世界の人口が100億人になったら地球はどうなる?

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 日本では少子高齢化が進み、人口も減少している。先進国では人口は減少している傾向にあるが、新興国では人口は増加し続けている。その結果、現在、世界の人口は70億人を超えている。
 1万年前、地球の人口はわずか100万人しかいなかった。約200年前の1800年には、10億人。約50年前の1960年には、30億人。現在は70億人。そして、このままいくと、2050年には90億人。今世紀の終わりまでには、少なくとも100億人に達するといわれている。
 文明の発達によって私たち人間が、地球のありとあらゆる部分を変え、大きな影響を与えている。環境問題、食料問題など、このまま人口が増え続けたら、どうなっていくのだろうか。

 『世界がもし100億人になったなら』(ティーブン・エモット/著、満園真木/翻訳、マガジンハウス/刊)では、イギリスの科学者スティーブン・エモット氏が、21世紀の終わりに訪れる危機を警告する。

 人口が100億人に達した場合、あらゆる問題と直面することになる。
 例えば、食料問題。食料は、現在のやり方と消費のペースで、100億人を食べさせられる手段は今の私たちにはない。これから40年間食べていくだけでも、過去1万年分の農業生産をすべて合わせたよりも多くの食料を生産しなければならない。にも関わらず食料生産性は今後、急激に低下するとみられている。その理由は3つある。1つ目は気候変動。今後ますます深刻な異常気象が起こるようになり、世界各地で作物の不作につながる。2つ目は土地の劣化と砂漠化。世界の多くの地域で急激に広がっている。3つ目は水ストレス。
 これらに加えて食料の未来をおびやかす危機がもうふたつある。1つ目はリン酸危機。世界の農業生産は、ほぼ全面的にリン酸肥料に依存している。しかし、リン酸肥料の原料となるリン鉱物の量には限りがあり、今世紀中にはほぼ確実に枯渇してしまうことが明らかになりつつある。2つ目は農作物に壊滅的な打撃を与える恐れのある、新たな菌類の病原体の出現。すべての主要な菌類原体に対する化学薬品のうち、作物の菌類の退治に有効な化学薬品はトリアゾールと呼ばれるものだけ。しかし、菌類病原体は急速にトリアゾールへの耐性を持つようになりつつある。そうなったら、大飢饉が起きる恐れさえある。

 食料問題ひとつとっても、問題はたくさんあるのだから、他の分野でも問題は多くある。エネルギー生産を今のまま石油、石炭、天然ガス中心にするなら、3万6000基のお火力発電所が必要になる。日々、数百万人の人が世界中を移動することで、感染性の疾患の新たな大流行が起こりやすくなる。人口が増えるとともにあらゆる問題が深刻化しているのだ。

 地球が今どういう状況にあって、このままだと、これからどうなっていくのか。一人一人ができることは些細なことかもしれないが、まず現状を知っておくことは大事なのではないだろうか。
(新刊JP編集部)