ヘルニア、坐骨神経痛…実は自分で治せる痛みとは?
だるい、痛い、重い、しびれる…、慢性的な肩こりや腰痛は、早いうちに何とかしたいものです。
肩こりも腰痛も、原因はほとんどの場合、周辺の筋肉が固まってしまっていること。つまり、これをゆるめてあげれば、症状は改善されます。
この作業を自分で行う方法を教えてくれるのが、『「体の痛み」の9割は自分で治せる たった90秒!超簡単セルフ整体術』(PHP研究所/刊)です。
今回は本書の著者でセルフ整体マスターインストラクターの鮎川史園さんにインタビュー。セルフ整体の秘密やコツまでお話を伺いました。
―鮎川さんが院長を務めている「いぎあ☆すてーしょん代官山」が提唱している「ミオンパシー」は、固くなった筋肉をたるませ、そのまま90秒間キープすることで、体の痛みを改善させるという一風変わった施術を行っています。
この「ミオンパシー」について、その成り立ちを教えていただけますか?
鮎川「ミオンパシーのもともとのベースは、アメリカのオステオパシーです。“オステ”というのは“骨”で、“パシー”というのは“療法”を意味します。つまり骨に対して施術をするという療法ですね。
そのオステオパシーの技術の中でも比較的新しい筋肉へのアプローチ「ストレイン・カウンターストレイン」の原理をメインに、筋肉に関係する痛みなどに特化して開発されたのが「ミオンパシー」なんです」
―それまで日本で行われていた整体とはどのようなものだったのでしょうか。
鮎川「その質問はすごく難しいですね。なぜかというと、“整体”っていうのはそれ自体で何か体系だったものを説明する言葉ではありません。たとえば、指圧やマッサージには資格が必要なのですが、そういうものに該当しなかったり分類できないもので、“体を整えるもの”であれば、すべて“整体”なんです」
―では、「ミオンパシー」もさまざまなものを含む“整体”の中の一つということになるのでしょうか。
鮎川「現状ではそう表現せざるを得ないと思っています。ただ、本当はもっといい表現を使いたいんです。ミオンパシーは一般的な“整体”のイメージと違って骨をボキボキ鳴らしたり、器具を使ったりということを一切しません。やることは90秒間姿勢を維持して筋肉をたるませるというだけです。
実際、お客様からも“整体という言葉で表現するのはもったいない”とよく言っていただいています」
―「体の痛みの9割は自分で治せる」ということですが、自分で治せるものと治せないものとはそれぞれどのような痛みなのでしょうか。
鮎川「傷や炎症の痛み、病気が原因の痛みなどはミオンパシーの対象ではありません。
それら以外の筋肉が硬くなることによって起こる痛みはほぼ全て改善できます。たとえば、よくケガの痛みと混同されるのですが、ヘルニアや脊椎間狭窄症が原因とされている痛みも、痛みそのものは患部の筋肉が固くなることで起こっているので、ミオンパシーで改善可能です」
―そのヘルニアがケガによるものであっても改善できるのですか?
鮎川「例えば椎間板の中心にある髄核が、それを包んでいる繊維輪を突き破ること、それ自体はケガです。
ケガが起こると炎症が起きます。ただ、炎症は時間が経ち、傷が治れば収まるので、炎症からくる痛みは消えるはずです。
ある製薬会社のシンポジウムで発表されたデータで、60歳以上の人の4割ほどは現時点で痛みがないとしてもヘルニアになっている、というものがあるんですけど、その人たちにしても、時間の経過によって炎症の痛みが消えたわけで、ヘルニアになった直後はやはり痛かったと思います。
だとすると、時間が経っても痛みが消えない場合、それは炎症からくる痛みではないんです。
ではどんな原因による痛みかというと、1つは筋肉が固くなることで血管が圧迫されて、血流が悪くなることによって痛み物質が生成されて起こる痛み。これは慢性的な痛みで、冷えると痛むということが多いです。
もう一つは筋肉が硬くなって関節の動きを阻害する痛みです。
例えば、太腿の前の筋肉が硬くなり伸びにくい状態で膝を曲げようとすると、膝の関節に無理がかかり、痛みます。だから、関節痛にも筋肉が固くなって起こるものがあります」
―筋肉が固くなることによって起こる痛みならばミオンパシーで改善できる。
鮎川「そうですね。そして体の痛みのほとんどはそういうケースなんですよ。そういう意味で“9割”ということですね」
―坐骨神経痛などはいかがですか?
鮎川「改善可能です。あるドクターに教えていただいたんですけど、三叉神経を除いて、神経というものには圧迫すると痛みを感じるという仕組みはないんです。つまり、そもそも“神経痛”というものは存在しないというお話で、坐骨神経が圧迫されて痛みが生じるといいうのもおかしい。
じゃあ坐骨神経痛の痛みは何なのかというと、筋肉など軟部組織がロックして固くなってしまっていることによる痛みなんです。もし神経そのものが痛みの原因なのであれば、私たちが何をやっても改善するはずがないのですが、実際坐骨神経痛と言われる症状が筋肉へのアプローチであるミオンパシーで改善しているということは、神経そのものは痛まないと言えるのではないでしょうか」
―「神経痛」というくらいですから、神経が痛みの原因なのだと思っていました。
鮎川「神経というのは、たとえるならば神経伝達物質を伝えるコードです。コードですから神経そのものに生クリームを塗っても甘さは感じません。甘さというものは、甘さを感じる器官を通してその信号が脳に伝わることで甘いと感じる。
痛みも一緒です。痛みを感じる仕組みがあって、それを通って痛みの信号が脳に伝わってはじめて痛いと感じるわけです。だから神経そのものをいくら圧迫したところで痛みが出るはずがないんです。
ちなみに、神経があまりに強く圧迫されてしまうと、途中で断線してしまうことがあります。これが麻痺です」
(後編につづく)
肩こりも腰痛も、原因はほとんどの場合、周辺の筋肉が固まってしまっていること。つまり、これをゆるめてあげれば、症状は改善されます。
この作業を自分で行う方法を教えてくれるのが、『「体の痛み」の9割は自分で治せる たった90秒!超簡単セルフ整体術』(PHP研究所/刊)です。
今回は本書の著者でセルフ整体マスターインストラクターの鮎川史園さんにインタビュー。セルフ整体の秘密やコツまでお話を伺いました。
この「ミオンパシー」について、その成り立ちを教えていただけますか?
鮎川「ミオンパシーのもともとのベースは、アメリカのオステオパシーです。“オステ”というのは“骨”で、“パシー”というのは“療法”を意味します。つまり骨に対して施術をするという療法ですね。
そのオステオパシーの技術の中でも比較的新しい筋肉へのアプローチ「ストレイン・カウンターストレイン」の原理をメインに、筋肉に関係する痛みなどに特化して開発されたのが「ミオンパシー」なんです」
―それまで日本で行われていた整体とはどのようなものだったのでしょうか。
鮎川「その質問はすごく難しいですね。なぜかというと、“整体”っていうのはそれ自体で何か体系だったものを説明する言葉ではありません。たとえば、指圧やマッサージには資格が必要なのですが、そういうものに該当しなかったり分類できないもので、“体を整えるもの”であれば、すべて“整体”なんです」
―では、「ミオンパシー」もさまざまなものを含む“整体”の中の一つということになるのでしょうか。
鮎川「現状ではそう表現せざるを得ないと思っています。ただ、本当はもっといい表現を使いたいんです。ミオンパシーは一般的な“整体”のイメージと違って骨をボキボキ鳴らしたり、器具を使ったりということを一切しません。やることは90秒間姿勢を維持して筋肉をたるませるというだけです。
実際、お客様からも“整体という言葉で表現するのはもったいない”とよく言っていただいています」
―「体の痛みの9割は自分で治せる」ということですが、自分で治せるものと治せないものとはそれぞれどのような痛みなのでしょうか。
鮎川「傷や炎症の痛み、病気が原因の痛みなどはミオンパシーの対象ではありません。
それら以外の筋肉が硬くなることによって起こる痛みはほぼ全て改善できます。たとえば、よくケガの痛みと混同されるのですが、ヘルニアや脊椎間狭窄症が原因とされている痛みも、痛みそのものは患部の筋肉が固くなることで起こっているので、ミオンパシーで改善可能です」
―そのヘルニアがケガによるものであっても改善できるのですか?
鮎川「例えば椎間板の中心にある髄核が、それを包んでいる繊維輪を突き破ること、それ自体はケガです。
ケガが起こると炎症が起きます。ただ、炎症は時間が経ち、傷が治れば収まるので、炎症からくる痛みは消えるはずです。
ある製薬会社のシンポジウムで発表されたデータで、60歳以上の人の4割ほどは現時点で痛みがないとしてもヘルニアになっている、というものがあるんですけど、その人たちにしても、時間の経過によって炎症の痛みが消えたわけで、ヘルニアになった直後はやはり痛かったと思います。
だとすると、時間が経っても痛みが消えない場合、それは炎症からくる痛みではないんです。
ではどんな原因による痛みかというと、1つは筋肉が固くなることで血管が圧迫されて、血流が悪くなることによって痛み物質が生成されて起こる痛み。これは慢性的な痛みで、冷えると痛むということが多いです。
もう一つは筋肉が硬くなって関節の動きを阻害する痛みです。
例えば、太腿の前の筋肉が硬くなり伸びにくい状態で膝を曲げようとすると、膝の関節に無理がかかり、痛みます。だから、関節痛にも筋肉が固くなって起こるものがあります」
―筋肉が固くなることによって起こる痛みならばミオンパシーで改善できる。
鮎川「そうですね。そして体の痛みのほとんどはそういうケースなんですよ。そういう意味で“9割”ということですね」
―坐骨神経痛などはいかがですか?
鮎川「改善可能です。あるドクターに教えていただいたんですけど、三叉神経を除いて、神経というものには圧迫すると痛みを感じるという仕組みはないんです。つまり、そもそも“神経痛”というものは存在しないというお話で、坐骨神経が圧迫されて痛みが生じるといいうのもおかしい。
じゃあ坐骨神経痛の痛みは何なのかというと、筋肉など軟部組織がロックして固くなってしまっていることによる痛みなんです。もし神経そのものが痛みの原因なのであれば、私たちが何をやっても改善するはずがないのですが、実際坐骨神経痛と言われる症状が筋肉へのアプローチであるミオンパシーで改善しているということは、神経そのものは痛まないと言えるのではないでしょうか」
―「神経痛」というくらいですから、神経が痛みの原因なのだと思っていました。
鮎川「神経というのは、たとえるならば神経伝達物質を伝えるコードです。コードですから神経そのものに生クリームを塗っても甘さは感じません。甘さというものは、甘さを感じる器官を通してその信号が脳に伝わることで甘いと感じる。
痛みも一緒です。痛みを感じる仕組みがあって、それを通って痛みの信号が脳に伝わってはじめて痛いと感じるわけです。だから神経そのものをいくら圧迫したところで痛みが出るはずがないんです。
ちなみに、神経があまりに強く圧迫されてしまうと、途中で断線してしまうことがあります。これが麻痺です」
(後編につづく)