日本でも本格導入!動画×ECの楽天サイト「VAULT」から見るVコマースの可能性

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欧米では既に盛んなVコマース

VコマースとはVideo Commerce(ビデオコマース)の略ですが、そもそもビデオコマースとは何でしょうか。まずは、その定義を見てみましょう。

Video Commerce(ビデオコマース)

Video Commerce, Video e-Commerce or eCommerce Video is the practice of using video content to promote, sell and support commercial products or services on the Internet.

ビデオコマース、ビデオEコマース、Eコマースビデオとは、インターネット上の商品やサービスの販売促進を促すビデオコンテンツを使用することである。

出典:Wikipedia

定義から見てみると「販売促進に動画を活用」していれば、Vコマースと言えるようです。
今まで使われてきたEコマース(以下、EC)と別のものではなく、あくまでECと動画活用の掛けあわせをビデオコマースと呼ぶようです。

movieTIMESでも過去に、海外ECサイトにおいての動画活用事例を紹介してきました。

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    http://www.movie-times.tv/overseas/2560
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    http://www.movie-times.tv/study/statistics/2501/

また、米国では2008年頃から「オンラインマーケティングの次のプラットフォームはビデオコマースだ」という予想まであったほどで、今では実際に多くのECサイトが動画を活用していて、Zappos社のように動画を活用して大幅にコンバージョン(売上)を伸ばした成功事例も多数紹介されています。


出典:Video Commerce: Selling Online with Video

国内では、movieTIMESでご紹介した株式会社ポイントやファンケルなど、徐々に動画を活用したECサイトは見られるものの、その数はまだまだ少ないと言えるでしょう。

そんな中、楽天が、ファッションやライフスタイル雑貨の分野での動画を活用したECサイトに注目し、昨年11月に本格的ビデオコマースサイト「VAULT(ヴォルト)」をオープンさせたのです。

日本初、本格的Vコマースサイト「VAULT」をグランドオープン!

「VAULT(ヴォルト)」は2012年に開始した米国のビデオコマースサイト「VAULT」の日本版です。

楽天は「米国で培ったノウハウを活用し、日本のビデオコマースサイトの先駆者としてユーザーに新たなショッピング体験の提供をしてまいります。」と語っており、その意気込みが伺えます。

「使い方を見せる」iiPhoneケース

ぱっと写真を見ただけではその特徴が伝わりづらいiPhoneケース。
たしかにスタイリッシュですが、普通の製品とどこが異なるのでしょうか。
さっそく製品ビデオを見てみましょう。

ビデオを見てみると、まずその豊富なカラーバリエーションが一目でわかるだけでなく、中央部分がゴムになっていて、伸縮性があり、カバーの取り付け方が動画でしっかりと理解することができます。

「画で楽しませる」PCバック

今冬流行の迷彩柄の小物。こちらはどんな動画でしょうか?

ビデオ冒頭では様々なサイズのバッグが音楽にあわせ切り替わり、見るものを楽しませます。その後はファスナー部分と記事の質感が伝わってくるまで商品がアップで映し出され、終わるシンプルなビデオです。
使い方や用途がシンプルな商品でも、こうして動画で楽しく見せることで、見た目以上の魅力を感じさせてくれます。

「想いを伝える」サングラス

続いては、ブランドビデオ。オーナーが商品にかける想いが伝わってきます。

こちらのビデオでは、「サングラスが、本質的に社会課題と関係するようなユニークな素材を使っている」ことや「例えば、ジャズのために作られたモデルでは 楽器にフィーチャーしたために真鍮(銅と亜鉛の合金)を使用していて、売上のうち10ドルがジャズミュージシャンなどに寄付される」ことなどがオーナー自身の口から語られます。

写真だけだと「ちょっとおしゃれなサングラス」に過ぎない商品に感じてしまうかも知れませんが、ビデオを通してオーナー自身がどのような想いでその商品を作っているのかを伝えることで、商品への説得力が更に増すことでしょう。

「スタイルを見せる」セットアップスーツ

最後にご紹介するのは、VAULTでの最大の注目商品とも言われている、「ヨウジヤマモト」のコレクションライン。彼のコレクションはVAULTグランドオープンを記念して特別に取り扱うこととなった、ECでの販売が世界初の商品だそうです。
さっそく動画を御覧ください。

ビデオでは世界的なバレーダンサーのフリーデマン・フォーゲル氏がセットアップスーツを纏い、華麗に動く姿が飾ることなく、映しだされます。

フォーゲル氏はインタビュー動画内で「この服はとても動きやすく着心地のすばらしいもの。一日中でも期待と思わせる服。」と語っています。

洋服を着た状態で華麗に舞う彼の姿を見ると、インタビューで語られている「着心地の良さ」という”感覚”が、”視覚的”な情報となって伝わってきます。

動画で感性を刺激し、商品に魅力を感じさせる

今まで見てきた動画の特徴はどれも「商品の世界観やストーリー、品質の高さを表現して、ユーザーの感性を刺激することをコンセプト」として動画が制作されていることです。

全ての商品に画一的な動画を制作するのではなく、それぞれの商品の機能やコンセプト、雰囲気などを大切にし、あくまでもその商品が持つ魅力を伝えるための動画のように感じます。

”商品を売るため”というよりも”商品を魅せるため”の動画といった方が適切かもしれません。
楽天は「ユーザーの感性を刺激すること」をとても大切にしていることが伺えます。

年々、ECによる消費が増え、商品も次々と増える中、「商品力」はもちろんのこと、いかにしてその商品力を伝えるか、更には単にその情報だけでなく「人々の感性を刺激する」見せ方がますます大切になってくるでしょう。
楽天はその先駆者になろうとしているのかもしれません。

[参考]

楽天株式会社: 楽天とスタイライフ、ビデオコマースサイト「VAULT」を11月にオープン

http://corp.rakuten.co.jp/news/press/2013/1018_01.html

Video-Commerce.org » Video commerce industry resources

http://video-commerce.org/2008/10/video-commerce-industry-resources/