごみの分別を求めても、なかなかしたがってもらえない。あるマンションでは階ごとの回収を撤廃したところ、入居者が自分のドアの外の廊下にごみを袋に入れて出すようになってしまったという。
建物外にごみ回収場所を設けても、監督員がいないと分別してもらえない。深セン市政府は２０１３年に、住民から「ごみ捨て」監督員を選び、ある程度の日当を支払うよう方式を提唱し、そのための予算も計上した。
中国では交通安全やマナー向上のキャンペーンの際などに、住民から「監督員」を募ることが珍しくない。多くは、退職した高齢者などが応じる。
しかし同市のマンションには「働く世代とその子」の入居者が多く、「監督員」をするには時間のない住人が多かった。しかも「ごみの監督員などをやったのでは、面子（メンツ）がつぶれる」という“思想上の問題”もあり、人員の確保は困難という。その結果、深セン市内のマンションの多くは現在も、ごみ捨てについての専門の監督員がいない状態だ。
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◆解説◆
中国各地の行政当局が「ごみの問題」で頭を抱えている。２０００年には、ごみ処理の効率化を狙って北京、上海、広州（広東省）、深セン（同）、杭州（浙江省）など主要都市が「生活ごみ分類試験都市」に指定されたが、有名無実化した。住民の協力が一向に得られないことが、最大の原因という。
現在も、ごみの分別の徹底はできていない。ごみの問題は農村部にも広がっている。中国メディアの中国新聞社は２０１２年３月、貴州省貴陽市周辺で、農村部から出されるごみが川に入り、水力発電にも影響が出ていると伝えた。
一方で、働き口が見つからなかった人が、廃品回収で生計を立てている例も多い。「ごみは定められた場所に捨てる」という意識の乏しい中国では、街頭でごみを集め、種類ごとに専門業者に売り渡すという商売が成り立ちやすいという。
日本を訪れた中国人の多くが驚くのが、街頭におけるごみの少なさだ。さらに、交通機関の利用の際などに、「だれが指図したわけでもないのに、皆が行列する」ことにも驚く。
やや特殊なケースでは、日本の地方都市を訪れた中国人が、城の堀に大量の鯉が飼われており、特に監視人もいないのを見て、「これが中国なら、１日で全部釣られて、その日の晩のおかずになっている」と驚いたことがある。
総じていえば、「自分は共同体のひとり。共同体の秩序が乱れれば、自分を含めた全員に『迷惑』がかかる」と強く認識していると言える。（編集担当：如月隼人）（イメージ写真提供：１２３ＲＦ）
